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横田会長コメント | ||
横田会長コメント2020年4月20日 1.2019年度実績について~下期陰りの塩ビ内需は対前年度98%、輸出は好調 2019年度の塩ビの国内需要は1,019千トン/年でした。前年度(2018年度、1,043千トン/年)を24千トン下回り、対前年度比98%の仕上がりとなりました。 東日本の広範囲で河川が氾濫し甚大な被害をもたらした台風の影響で、特に11月は前年から大きく落ち込む形となりました。12月以降も前年の需要との乖離幅は縮小したものの、常に前年を割り込む状態が続きました。主たる要因は以下の通りです。
これらの要素が重なり、下期の塩ビの需要が前年同期を下回る結果になりました。 一方、輸出は前年度から大幅に増加し660千トン/年となりました。前年度よりも66千トン/年増加し、対前年度比では111%です。灌漑施設の整備に使用されるパイプ向けの需要が旺盛なインド向けの輸出が大幅増となりました。また、インド向けでは、AD措置や関税の面で台湾や韓国といった他の国より優遇されていることにより、日本勢がより有利な展開が可能となったことも、日本からの輸出を押し上げる要因となったと考えられます。 2.2020年1月~3月の塩ビ需要の状況~前期と同程度下振れ、明るい材料も2019年度の第4四半期(2020年1月~3月)の塩ビ需要は、前年を4~5ポイント下回る形で、前四半期(10月~12月)とほぼ同じ基調で推移しています。 需要の下振れの背景としては、東日本の災害による工事の遅れに加えて、下期の官需は予算が復旧工事に回されるケースもあったようです。また、オリンピック関連の物件で使用されるパイプ等の硬質分野の需要は一段落しています。さらに、第4四半期に入り、それまでは好調だった、内装工事で使用する電線等の需要がピークアウトした感もあります。 3.2020年度の見通し~潜在需要は前年並もCOVID19が下振れの最大リスクオリンピック関連の施設整備に一区切りがつきましたが、建設会社では受注しながら未着工の案件は最高水準まで積みあがっています。2020年度は、新たにこれらの工事が着工されるものと思われ、塩ビ需要の回復が期待されていました。また、半導体関連の需要も動き始めており、工業板の需要増にも期待が膨らんでおり、2020年度も前年並みの需要は見込めると見られています。 ただ、ここに来て、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、緊急事態宣言が出されたエリアでは、現場作業員の安全確保の観点から建設工事の中断の動きも出始めており、塩ビ需要を押し下げる要因として懸念されはじめています。終息の時期が見通せない新型コロナウイルスの拡大の影響が塩ビ需要下振れの最大のリスク要因となっています。 また、海外でも塩ビの最大の輸入国であるインドでロックダウンが実施され、その期間も延長されていますが、ロックダウン後の生産再開を見越した発注が再開され、徐々に輸出市場に動きが出てきました。 このように、感染拡大が続く中、終息の時期すら見出し難い状況にはありますが、インフラの整備をはじめ社会生活に不可欠な塩ビの安定供給に万全を期して臨むと共に、飛沫感染を防止するための塩ビフィルムなどにより社会に貢献して参る所存であります。また、国内外においてウイルスの感染拡大が終息し、一刻も早く世界に安寧が訪れることを祈るばかりです。 以上 |