NEW VEC MAGAZINE Vol.15
発行年月日:2004/03/25



今月のメニュー
コラム
屋上緑化と塩ビ壁紙リサイクル品
- ヒートアイランド対策や生活に憩いの場を与える屋上緑化に塩ビ壁紙
リサイクルブロック -
新第一塩ビ(株)
野田 善彦
生活バンク・FPの部屋
読者便り
コラム

屋上緑化と塩ビ壁紙リサイクル品

- ヒートアイランド対策や生活に憩いの場を与える屋上緑化に塩ビ壁紙
リサイクルブロック -

新第一塩ビ(株)
野田 善彦

○ 東京都内の屋上緑化展示場を見学

 昨年、豊島区、台東区、墨田区役所や商業ビル等いくつかの屋上緑化と塩ビ壁紙ブロックの使用状況を見学しました。
壁紙のリサイクルブロックは、軽量で、非常にカラフルなので若い人にも受入やすく、綺麗で、見ている人に安心感を与えてくれます。また、様々な草花を配したり、芝生のまわりに敷石などを使用した屋上庭園は、都心のオアシスとして、昼食の場となったり昼休みの一時を過ごす団欒の場となったりしていました。
 区役所の人たちの話では、屋上緑化に関心をもっている人や実際にやってみたい人は多く、展示場を訪問した人たちからは、綺麗な花が沢山咲いていて快い気分になれたとか、夏の夕涼みを自宅の屋上でできたらよいなどの声も多く聞かれたようです。
ただ残念なことは、見学した人たちの質問の多くは、「屋上緑化にはどのような植物が適しているか」など、植える草花の名前に対する興味が強く「使用されている緑化部材に関するもの」はあまりないとのことです。


○ 塩ビのあまり知られていない用途

 塩ビ(塩化ビニル樹脂)は併せ持つ優れた性能により、水道や下水管、電線などの公共ライフラインをはじめ建材や日用品など様々な分野に利用されています。皆さんも水道用のパイプや建材の壁紙や床材などは日常良く見かけられると思います。また、最近注目されてきている塩ビ製の窓枠や外壁材などもあります。
 このようによく知られている用途以外にも、意外なところで使用され、皆さんのお役にたっているものがあります。たとえば耐久性や施工性、経済的なことから、神社の鳥居や中学校の音楽で必須となった和楽器教材の尺八などもあります。

 これからご紹介する塩ビ壁紙のリサイクルブロックは、近年のヒートアイランド現象対策として、屋上庭園の縁石や敷石などに使用され注目されてきています。ヒートアイランド対策だけでなく、屋上の憩いの場として塩ビ壁紙のリサイクル品が、植えられた花木など植物を支える目立たないところで一役買っているのです。


○奥深い屋上緑化の効用と広がり

 屋上緑化は、年々深刻化する都市部のヒートアイランド現象の緩和対策として近年急速に期待が高まっており、取り組む自治体も増え、施工事例は首都圏をはじめ地方都市にまで全国的な広がりを見せています。特に、緑化計画を条例化している東京都では、多くの自治体が屋上に展示場を設けるなどして推進しています。東京都は2001年に条例で屋上緑化を義務化し、15年間で1200ヘクタールの緑化をめざしており、屋上緑化普及の為の助成制度(1㎡当たり1万円。上限40万円等)を導入しているところもあります。
 また、屋上緑化は少ない経費で個人レベルでも取り組め、身近に緑に触れることで精神的な潤いももたらしてくれる多用で幅広い趣味と実益を兼ねた楽しみにもなると言われています。
 塩ビ壁紙リサイクル品の屋上緑化の試みは平成13年の渋谷区役所を皮切りに、最近では東京都の各区役所のモデル展示場で見かけることができます。現在の屋上緑化は自治体主導ではあるものの、民間のビルにおいても使用され始め、そのうち一般家庭にまで拡大していくことは間違いないと予想されます。最近では、自宅マンションのベランダなど限られた空間を利用し緑を楽しんでいる人もいます。また商業ビルでは昼食をとったり昼休みの一時を過ごす絶好の場所とされたりしています。


○ 塩ビ壁紙と屋上緑化部材としてのリサイクルブロック

 塩ビ壁紙は昭和39年頃より、現場での施工性、耐久性、難燃性や意匠性などの優れた機能により、住宅分野を中心に内装仕上げ材としてなくてはならない建築資材のひとつになっています。
 一方、住宅やビルディング等のリフォームや解体の増加に従い塩ビ壁紙の廃棄量は今後徐々に増えてくるものと予測され、業界によるリサイクル技術開発も本格化してきています。
 塩ビ壁紙は、平成15年度からは資源有効利用促進法に基づいて製品に「∞PVC」の表示がスタートし、業界として使用済み壁紙を回収して有効利用するリサイクルシステムの構築へ向けたモデル事業も積極的に進められています。
その有効利用先の一つである壁紙リサイクルブロックは塩ビ壁紙の廃材をセメントで固めたリサイクル製品で、壁紙の樹脂層と裏紙層を分離することなくそのまま粉砕加工したものです。その為、コストが安く、一般のブロックに比べ軽量で施工性が容易なため、短期間で施工できるとか、着色が容易であることからカラフルでデザイン性もよく、メンテナンス費用も少ないなど多くの利点があります。
 また、リサイクルブロックは軽量化でき、普通レンガなみの強度があるなど屋上緑化部材として高い適合性も確認されています。


○このようにいろいろな用途に使用されている塩ビは、その使用後も再びマテリアルリサイクルされ、皆様にあまり知られていないところで、縁の下の力持ちとして使用されている製品も多くあります。

 近い将来、国土交通省の緑化基準、環境省の全国小中学校の「エコ改修」、経済産業省の工場立地法での屋上緑化も緑地とするなどの、緑化推進計画が進められることでしょう。それに伴い、屋上緑化部材が、ヒートアイランド現象の緩和と皆さんの心の癒しに役立ち、緑豊かな都市になることを願っています。


生活バンク・FPの部屋

ファイナンシャルプランナ-(略FP)、長谷部和子
『閑話休題 2』

今回もプラスチックセミナ-を受講した学生の感想文を掲載します。
とても熱心に!問題意識を持って!聞いて頂けた事が分かります。
16年度も引き続き、各地でセミナ-を開催して学生や市民へのプラスチックに関する啓発を行っていきます。

感想文
修士課程1年生
 今回のセミナーを通じて私が最も強く感じたことは、環境問題による悪影響を理解した上でどのような活動をするべきかという意識を一般の人々にどれだけ広く深く浸透させることができるかということです。
 環境問題が我々の生活に及ぼす悪影響に関しては、公害の深刻化、オイルショック、地球温暖化問題、オゾンホールの出現などから3、40年ほど前から様々なことが言われてきています。そのため、現在では環境問題による悪影響が多くの人々に理解されていることは疑う余地はありません。しかしながら、人々がその上で何か有効な活動を起こしているかというと、その点に関しては疑問が残ると私は思います。確かにゴミの分別などに成果は見られるが、この類の活動を多くの人々が煩わしく思っているのも事実ではないでしょうか。そのことはペットボトルの回収に端的に見て取れます。
 一方、産業界や自治体は様々な活動に取り組んでおり、メディアに取り上げられることも多く、今回のセミナーでも幾つかの事例が紹介されました。私がかねてから不思議に思うのは、この両者のギャップに関してです。つまり、産業界や自治体がどれだけ努力をしても、一般の人々も同様に有効な活動をしていかない限り、その努力は半減してしまうと思います。おそらく一般の人々は、環境問題への意識は高まったものの実際に何をすべきかを考えることがなかったり、考えても分からないことが多いのではないでしょうか。そのためにも、私は今回のセミナーのようなものを開催したり、教育現場などでもこの類の問題を取り上げることが非常に有効であり必要不可欠でもあると思います。

修士課程1年生
 私は1,3,4週のセミナーを拝聴しましたが、中でも1週目の細田先生の講演が印象に残りました。今まで技術的な側面からしかプラスチックのリサイクルについて考えていませんでしたが、経済的な側面からのお話を伺い、これまでとは違った面からも考えることの重要性を感じました。
 3,4週目のセミナーでは、化学工業企業でのケミカルリサイクルやマテリアルリサイクル、製鉄所でのケミカルリサイクルやサーマルリサイクルの技術的な話を伺いました。どの技術もプラスチックを再利用していく上で有効な技術であるように感じましたが、細田先生の講演であったように廃プラスチックをマーケットでどのような位置付けにするかといった様な、社会的なシステムが十分構築されていないとせっかくの技術もあまり役に立たないように感じました。
 今回のセミナーによって、プラスチックの問題に関わらず、環境問題に対して技術的な面からのみ考えるのではなく、経済的な面、法律的な面など様々な角度から考えることの大切さを学びました。


