===「塩ビと環境のメールマガジン」 第3号 ========== 2001/09/20
   
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     目 次

      ☆巻頭コラム
              「火事とデマ」

      ☆塩ビのケミカル・リサイクル
       「今とこれから」        
 
      ☆2001ニュー環境展に出展して
              「ダイオキシンは“峠”を越したが・・・」

      ☆お知らせ

       □展示会の出展予定        
        ・ぐんま環境フェスティバル(前橋)

       □塩ビ関連オフィシャルサイトのご案内

       □パンフレットのご案内

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  ☆巻頭コラム
      「火事とデマ」

    新宿歌舞伎町の火事、アメリカでの同時多発テロと、ここ暫く大事
   件、それも火災に関連する事件が相次ぎ、マスコミを賑わしています。
   事故に遭われた方々には大変お気の毒であり、哀悼に耐えません。
    が、この種の事故の後、決まって話題になることの一つに、「火事
   で亡くなられた方々の本当の死因は何だったのか」ということがあり
   ます。つまり、「死亡原因は、ひょっとして火災時に燃えた、化学物
   質から出る毒性ガスの所為ではないか」ということです。

    1995年、ドイツのデュッセルドルフの空港で火災が起こり、
   17人の方が亡くなられました。この時、死亡原因を巡ってある環境
   団体が故意に、「死亡原因は塩ビの燃焼によって生じたダイオキシン
   の所為である」と発表し、これを受けた一部マスコミがセンセーショ
   ナルに報道しました。ところが事故後デュッセルドルフ市の調査委員
   会による調査の結果、「死因は不完全燃焼による一酸化中毒」との事
   実が判明しました。

     しかし、この結論についてはマスコミは殆ど報道せず、結果として
   世間では死因はダイオキシン、それも「塩ビの燃焼によって生じた」
   ダイオキシンという間違った認識が広がり、長く(現在でも)塩ビの
   (謂れなき)悪評につながってしまっています。
   

     一酸化炭素を過剰に吸い込むとヒトはたちまちにして行動の自由を
   失い、中毒死に加えて逃げられないことによる焼死にもつながるとい
   われており、実際の火災における死亡原因は大半がこの「火傷」と「
   一酸化炭素中毒−窒息」で占められています。
    この一酸化炭素はすべからく、ものを不完全燃焼させた時に大量に
   発生するものであることはご存知のとおりで、燃やすものとの因果関
   係は殆どありません。
    さらに塩ビについていえば、塩ビはもともと燃え難い性質を持ち、
   建材には最適なプラスチックである上、万一燃えても発生する塩化水
   素ガスは現実には死亡原因には殆どなっていません。

     テロは憎むべきであり、火災も極力その発生を押さえるべきですが
   、情報化社会なればこそ、その報道が正確な事実に基づいて世間に発
   信される様、常に問われていると考えます。
                   

    なお、塩ビの火災時の安全性についての詳細情報は
    こちらへどうぞ。
    
   https://www.vec.gr.jp/Kasaijino-anzensei/info-anzensei.htm
     
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  ☆塩ビのケミカル・リサイクル
   「今とこれから」

   ●ケミカル・リサイクルって何でしょう?

     前号でご紹介したように、たとえば、塩ビの水道管がもう一度水
    道管に戻ったり、農ビが床材に、ペットボトルがワイシャツになる
    のはマテリアル・リサイクル。家庭ごみのプラスチックを燃やし、
    発電や地域暖房、温水プールなどの熱エネルギーに再利用するのは
    サーマル・リサイクル。
    この二つは皆さんにもおなじみですね。

     でもそれ以外に、プラスチックをその成分である水素や炭素、塩
    素にまで戻し、化学原料として再利用するリサイクルがあります。
    それがケミカル・リサイクルです。化学原料に戻すということで、
    「フィードストック・リサイクル」とも呼ばれています。
     今回は、現在進められている塩ビのケミカル・リサイクルを紹介
    します。

