NEW VEC MAGAZINE Vol.19
発行年月日:2004/07/29



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コラム
廃棄物問題は心の問題
山本達雄
環境バンク・セミナ−報告
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コラム

廃棄物問題は心の問題

山本達雄

 店中(たなじゅう)の尻で大家は餅を搗(つ)き
 ここには、江戸時代の大家さんが店子の糞尿までも小遣い銭にしている情景が活写されている。江戸時代のリサイクルは徹底していて、古着、紙屑はもとより、灰、蝋の燃え残りから下肥まで、その取扱いを生業とする人達がいたという。
 もっともこれは、人口3000万人のゼロサム社会だからこそできたことかもしれない。衛生上などの問題などで現在では考えられないこともあるが、ここで大切なのは、そこに住んでいる人達に物を大事にしようとする心があったということではないだろうか。
 100円ショップに日用品が山と積まれ、修理代より安いテレビ、駐輪料金3か月分で買える自転車等々、私たちの周りは物であふれかえり、飽食した人々はより高級な料理を追い求め、糖尿病に苦しみ、ダイエットに励む。
 物を愛する気持ちが無くなると人命さえ粗末にするのではないかと、今の世の中を憂う。
 「廃棄物の問題は技術や経済の問題ではない、心の奥底の問題だ」と喝破した先人がいたが、我々はその言葉をじっくりかみ締めることが必要と思われる。

 塩ビ製品のリサイクルについて考えてみたい。
 わが国の塩ビ産業はアメリカの塩ビ廃棄物のリサイクルからスタートしたことからも分かるように、塩ビは耐候性が強くリサイクルしやすい特性を持っており、メーカー各社も工程内廃棄物のリサイクルは徹底して行っている。
 問題はユーザー先からの廃棄物の処理である。
 社団法人プラスチック処理促進協会の調査によると、2002年度に解体した8棟の住宅に使用されていた材料を分析したところ、塩ビ製品は下水管から始まり、壁紙、床タイル、雨樋、電線、ベランダ床材、ルーフィング(防水シート)、巾木、モルタルコーナーなど多種多様・広範囲に及び、部材に用いられているプラスチック類の75%にもなり、その住宅を構成する建材中の塩ビの原単位は約2kg/m2であったという。
 これら建築廃材のうちパイプ類は国内のリサイクルシステムを整備し、壁紙は都内でリサイクルモデルの実証実験中である。
 建材以外では農業用フィルムが農業者団体や各自治体などの協力を得てリサイクル率50%を誇っている。
 しかしながら、塩ビ廃棄物全体を見ると、そのリサイクル率はまだまだ十分とはいえない状況にある。
 ところで最近、塩ビ製品を他のプラスチックなどから分離し・リサイクルする技術の企業化構想が発表された。運転開始までにはまだ1年余りを見なければならないが、この設備が本格的に動き出せば塩ビ製品のリサイクル問題には、かなり明るい見通しが得られるのではないか。
 技術的、経済的に未分明な点もあるが、そのリサイクル品の販路さえしっかりすれば、大いなる未来(当該リサイクル事業者だけでなく、塩ビ業界全体の)が見えてくるように思われる。
 今求められるのは、塩ビ業界各社が当該リサイクル品の活用策を本気に考えて、システム作りを進めることではないだろうか。


■環境バンク・セミナ−報告

FP&環境システムプロデュ−サ−・長谷部和子
平成16年6月19日(土)慶應義塾大学セミナ−

『温暖化抑止は樹脂サッシで』
プラスチックサッシ工業会 代表幹事 斎藤彰彦

・小さなエネルギーでどの様に生活ができるかが重要。
日本の住宅寿命は短い−日本26年、イギリスはその三倍の寿命寿命には物理的寿命と社会的寿命がある。
先進国比較の省エネ基準−平成11年の基準で先進国の平均基準になった。しかし、義務ではないため基準より悪い住宅が多い。


・窓の高性能化が省エネのためには重要
住まいの基本的な性能−構造躯体:耐久性・高性能、計画換気:24時間、機密性能:C値=2.0以下、断熱性能:Q値=1.8以下
全国的に高温都市化が進んでいるが、住宅の性能が悪いと必要以上に冷房を強くしてしまうことが多い。
性能の悪い家は冬には室内でも床と天井の上下温度差が10℃以上ある。性能の良い家は1℃程度。窓は冬には強烈なクーラー、夏には強烈な暖房になってしまう。
熱損失から見る窓の重要性−冬は45%程度の熱が窓から逃げる。夏は75%程度の熱が入ってくる。

・樹脂サッシはCO2削減の救世主−平均世帯で、全館プラスチックにすると年8,500円位のエネルギー料金の節約になる。


<質疑応答>

(1)

ペアガラスの断熱効果を除いたプラスッチクサッシだけの断熱効果はどの程度あるのか?
データを持ってきていないので分かりません。
後日(プラスチックサッシの断熱効果=全体の30%)

(2)

塩ビサッシの製品が回収されてリサイクルされる割合はどれくらいか?
まだ廃材として出てきていないのでわからないが、工場で出てくる端材のリサイクルは行っている。

(3)

日本が世界から遅れたのは何故?
アルミサッシの業界の力が強く、また安く作る技術が高かった。

詳細はこちらから

http://www.env-center.com/report/report_ja.html


お知らせ
展示会

「環境広場さっぽろ2004」

日 時 7月30日(金)〜8月1日(日)10:00−17:00
場 所

アクセスサッポロ(札幌市白石区流通センター4丁目)
(地下鉄「大谷地駅」バスターミナル1番のりばから無料シャトルバス運行)

PVCニュース

PVCニュース No.49号(6月号)が発行されました。
本文は下記をご覧下さい。

http://www.pvc.or.jp/index/i_saisin.html

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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