学部4年生
 今回、数回にわたってセミナーを聴講して、プラスチックに関する大学の研究だけでなく、企業の取り組みも紹介されていて、とても興味深く拝聴させていただきました。特に、企業の取り組みは、そのまま企業イメージに直結するだけあって実用的な話題が多く、今後の廃プラスチック資源の再利用方法を垣間見ることができたと思います。また、講演者の方々との質疑応答やディスカッションも、私とは違ったさまざまな立場の方々が持っている意見を幅広く聞くことができ、現代において話題になることの多いプラスチックと私たちの生活との関わりを多方面から見る良い機会でした。


読者便り
Q: S様
 塩ビは環境によくないと聞いておりましたが、ホームページを見ているとそうでもないなという感じになりました。むしろリサイクルも可能であるということで、スター的な存在ではないかと感じました。
  しかし何故このHPを見ていたかというところに戻るのですが、環境によくない・・代替商品を検索していたところなんですが・・
一体どう理解すればよいのか?例えば塩ビからPETなどに変えるとか・・
塩ビをもっと推奨していくべきなのか・・
返信よろしくお願いします。

A:

 メールを拝見し、過去十年前後にわたるメディアの塩ビ報道ぶりから、S様が“塩ビは悪い”と思われる様になったことはうなづけます。私達もその様な塩ビ報道が誤解や曲解に基づいていることや塩ビには環境面や実用面で他素材に無いすばらしい側面があることを主張して来ましたが、残念ながら、“塩ビだけがダイオキシンの元凶”、“塩ビの可塑剤は環境ホルモン”など洪水のごときメディアの塩ビ忌避報道を凌駕するには至りませんでした。

 何を燃やしても燃やし方が悪ければ、発生量の多少はあるもののダイオキシンが発生すること、適切な条件で燃やせば何を燃やしても問題となる量のダイオキシンは発生しないのが実情です。東大の渡辺教授の著書をきっかけに極端な見方が減り、科学的に物事を見る流れが出てきたと思います。また、数年前に、環境省が塩ビの可塑剤を環境ホルモンであるか、無いかを検証するための研究対象にリストアップした途端に、可塑剤は環境ホルモンだと決めつけた報道が繰り返されました。その後、一昨年、昨年と環境省の研究結果が公表されました。その結果は塩ビの可塑剤に使われるフタル酸エステル類には環境ホルモン作用があるとは認められない、というものでした。しかし、“以前にフタル酸エステル=環境ホルモンとした報道は間違いで、環境ホルモンでは無かった”、との報道は見かけたことがありません。

 ある新聞記者のお話を聞きました。その方は、“犬が人を咬んでも記事にはならないが、その逆なら記事になる”との有名な例えを示して、“悪い、危険だ”は記事になるが、“悪くない、危険でない”は記事にはならないと話されました。つまり、例え濡れ衣を着せても、その疑いを晴らすことは無いということでしょう。そして、こうした報道が物事を考える情報のより所になっている消費者からのアンケートを基にして、“塩ビを無くすることは消費者のニーズ”だとして塩ビの使用を抑える消費財製品企業が未だに後を断ちません。誠に残念なことです。
 私達、塩ビ業界は報道や消費財製品企業に、誤解を解いていただくよう働きかけています。その基本になるものとして、昨年に塩ビについて公平な情報を発信するために、「塩ビファクトブック」を発行しました。塩ビ工業・環境協会に申し込んで頂ければ、無料で差し上げております。是非とも御一読いただいて、塩ビについて一層正しい見方をされるようお願い致します。


☆読者便りは、VECホームページのお問い合わせから構成されています。
 ご意見・ご質問をお待ちしております。

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●プラスチック・サイディング http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

VECマガジン登録解除
VECマガジンの送信希望登録・解除アドレスが変更になりました。

VECマガジンの送信希望登録・解除は下記URLよりお願いします。
https://www.vec.gr.jp/cgi-bin/mailmag.cgi

VEC VYNYL ENVIRONMENTAL COUNCIL
塩ビ工業・環境協会

■東京都中央区新川1-4-1
■TEL 03-3297-5601 ■FAX 03-3297-5783
■URL https://www.vec.gr.jp/  ■E-MAIL info@vec.gr.jp