NO.175
発行年月日:2008/05/01

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トピックス
◇塩ビ国際会議、ブライトンにて開催される

随想
エリトリア旅行記(6)−戦争−
(社)日本化学工業協会 若林康夫

編集後記

トピックス
◇塩ビ国際会議、ブライトンにて開催される

講演の様子
ロイヤル・パビリオン
 第10回塩ビ国際会議がイギリスのブライトン(Brighton)で4月22日から24日の3日間開催され当協会からも参加し、招待講演として「日本とアジアの市場」について、一般講演として「日本での塩ビリサイクル」について発表しました。
 この国際会議は3年毎に開かれており、ブライトン会議とも言われ、塩ビの国際会議では最大の規模のもので、今回の参加者は約450名でした。ただし、その大半はヨーロッパの塩ビ関連の企業からで、米国からの参加も少なく日本からの参加も数名でした。

 ブライトンはロンドンから南に電車で30分程度の距離にあるイギリスでも有数のシーサイド・リゾートとして知られています。ブライトンはもともと漁村でしたが、18世紀頃から海岸沿いのリゾートとして発展をはじめ、1841年にロンドン−ブライトン間の鉄路が開通し、壮麗な建物も建設され、現在の景観ができたとのことです。ロイヤル・パビリオンは1800年代初頭に王室の住居としてリージェント王子(ジョージ4世)によって建築され、インド風の外観とオリエンタルな内装が美しい、ブライトンの目玉となっている建築物です。PVC会議の開かれたブライトン・ドームはロイヤル・パビリオンと庭園を隔てた所にあり、その中心がドームシアターと呼ばれる二階席のあるコンサートホールで、会議1日目のプレナリーセッションはここで行われました。

 プレナリーセッションは13件の基調講演および招待講演からなり、2日目および3日目は3会場で分野毎に計47件の発表がありました。プレナリーセッションでは、急速に拡大を続ける中国の需給およびコスト構造が注目されるなか、CMAI(調査会社)は世界の塩ビ需要は現在の3,500万tから、2012年には4,500万tにまで拡大し、そのうち中国は1,500万tを占めると予測しました。さらに、中国は2009年頃に輸出ポジションとなるが、主流であるカーバイド法塩ビも石炭価格の上昇およびエチレン価格の今後の低下を予測すれば、欧州に輸出するだけのコスト競争力はないとの見方を示しました。

 ECVM(欧州塩ビ製造協議会)からは、「Vinyl2010の2010年に向けてカウントダウン」と題して発表があり、1)Vinyl2010コミットメントは、ボランタリーコミットメントの模範として世界の塩ビ関連業界に大きな影響を与えた、2)使用済み製品の20万tのリサイクルは達成の見通しである、3)塩ビリサイクルに対して財政的援助を継続する、4)特に塩ビ廃棄物の収集・選別を促進するRecovinylシステムを拡大する考えであることなどが表明されました。ただし2010年以降については、明確なビジョンは示されませんでした。また、欧州で進められてきた2件のフィードストックリサイクル・プロジェクトが失敗したことも明らかにされました。

 当協会からの招待講演では、日本の塩ビをめぐる官庁、トップ企業の動向を話すとともに、環境省に塩ビ内窓が設置されたことや、エコプロダクツ2007で塩ビの説明を聞く子供達の様子なども写真で示し、他の発表ではみられない生き生きした印象を聴衆に与えたようでした。

 一般講演の発表内容は、塩ビ全般にわたっていました。そのなかで、塩ビのサステナビリティが一つのジャンルとして独立し、LCAに関する発表がありました。技術では、重合、加工、コンポジット、可塑剤、安定剤、樹脂改良材、充填材などの幅広い分野において、市場動向および将来展望のなかでの製品開発などビジネスと関連付けた発表が多く見られました。リサイクル関連の発表は4件で、当協会から日本での塩ビリサイクル状況を説明したところ、フィードストックリサイクルの将来、壁紙リサイクル技術について質問を受け、このような分野に対する欧州の関心の高さを感じました。(了)

随想
エリトリア旅行記(6)−戦争−
(社)日本化学工業協会 若林康夫

 掲載している写真は首都アスマラ郊外にあるTANK Graveyardの様子です。TANK Graveyardは独立戦争時に使用され、終戦後廃棄された戦車の廃棄場です。

 エリトリアの独立戦争は、当時冷戦状態であったアメリカやソ連、中国など他国の介入を受けることはありませんでしたが、ソ連や中国は絶好の商売機会とばかりにエチオピアとエリトリア両国に戦車をはじめ、武器を売り込んでいました。
 当時、他の国では現在と同様、空軍を中心とした戦い方に変わっていましたが、お金が余り潤沢ではない両国、エチオピアとエリトリア軍は戦車が中心、さらにエリトリアでは有志市民によるゲリラ部隊が戦いの戦力でした。