   ●製鉄の原料に使う!・・・・高炉原料化

    鉄をつくる際に鉄鉱石から酸素を取り除く「還元剤」の原料として、
   コークスが使われています。このコークスの一部をプラスチックに置
   き換え、高炉に吹き込んで鉄をつくることを高炉原料化と言います。
    塩ビ業界では、1998年からNKKと共同でパイロット試験を開
   始し、2000年には5000トン/年の実用化実証プラントを建設
   しました。
      塩ビのうちの炭化水素分は還元剤としてリサイクル、さらに塩素分
   は塩酸として、鋼板の洗浄や工業用途で有効利用しています。

   ●油とコークスに戻す!・・・・コークス炉化学原料化

    プラスチックをコークス炉に入れて熱分解したり熱利用するリサイ
   クルも進んでいます。熱分解されたものは、軽油やタールなどの化学
   原料やコークス、発電用ガスとして有効利用されています。
      この方法は新日本製鐵で企業化され、2001年度は塩ビを含む廃
   プラスチック8万トンが、リサイクルされる予定です。

   ●塩ビを集めて塩ビに戻す!・・・・セメント原燃料化

    使用済み塩ビを熱分解すると、塩化水素と炭化水素にわかれ、この
   塩化水素は塩ビの原料として有効利用できます。
    1999年よりトクヤマで実証運転を開始、得られる塩化水素は再
   び塩ビ原料として、炭化水素はセメントの原料や燃料として無駄なく
   使われます。
      まさに「塩ビから塩ビへ」の循環型リサイクル・システムです。

   ●メタノールや酢酸をつくる! ・・・・ガス化

    廃プラスチックを高温で部分酸化すると一酸化炭素と水素、塩化水
   素が得られ、これらメタノールや酢酸の原料として使えます。この技
   術については、新日本製鐵とダイセル、および塩ビ業界で共同開発が
   行われてきました。
     現在、2000年12月に完成した1500トン/年のガス化パイ
   ロットプラントにより技術開発が行われています。
    また、宇部興産と荏原製作所の合弁企業EUPの「ガス化二段プロ
   セス」(1万トン/年)や、川崎製鉄の「サーモセレクト方式」
   (約6万トン/年)も同様の原理によるプラントです。いずれも実働
   を開始しており、塩ビを含む廃プラスチックからメタノールやその他
   の化学原料、発電用ガスとしてリサイクルされています。

   ●プラスチックを石油に変える!元祖マジック・・・・油化

    ケミカル・リサイクルの内で、もっとも早くから廃プラスチックを再
   資源化してきたのは、1998年から新潟市で運転されている「新潟プ
   ラスチック油化センター」です。1990年代半ばから(社)プラスチ
   ック処理促進協会を中心に、開発されてきました。2000年4月から
   は札幌市などでも同様のプラントが動いており、容器包装リサイクル法
   に対応しています。いずれも廃プラスチックを熱分解して重油などに戻
   し、そのときの塩素分は塩酸となって再利用されています。
 
   ●これからのリサイクル?

    廃プラスチックは、まず、マテリアル・リサイクルするのが望ましく、
   その点で塩ビは最も進んでいるプラスチックです。
    けれども、廃プラスチックの一部には様々なものが混ざり、分離不能
   とか、劣化、汚れの激しいものがあります。このような場合、無理にマ
   テリアル・リサイクルをしようとすれば、却って環境負荷が増大する場
   合があります。
    そのときは、ケミカル・リサイクルのほうが適切かつ賢明な選択とな
   ります。
    環境先進国といわれるドイツでも、近年、この方法が検討されていま
   す。

   ●塩ビ産業界はリサイクルを進めています

    多くの製品群を有する私たち塩ビ産業界としては、製品の特性・用途
   ・回収手段等に応じた、多様なリサイクル技術を整備してケース・バイ
   ・ケースの合理的なリサイクルの実施が必要であると考えています。
      このような考え方をリサイクル技術開発の基本において、VECは多
   面的な取組みで関連各方面と連携するとともに、役割分担を明確にしな
   がら効率的に進めることにしたいと思っています。
 
