NO.193
発行年月日:2008/09/18

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トピックス
◇中国プラスチック再生事業者団体との交流

随想
「人・家・地球」を健康にする省エネリフォームを考える(3)
プラスチックサッシ工業会 事務局長 齋藤彰彦

お知らせ
【NEW】設計・住宅業者の皆様へ
 今問題になっている内容のセミナーIn名古屋のご案内
PVC Newsが9/16に発行されました。

編集後記

トピックス
◇中国プラスチック再生事業者団体との交流

交流会では熱心な質疑応答が行われました
 中国のプラスチック再生事業者団体(中国塑協塑料再生利用専門委員会)の61名が、日本のプラスチックリサイクルの現状を視察するため9月初旬に来日しました。日本側は日本プラスチック工業連盟が窓口となり、プラスチック処理促進協会と塩ビ工業・環境協会が協力し、9月1日は日中双方のプレゼンテーションによる交流会を開き、 9月2日は昭和電工(二段ガス化プラント)およびJFE環境(NFボードと塩ビ高炉原料化プラント)のリサイクル施設を見学しました。中国では、徹底した手選別によるマテリアルリサイクルは進んでいるようですが、ケミカルリサイクル施設はなく、またJFE環境のリサイクル施設には今年の5月に胡錦濤主席が見学されたこともあり、強い関心を示していました。

 中国で生産されるプラスチック加工製品は約4,000万t以上と推定され、安価なプラスチック再生原料の入手は収益を左右します。全世界で輸出される再生用廃プラスチックの約7割、684万t(2007年)が中国に輸入されています。中国塑協塑料再生利用専門委員会の孫副会長によれば、中国では廃プラスチックの回収、再生に関わる企業は5万社以上で、従事する人は50万人以上とのことです。また廃プラスチックの輸入については輸入許可制度(再生事業の許可と輸入量枠の指定)があり、許可された事業者は1,236社あります。許可を得るには、設備や設備能力、環境対策などで基準をクリアすることが条件となります。輸入許可をもたない再生事業者は国内で回収される廃プラスチックのみを扱うことになります。

 中国国内には、もともと国営機関傘下の「廃品回収店」(12万ヶ所)による国営のプラスチック回収システムがありました。1980年代以降、このような国営の回収システムに替わり、個人商店や民間企業が多く現れ、回収・再生の民間リサイクルシステムが各地で動き出し、特に効率や利便性から回収・再生事業者が集団化した集約地へと発展しました。現在では、沿岸地域を中心に十数か所の集約地ができ、いずれも1,000社以上の企業からなっているとのことです。中国のプラスチックリサイクルの現状については、中国のプラスチック工業会の発表を参考に示せば、中国国内のプラスチック廃棄量は1,640万tに対し、回収量は800万tで、マテリアルリサイクル率は48.8%とのことです。但しプラスチック廃棄量の定義や推定根拠など、詳細は不明で、今後情報を入手する必要があります。ともかく廃プラスチックの国内回収に輸入量を含めると中国で取り扱われる廃プラスチック数量は1,480万tとなり、廃プラスチック再生事業が非常に大きな産業になっていることは明らかです。

 再生資源の国際循環については、安いコストでより価値の高いものに再生できるのであれば、資源の有効活用の観点から合理的ですが、 廃棄物の越境移動には注意が必要です。かつて青島事件という問題が起こりました。これは、中国山東省青島市で日本からの廃プラスチッ ク輸入品に廃棄物混入が発覚した事件(2004年)でしたが、これをきっかけに、輸出サプライヤーの登録制度(輸出業者の指定)および船積前検査制度が新設されました。また日本国内においても、 廃プラスチック輸出におけるトレーサビリティの意識が高まりました。

 中国では、リサイクル事業は完全に市場経済で動いており、それだけにリサイクル事業者には自律性が求められ、中国政府も事業者団体の設立および強化を促進しているとのことです。今回のプラスチック再生事業者団体の訪日は初めてのことで当初とまどいもありましたが、 交流会また懇親会を通して相互に理解が深まり、また話ができるチャンネルを得たことは今後に非常に大きな意味があるものと思われます。(了)

