MAIL MAGAZINE Vol.01
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2003年1月7日
VEC会長 武田正利(鐘淵化学工業 社長)

皆様、明けましておめでとうございます。本日はVECの新年賀詞交歓会へ経済産業省の今井局長を始め関係業界の多くの方々には、ご出席いただきまして誠に有難うございます。

 新年に当たり、昨年のVECの活動を振り返るとともに、今年の展望などにつき、お話させていただき、ご挨拶に代えたいと存じます。

 昨年の5月に、この会長職をお引き受けした時のご挨拶で私は、「内憂外患こもごも至れり、課題山積」と申し上げたことを記憶しております。内には国内需要の減退、過剰設備問題の顕在化、新市場開発の遅れ、外には中国とのダンピング問題等、悪い材料には事欠きませんでした。結果、昨年上期の業界の事業採算は惨憺たる状況でありました。

 今年も厳しい経済環境が予測されており業界としても、難しい舵取りをせまられて来ると思いますが、いろいろな面で明るい兆しも見えてきております。

 内需に関しましては、9月以来前年同月を上回る出荷が続いており、現時点の見込では、2002年度は悪くてもほぼ前年度並み程度には漕ぎつけられそうな感じになってきております。年末に発表された政府の景気対策、とりわけ住宅取得者向けの贈与税大幅減税などにより、住宅分野を中心とした需要の拡大が予測され、塩ビ業界にとっては明るいニュースであろうかと思います。
 輸出につきましては、出荷が好調に推移して数量的には昨年度を上回る見込ですが、中国とのアンチダンピング問題には未だ決着がついておらず、不安材料としては消えておりません。
 企業業績の悪化に対しましては、会員各社それぞれの立場から需要家の皆様にお願い申し上げた結果、ご理解を頂き、9月末には価格修正が行われました。しかし、生産コスト面では、年末には原料ナフサが暴騰してきており、今後の動向が懸念される所であります。

 再編・統廃合につきましても、セントラル硝子、旭硝子両社のポリマー事業からの撤退に次ぎ、呉羽化学と大洋塩ビのアライアンス、さらにチッソの受託生産停止など、かなりの状況変化がございました。その結果、実稼働能力ベースで見ますと、需給バランスはほぼウエルバランスに近づきつつあると思われます。今年も各社の努力により、一層の構造改革が進められるであろうと考えております。
 一方、加工業界に於かれても、塩ビ管メーカーはクボタ、積水化学工業を中心に再編に取り組まれ、事業の安定収益化に向けて手を打たれております。

 環境問題に関しましては、皆様既にご承知のこととは思いますが、焼却工程で発生するダイオキシンは、焼却設備と焼却条件に大きく左右されるものであり、ダイオキシン対策特別措置法に基づく焼却設備の規制が、昨年12月から完全施行されております。
 その結果、平成9年には生成量約7,500グラムと推定されていたダイオキシンが、平成13年には1,750グラム程度にまで、約1/4弱にまで激減してきております。さらに来年にはもう一段の発生抑制が行われることは間違いありません。日本における、ダイオキシン問題はもはや殆んどなくなった、と判断しても過言ではないと考えます。
 幸いなことに、あの大騒ぎになった所沢市や兵庫県能勢町でも、その後の綿密な健康チェックの結果、ダイオキシン被害と認められる結果は全く出ておりません。今年も塩ビについての正しい理解、有用性について広報活動を続けて行きたいと思います。

 私どもが長年の間努力を続けておりますリサイクル問題につきましては、パイプ、農業用ビニル、電線被覆材などの分野では、それぞれの分野で50%を越える、或いは50%に近いリサイクル率が達成されて来ております。VECと致しましても、これらのリサイクルの推進に関連製品業界ならびに技術開発と資金援助も合わせ、各分野で協力して進めて参りましたが、それぞれ成果を挙げつつあり、誠に喜ばしく思っております。
 VECは、今年もリサイクル率の向上に推進に力を入れるつもりであります。

 年末、NKKが使用済塩ビを高炉原料としてリサイクル使用するという新聞報道がございました。塩素分は塩化水素として工業用等に再使用する一方、残りの炭素分は高炉還元剤等にリサイクル使用するというものでございます。これは、VECが塩ビ製品業界、プラ処理協の協力を得ながら、NEDOの支援のもと研究開発、技術確立を進めているもので、この技術がNKKの手によって、数々の実証実験を実施した結果、事業化の見通しを得られたということであります。
 事業化に着手したとはいえ、多種多様な塩ビを円滑に処理するためには研究的要素もまだまだ残っており、今年はそういった課題解決にも、私どもとしては引き続き協力したいと考えております。

 さらに、並行して進めております、住友金属との、ガス化溶融炉を用いたケミカルリサイクルシステムの開発も軌道に乗りつつあり、近い将来の企業化へ向けてさらなる努力を続けていく所存です。

 新市場の開発に関しましては、建設資材用途として、塩ビ製窓枠および塩ビ製サイジングを中心に市場開発の強化を図って参ります。高断熱・高気密による快適な住宅造りは、国の目指す省エネ、地球温暖化防止の方向とまさに一致するものであります。塩ビ業界として、大いに貢献できるものと信じております。
 具体的には、高機密、高断熱の住宅へ向けて住文化の改革を目指すという点で志を同じくする、プラスチックサッシ工業会、日本サッシ工業会、板硝子工業会、他の方々と力を合わせ、技術開発や工法開発、社会への情報提供などを精力的に進めて参ります。

 塩ビ工業・環境協会は、その前身である、塩ビ工業協会時代から通算して、本年で創立50周年を迎えます。50年以上の長きに渡り、国民の皆様にご愛顧いただいた塩ビが、ここへ来て伸び悩んでいる事は大変残念であります。私どもも、会員各社一丸となり、塩ビに対しての正しい理解を、すなわち、塩ビが物づくりでも環境問題に対しても、いかに有用な樹脂であるかのご理解を頂くように努力して参ります。経済産業省を始めとする関係行政府の方々の、これまでにも増したご支援、ご協力をお願いするとともに、JPECに代表されます関連業界の方々、塩ビをご愛用いただいているユーザー業界の方々、マスコミ関係者各位などのご支援、ご協力も合わせてお願い申し上げる次第でございます。

 最後になりましたが、本日ご列席の各社の今後のますますのご発展と、ご参集の皆々様の本年のますますのご健康、ご多幸を祈念致しまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
どうも、有難うございました。

以上
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