 このTANK Graveyardに廃棄されている戦車のほとんどがソビエト製。中国はこのような重機ではなく、元はソ連の設計で、当時、中国で大量生産をされていたトカレフ銃やカラシニコフ銃の供給を主に行っていたようです。銃の供給は今も行われており、エリトリア国内ではどこででも見ることができます。
 ただ、非番か、休暇中、あるいは移動のためか、制服を着た兵士だけでなく私服を着た兵士と思しき人が、カラシニコフのマシンガンをむき出しのままで持ち歩き、長距離バスで乗り合わせた時などは置く場所がないのでそのまま床にゴロンと置きっぱなしなのには驚きました(もちろん、弾は入っていません)。長距離バスなので途中、休憩時間があるのですが、銃はそのまま。持主はバス停のそばのカフェでノンビリとコーヒーを飲んでいました。その間、乗り合わせていた子供も興味を示すこともなく、武器がいつも身近にある生活であることがよくわかりました。

 現在、国連軍の保護下にあるエリトリア。正式には新しい戦車などの重火器兵器の購入は認められていません(マシンガンやけん銃など、自衛のためのある程度の武器の購入は認められています)。
 エリトリア国民の大半もそう思うことにしているようですが。。。
 某所で、目の前を駆け抜けていった最新型の戦車は。。。
 あれは幻だったのでしょうか?しかも、あの戦車は輸出禁止だったような。。。
 あ、何も見ていません。あれは、エリトリアで見た夢でした。ということにしておきます。

 30年間続けられた独立戦争。死者の数は正式には発表されておらず、推計値も65,000人〜200,000人と非常に幅が広く、どの数字を信じていいのか悩むところです。多分、正規政府軍の戦闘従事者だけの死者の数をカウントしたものと、一般市民の死者も併せてカウントしたものの違いだとは思いますが、残念ながらよくわかりません。

 最初に、エリトリア人の平均寿命が51歳とお伝えしましたが(これはエリトリア政府の正式統計)、独立戦争で多くの大人が死亡し、年齢構成が歪になっていることも考えられます。この平均寿命が単純平均で出されたものであれば、元々、独立戦争を生き延びた高齢者が少ないので平均寿命はかなり低くなります。エリトリア政府の統計局で平均年齢は「加重平均(Weighted average)」で算出したのか、「単純平均(Simple average)」を尋ねたのですが、教えてもらえませんでした。
 エリトリアで色々な方にお会いした個人的印象では、もう少し平均寿命が高いような気がします。国際的な関係で、わざと低い数字を採用しているのかもしれません。

 エリトリアに滞在している最中、レバノンではキリスト教徒を対象とした爆弾テロが発生しました。
 同じように国内に複数の宗教の教徒がいるエリトリア。このような国では宗教の話はしない(してはいけない)のがお約束ですが、個人的に仲が良くなった人、数人(この中にはキリスト教の牧師も含まれます)に聞いてみました。キリスト教徒もユダヤ教徒も、そして、普通は他の宗教を一切認めないはずのイスラム教徒の人もみな同じ表現で答えました。
 「我々は互いに他の宗教を“Respect”(尊敬)しているのでレバノンをはじめとする他国のような宗教対立はありえない」。
 特に、イスラム教徒の人が他の宗教を認めていること自体が、大きな驚きでした。ただ、どの人も、宗教と軍の話になると、全員が声をひそめて話をすることに、エリトリアのちょっと複雑な状況が表れていたような気がします。(続く)

前回のエリトリア旅行記(5)−不足− は、下記からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/168/index.html#zuisou

エリトリア旅行記のバックナンバーは、下記からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

編集後記
 いつからか、『立ち飲み』のお店が増えてきて、もうすっかり市民権を得ているようですね。私の通勤途中にもあるのですが、ある朝、看板の所に大きくある言葉が書かれていました。いわく「一日パソコンの前に座ってんだったら、呑むときくらい立ったほーが体のためよ。」誰ですか?思わず『にんまり』しているのは。「体のために、立って呑むのが良い」と言っている訳ではありませんから、『呑む理由』にはなりませんよ。そうは言っても、「体のためなら、呑まないほーが良いに決まってる。」などと言わずに、連休前に試してみてはいかがですか?
 来週のメルマガは休刊いたしますので、次回は5月15日(木)です。楽しい休暇をお過ごしください。(漠)

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