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  ☆2001ニュー環境展に出展して
   「ダイオキシンは“峠”を越したが・・・」

   ●9月4日から7日の4日間、ニュー環境展(大阪)で、塩ビ建材を中
    心とした塩ビのリサイクルの紹介を行いました。台風の影響なども心
    配されましたが、全体で6万人を超す来場者があり、これは昨年を4
    %上回る過去最高のもので、環境ビジネスや環境対策への関心の高ま
    りを反映したと思われます。

     全体ではリサイクル関連機器が目立つ中、製品の出展は少数でした
    ので、リサイクル塩ビ製品を展示したVECのブースは、目を引くも
    のでした。そのため「塩ビとリサイクル」、「塩ビ建材とリサイクル
    」、「環境優良素材辞典」など用意した4000部のセット資料も飛
    ぶ様に来訪者の手へと渡って行きました。

   ●展示品を見た方々からは、
      「えぇぇ〜 塩ビ壁紙もリサイクルされているんだ」
      「農ビから出来た車止めはタイヤにも優しそうだ」
      「塩ビ管の拠点は36ヶ所も出来たのかぁ  本気だな」
      といった声も聞かれました。

       寄せられた質問や問合せも多種多彩でしたが、やはりダイオキシン
    に関わるものが大部分でした。そのなかでも、消費者の方を中心に、
    塩ビ製品の使用や焼却が安全であることをもう一度確認したいという
    質問が多くみられました。
      一方、製造業や流通業など、企業からの来場者の方の多くは、すで
    にダイオキシンと塩ビが直接に関係しないことを良く認識されていま
    した。

   ●しかし、来場された最終製品メーカーなどのお話では、いまだ塩ビ製
    品から他の素材へ転換させる動きが残っているようです。
      そのなかで次のようなお叱りをたくさん頂きました。
     「塩ビは、機能もコストも優れているし、使い方だけをちゃんとすれ
    ば、こんな良い素材は無いんだから、早く自信をもって使える状
    況にしてくれ。  塩ビ業界はもっと、しゃんとしろ!」 ・・・・・
 
   ●私たちVECは、多方面にわたっていろいろと活動を行っていますが
    まだまだです。今後も私たちは展示会やホームページ、市民集会など
    を通じ、広くご意見やご助言を求めていきたいと思っています。
      引き続き皆様のご協力、ご支援をお願いします。

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  ☆お知らせ
 
    □展示会出展     
 
     ・ぐんま環境フェスティバル 
       9月30日(日)10:00〜17:00
       県民広場・県民ホール・ビジターセンター(前橋)


    □塩ビ関連オフィシャルサイトのご案内

      塩ビ工業・環境協会(VEC)  https://www.vec.gr.jp
      塩化ビニル環境対策協議会    http://www.pvc.or.jp
      塩化ビニル管・継手協会     http://www.ppfa.gr.jp
      塩化ビニリデン衛生協議会    http://www3.ocn.ne.jp/~vdkyo
      可塑剤工業会          http://www.kasozai.gr.jp
      アメリカ塩ビ工業協会(VI)  http://www.vinylinfo.org
      欧州塩ビ製造者協会(ECVM) http://www.ecvm.org/hp.cfm


    □パンフレットのご案内

       各種パンフレットを用意しております。
       ご希望の方は下記にてご請求下さい。
         https://www.vec.gr.jp/NEW/Shiryo.htm
      
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  ☆編集後記
 
    第2号を完成させてやれやれ、と思ったら、トラブル発生。
   1,000件をはるかに越えるメール送信にシステムがダウン、
   完全に送り終えるまでに50時間以上も要しました。
   またまたご迷惑をおかけしました。次号は何とか謝らずに済ま
   せたいものです。(H2記)
 
 
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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp