NO.189
発行年月日:2008/08/21

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トピックス
◇JPEC研修会が大阪、東京で開催
−「塩ビを取巻く状況」、「REACH」などの動向−

随想
「人・家・地球」を健康にする省エネリフォームを考える(2)
プラスチックサッシ工業会 事務局長 齋藤彰彦

お知らせ
ハイクオリティな家づくりセミナーin秋田 のご案内

編集後記

トピックス
◇JPEC研修会が大阪、東京で開催
−「塩ビを取巻く状況」、「REACH」などの動向−


 塩化ビニル環境対策協議会(JPEC)主催の研修会が7月18日 に大阪科学技術センターで、7月23日東京虎ノ門パストラルでそれ ぞれ開催され、両会場とも猛暑にも拘わらず、100名近い方々の参 加をいただきました。
 JPECでは会員団体の構成企業各社の方々や塩ビの製品に関係さ れている皆様に、塩ビを取巻く最近の状況やトピックスなどをタイム リーに提供したり、関連する世界の状況などを学習するため定期的に 研修会を開催しており、今回もその一つとして行いました。
 今回の研修会では、塩ビ再評価の動きや塩ビ製品のリサイクルの進 展、REACHの動向などの「塩ビをめぐる最近の状況」と、3年ぶ りに4月にイギリスのブライトンで行われた「塩ビ世界会議(ブライ トン会議)」の中から、世界全体での塩ビ市場の見通しや塩ビ産業の 動向に関するものについて、塩ビ工業・工業協会から講演を行いまし た。

 リサイクルに関しては、昨年6月公表したリサイクルビジョンの取 組みの一環として塩ビ工業・環境協会にて創設し、昨年末より運用を 開始した「塩ビリサイクル支援制度」や、個々の塩ビ製品のリサイク ルにおけるこの1年の進展などについて紹介しました。
 塩ビ再評価の動きとして、最近のマスコミでの評価や地方自治体に おける塩ビ忌避条項の撤廃を含め、官公庁や企業の現況について紹介 しました。象徴的な事例としては、流通系の大手企業で新たに塩ビ製 ギフトカードが採用されたこと、住宅メーカーで塩ビの壁紙は当初は 削減対象としていたのを優先取り組み物質に変更し、リサイクルを進 めると方向を転換したこと、耐久性、リサイクル特性等、塩ビ製品の 環境性能が見直された結果、これまでに10件あまりの製品について エコマークの基準が定められたことなどの紹介も行いました。
 特にエコマークについては、塩ビは塩素を含むため、燃焼時のダイ オキシン発生の主原因とみなされ、対象から塩ビ製品が外されてきま した。ダイオキシンの発生は燃やすものに関わらずもっぱら燃焼条件 によるものであることは分かっていましたが、ようやく理解され、そ の結果、日本環境協会は塩ビ排除の方針を転換し、塩ビ製品の認定が 復活し、リサイクル塩ビ材料を使った個別の塩ビ製品でエコマーク認 定基準が設定され、各社で該当する塩ビ製品の登録が始まっているこ とを紹介しました。

 REACHの関連では、6月30日にEUで高懸念物質リストの候 補の候補として16物質がパブコメにかけられたことに関連し、最新 の動向について情報の共有を行いました。研修会の参加者にとって、 強い関心のあるテーマの一つでした。本件についてはVECのホーム ページに関連の記事を掲載しています。ご参照いただければと思いま す。(新着情報7月8日)
https://www.vec.gr.jp/topics/new106.htm
 塩ビの可塑剤についてはSPEED’98でリストアップされまし たが、最終的に内分泌かく乱作用はないということを環境省が公表し、 産業技術総合研究所による詳細リスク評価でも塩ビの可塑剤、DEH Pによる生態系やヒトに対するリスクについて、「リスクは懸念され るレベルにない」と結論付けられていることの紹介も行われました。

 「塩ビ世界会議」からは、世界の塩ビ需要は2012年には450 0万トンにまで拡大し、うち中国が1500万トンを占めるとの予測 が紹介されました。
 海外の市場動向で高い関心を呼んでいるのは中国の動向です。最近、 生産能力の増強が急ペースで進んでおり、これまで、輸入国であった のが輸出国に変わりつつあります。しかし、中国の内需の増大は旺盛 であり、供給能力の増強は基本的には需要にほぼ見合ったものになっ ているのではないかというのが多くの見方です。中国の生産の8割は、 アセチレン法によるものと言われています。内陸部では原料へのアク セスの良さなどで競争力があるものと考えられますが、環境対策が課 題となる可能性があります。世界的には、中欧、東欧で成長のポテン シャルが高く、両者で4百万トン程度の潜在需要があると見られてい ます。
 いずれにせよ、欧州の塩ビ産業には活気があることを強調しました。

 今後もJPEC加盟団体の会員会社の皆様をはじめ多くの方々に、 塩ビに関係する情報をタイムリーに発信すると同時に皆様からのご意 見を頂戴する情報交換の場としてこの研修会を続けてまいります。ど うぞよろしくお願い申し上げます。

 (追記)すこし脱線しますが、欧州では、塩ビをより環境によい製 品にしようとする開発が活発に行われています。塩ビ本来の優れた製 品特性、環境特性を考えれば、当然のことなのでしょう。たとえば、 塩ビ製樹脂サッシの温暖化対策への貢献は世界でも共通の認識であり、 環境先進国のドイツでは5割を超す普及率です。日本での普及率は1 割にも満たず、ドイツ並みの普及率となっているお隣の韓国はおろか、 中国にも大きく水をあけられています。科学的に合理的に環境によい もの、良いことを判断して製品を使っていくというのが世界の流れで あり、欧州で顕著です。残念ながら我が国では、いまだに、塩ビを使 わないことで環境に良いと安易にアピールするような、半ば子供だま しのような話が、ずいぶんと少なくはなったもののときどき見つかる のは残念です。
 ちなみに、欧州でスタートしたREACHの真の狙いは、リスク評 価を行って化学物質を適切に使っていこうというものです。化学物質 には何らかの有害性があり得ることを前提とし、適切に使うことで便 益を享受しつつ、リスクは受容可能なレベル以下に管理するというも のです。ところが、日本は、あいかわらず、有害性が見つかればその 使用を避けるという有害性管理の考えから抜け切れていません。この ことは、産業技術総合研究所安全科学研究部門長の中西準子氏も問題 提起されています(雑感432-2008.6.10「「リスト屋さん」をやめよう よ!−REACH予備登録開始に際して」
http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak431_435.html)。

 有害性データがとれていれば、使い方を管理することで問題となる リスクを回避することができます。これは、合成されたものに限らず、 天然由来の化学物質でも同じことです。安全に使えることがわかって いる物質を、有害性のわかっていない(つまり有害性データがとられ ていない)化学物質で安易に代替しようとするなら、REACHの狙 いとはあべこべの方向になります。日本の企業がREACHの本質を 正しく理解し、それを現実的かつ効果的に達成するためにどうしたら 良いのかを提案するくらいの心がまえで対応できないものかと思案す る次第です。(了)

随想
「人・家・地球」を健康にする省エネリフォームを考える(2)
プラスチックサッシ工業会 事務局長 齋藤彰彦

心頭を滅却すれば火もまた涼しと、やせ我慢の生活はいけない!

 我ら団塊世代の気にすべき最高の財産は、「人と家の健康寿命」で あると考える。元気に生活できるには、上質な温熱環境を担保し、省 エネ効果を期待する断熱改修と、賞味期限ギリギリの家?をさらに4 0年くらいは居住可能な、長寿命住宅に再生する必要がある。(人の 寿命は神のみぞ知るはずながら、100歳まで?住宅の延命対策を考 えた)さりとて健康は第1に良い食事と、さらに適切な運動が必要で あることはいうまでもないが、第3の居住環境がなぜか忘れられてい る。

 今から去る300年も前、すでに貝原益軒が84歳に書き上げた「 養生訓」には、人間としての生き方が説かれている。人は何のために 養生するのか?その答えは「人生を楽しむため」という明快なコンセ プトがあった。
 働き蜂であった中高年こそ、セカンドライフは<ピンピンコロリ> 健康体温を保持する必要があるが、残念ながら熟年者は食事量(エネ ルギー源)が減り、さらに発熱源である筋肉量も減ることから、当然、 体熱は不足気味になりがちである。そこへ温熱不良の住生活で、どん どん体熱が奪われてしまえばたまったものではない。

 なにせ定年後の生活は毎日が日曜日。特に冬は行き場もなく、断熱 性が悪い家なら暖房すれども天井は30℃に、床付近は16〜17℃ と冷え冷えとするから、活動が鈍くなり、さらに体熱を奪われてしま う。
 夏は冷房により、断熱が悪い家は、たちまち床付近に冷気流がたま り、やはり体熱を奪われ、熟年者は脳卒中・老化促進リスクが高まる と力説したせいか、ようやく妻から冷ややかな賛同を得て(主婦の夢 はキッチンなれども、最低の予算にする。これって女心が読めないの かも?)やや独善的ながら終の棲家5つの基本方針を決定した。

(1)省エネ・快適・健康増進
(2)高齢者の生活バリアフリー
(3)安全・安心なセキュリティー
(4)便利な住空間
(5)老朽化の対策(詳細は割愛する)

リフォーム前の家 高断熱リフォームの家
●一部の部屋だけ冷暖房 全部の部屋を冷暖房(光熱費は従来以下)
●冬は身が縮み、がまん 冬ものびのびと家中が快適生活
●間欠の暖房 フルタイムで暖房(光熱費は従来以下)
●暖房温度26℃でも不快 暖房温度は20℃で十分に快適
●暖房時の上下温度差10℃以上 暖房時の上下温度差1〜2℃未満(重要である)
●冬は日中も寒いから暖房 冬の太陽は暖かい、日中は暖房休止する
●冷房温度22℃で不快 冷房温度28℃で快適、外気温度差が少なく健康
●夏は冷房をガンガン 夏は朝方の涼しい空気を取り入れ、除湿で快適

 ところで少し余談になるが、人間は寒いと体温調節メカニズムはど うなるのか?
 脳にある視床下部は、自律神経に交感神経を活発にさせる指令が出 され、その指令で体熱を極力奪われないよう手や足の血管をギューと 収縮、血液の流れを抑制させ、心臓、肝臓など大事な内臓を守るよう に働く。したがって、家の中が寒く足腰が冷やされると血管収縮がお き、血液がサラサラに流れにくくなれば、当然酸素や栄養、エネルギ ー物質が細胞へ届かないので体の隅々で老化物質が生成される。
 よく、雪山登山で凍傷になるが、断熱性能が悪い家も家の中にある 寒さから・・軽度の・・凍傷現象が起きていると考えられるので、熟 年者には「冷えの対策」が肝要になる。(続く)

前回(1)は、下記からご覧いただけます。
https://www.vec.gr.jp/mag/185/index.html#zuisou

お知らせ

ハイクオリティな家づくりセミナーin秋田 のご案内

 樹脂サイディング普及促進委員会、樹脂サッシ普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し講演を行います。

 これからの住宅を考える
 〜超長期優良住宅、省CO2住宅に必要な省エネ・健康
 =ハイクオリティな家づくりセミナー

・日 時 2008年9月2日(火)
13:00〜17:45(受付12:15)
・場 所 秋田県JAビル会議室(8階大会議室)
・主 催 株式会社日本住宅新聞社
・後 援 (社)秋田県建築士会【CPD制度認定講習:3単位】
・参加費 無料
・参加申込み締切り:8月26日(火)先着100名
・お問い合わせ:株式会社日本住宅新聞社
          電話:03(3823)2511

編集後記
 8日から始まった北京オリンピック。水泳、体操、柔道などが火蓋 をきってスタートしました。前半の圧巻は何と言っても北島康介選手の100m、200m平泳ぎのアテネに続く連続2制覇、TVで観ていて、 本当に鳥肌のたつ思いでした。15日からはいよいよ陸上も始まりま した。日本選手の活躍はまだまだ続きます。自分のもてる力をフルに 発揮、完全燃焼されることを祈るばかりです。
 先週15日は終戦記念日、平成20年8月15日、昭和と平成、元 号こそ違え、今年は奇しくもあの日と同じ年月日の年です。戦後63 年、先日の武道館で開催された全国戦没者追悼式でも参列者に、とう とう戦没者の親の世代の方がおられなくなったとか。戦地で亡くなら れた方々が今の日本を見てどう思われることか、胸をはって見てもら える日本になっているのだろうかと、この時期を迎えるたびに思いま す。(丸茶)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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