随想
「人・家・地球」を健康にする省エネリフォームを考える(3)
プラスチックサッシ工業会 事務局長 齋藤彰彦

いよいよ改修開始 目指せ最高水準
検証測定中
図表-1
(クリックで図表を拡大します)
フランス・ドイツの代表的なドレーキップ窓
図表-2
図表-3
発泡ポリスチレン外張り
図表-4
図表-5
塩ビサイディング施行

 隗より始めよと省エネデータを取ることを決断したが、どのようにすれば良いのか皆目わからない。そこで住環境改革フォーラム主催者である東京大学大学院建築学坂本教授にご相談、省エネ基本設計をしっかり行い、さらにリフォーム後における効果を検証測定する事にした。検証委員長は東大坂本先生、さらに日本の最高の研究機関である(独)建築研究所、(財)建築環境省エネルギー機構、東京電力(株)のご協力により行った。
 このように実証的な測定は全国でもめずらしく、省エネ、CO2削減の効果測定と施工手法の確認によるデーターは国への政策提言やリフォーム促進事業に役立ち、また今後、全国の設計・施工業者の研修資料としても活用できるようである。

 今回の省エネ改修として考えた重要なポイントは3点である。
 【第1点】は、窓の断熱強化をすることである。図表−1の通り、従来の住宅からの熱ロスは、冬の暖房時は窓からが48%、同様に夏の冷房時の熱侵入率は71%と言われている。環境・省エネ先進国であるドイツをはじめヨーロッパにおける窓のスタンダードは樹脂サッシであり、断熱強化として、窓からの熱ロスのうち77%をカットできる、最高グレードの樹脂サッシ(Low−E複層ガラスアルゴンガス入り)を採用することにした。もちろん高い防音効果が期待でき、ドイツではすでに55年、日本は北海道で35年間の施工実績があることも考慮した。

 ちなみにヨーロッパではドレーキップ窓が良く使われ、生活上たいへん便利である。その理由は、ハンドル操作を上にすれば内倒しになり、換気ができ、にわか雨に対応し易く、また外からハンドル操作ができないので、防犯面にも優れていることにある。さらにハンドルを横向きにすると室内側に窓が開くので、特に2階の窓掃除は簡単にできるから大変便利で、日本でも徐々に採用され、主婦の評判が高い。

 日本国内で販売されている窓サッシの種類にはアルミ、アルミ・樹脂複合、木、樹脂がある(図表−2)。ただ残念ながら日本は圧倒的にアルミサッシがメインで、省エネ窓の普及が非常に遅れている。これでは冬、外気が零度になれば窓は室内を冷やす強烈なクーラーになり、暑い夏になれば強烈な暖房機になるといっても過言でない。
 また、冬の暖房時の結露が大きな問題である。アルミ窓枠は熱伝導率が樹脂サッシの1000倍も良い為、鍋釜などには最高であるが、室内・外温度差が10数度あれば、窓は結露でカビ・ダニが発生し易く、特に小児、中高年の抵抗力が弱い家族は、健康面も問題になる。言うまでもないが、心頭を滅却すれば火も涼しとガマン精神論者、さらに室内を暖房しない、やぐら炬燵がメインの旧スタイル生活なら、室内と屋外の温度差もないので、アルミ窓でも支障はない。

 ちなみに世界の窓の性能を比較(図表−3)すると、日本の窓は次世代基準でも、K値がIV地域(東京)で4.65、III地域(仙台)で3.49となっており、ドイツの1.2と比べ約3−4倍と性能レベルが著しく低い。(K値とは熱貫流率であり、窓の断熱性能を表す。室内外温 度差が1℃のとき、1m当り1時間につき、何W(ワット)の熱が移動するか、単位はW/mK。もちろん小さい数値ほど窓の性能が高くなる。)

 【第2点】は、家の断熱性能を示すQ値を大手ハウスメーカーの新築目標性能レベル2.7W/mKを大幅に上回る、2.0W/mK以下に挑戦する事にし、古い家をすっぽり断熱材で覆う外張り工法を採用したことである。この性能目標値は建築業会の常識では考えられないと言われており、築35年も経過する低断熱・低気密のスカスカの家を、いきなり先進国レベル性能2.0W/mKは到底困難と思えたがチャレンジする事にした。
 なぜQ値性能にこだわるかと言えば、Q値が2.0W/mKの家であるなら、冬に外気温が10℃の日中時にさんさんと降り注ぐお日様の熱で室内は暖かく、暖房が不要になるからである(図表−4を参照)。(「Q値」は、熱損失係数といって、室内外の温度差が1℃の時、家全体から1時間に床面積1mあたりに逃げ出す熱量のことを指す。もちろん小さければ小さいほど、熱が逃げにくいので省エネ性能がいいとされる。)
 日本の車や家電製品は、世界トップレベルの省エネ性能を有するが、住宅の性能に関しては、日本で最高水準といわれる次世代基準でも、先進国基準と比較して低いと言わざるをえない(図表−5)。そのうえ、新築住宅の70%は次世代基準を達成できていないのが実情である。

 断熱工法は気密施工が容易で壁体内の結露の発生をほぼ解消できる、透湿抵抗が高い発砲ポリスチレンを外張りする事にした。(内断熱工法は防湿層を隙間なく張り巡らし、複雑な工事となるため採用しなかった。)

 【第3点】は、外張り工法でベストな外装材、軽量で、超耐久、暴風雨に強く、ノーコーキング、メンテナンスフリーの塩ビサイディングを採用したことである。カナダや北米で圧倒的な実績があり、抜群の長耐久性があるこのサイディングがなぜ日本に普及しないのか不思議である。(続く)

前回(2)は、下記からご覧いただけます。
https://www.vec.gr.jp/mag/189/index.html#zuisou

上記以前のバックナンバーは、以下のアドレスからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

お知らせ

【NEW】設計・住宅業者の皆様へ
 今問題になっている内容のセミナーIn名古屋のご案内

 樹脂サイディング普及促進委員会、樹脂サッシ普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し講演を行ないます。

・日 時  2008年10月3日(金)
13:00〜17:00 (開場 12:30)
・場 所  中産連ビル本館2F 2C室
・主 催  住まいづくり研究会
・後 援 (社)愛知県建築士会【CPD制度認定講習:4単位】
・参加費  無料(定員:先着150名)
・参加申込み締切り:9月26日(金)
・お問い合わせ:住まいづくり研究会
          電話:092(871)2409

PVC Newsが9/16に発行されました。

PVC News66号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されました。

◇トップニュース1
イオンが塩ビ製ギフトカードを開発。
リサイクルの取組みも
◇トップニュース2
VEC/JPECがプラスチック化学リサイクル研究会の功労賞受賞

最新号、バックナンバーとも、こちらからご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/

ご希望の方には、発行ごとにお送り致します。送付先を以下のアドレスにご連絡ください。
info@vec.gr.jp

編集後記
 暑さ寒さも彼岸までと言いますが、彼岸に近づくにつれ朝夕は少し ばかり凌ぎ易くなってきました。ところで9月初めTVニュースを見 ていた所、次のような報道がありました。
 8月末に大雪山赤岳の第3、第4雪渓でナナカマドの紅葉が8〜9 割ほどに色づき全体的にはほぼピークを迎え、更に、9月初め黒岳山 頂のナナカマドの紅葉がピークを迎えたそうです。大雪山は日本で一 番早く紅葉するのですが、例年より2週間程早く、50年もの間、大 雪山に関わってきた人でさえこんな年は初めてだと首を傾げているそ うです。8月に氷点下の日が5日間もあったのが原因ではないかと。 一地域の一時的とはいえ、この異例な大雪山の低温の異常気象も、人 為的CO2排出による地球温暖化の所為なんですかね。(古鍋)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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◆編集責任者 事務局長  東 幸次

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