NO.141
発行年月日:2007/08/23

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トピックス
◇さわやかなお菓子メーカーの対応 −お菓子袋の注意書き変更−

随想

盛岡での出来事(2006年1月19日号)、続編

東京農工大学、日本化学工業協会広報委員会顧問、元旭化成 瀬田重敏

お知らせ
【NEW】エコキュートフェア 出展案内
【NEW】時代にあった高性能・高耐久住宅は?
     =ハイクオリティな家づくりセミナーのご案内
世界ビニルフォーラムの詳細プログラム決定

編集後記

トピックス
◇さわやかなお菓子メーカーの対応 −お菓子袋の注意書き変更−

 「塩ビとダイオキシン」が取りざたされた5〜6年前は、やたらと包装材料に「燃やしても有害成分は発生しない素材を使っています」とか「この袋は燃やしてもダイオキシンを発生しません」などの表示が目立っていました。これらの表現は、「有害成分=ダイオキシンを発生する塩ビを使っていません」ということを宣言することで「私たちは、環境に配慮しています」とのメッセージを伝えようとしているものと思われます。ご存知のように、これらの考えは、いろんな意味で誤りであり、過剰反応であったことが今ではわかっています。
 多くの塩ビ業界の人たちも会員となっていて、塩ビも研究対象のひとつとなっている、ある学会の会員誌の送付の袋にさえ、かつて同様な表示がありました。抗議の結果、さすがアカデミックな組織だけあって、その表記の不適切性さを理解し、程なく削除していただいた経緯があります。

 その後しばらく、このような話題は聞かなくなったと思っていたのですが、昨年、あるコンビニで買い求めたお菓子の袋に、素材はPPと表示されていながら「この商品には塩素系プラスチック包材を使用していません」との表示があり、理解に苦しみました。お菓子メーカーとしては、袋の素材として塩ビを使っていないことを尚更に強調したかったのかもしれませんが、そのお菓子シリーズには、「干し梅」や「おしゃぶり昆布」など食塩がまぶされているものもあるのです。ゴミとなって焼却される時の懸念は同じですし、今の焼却炉では、いずれのものを燃やしても問題になるような量のダイオキシンの発生には至らないのです。

 この件をきっかけに、いろいろコンビニを見て回ったら、一部のメーカーのお菓子に「塩素系プラスチック不使用」を標榜していることがわかりました。これらの袋には、プラスチックマークとPPとかPSなどの素材表示の他、「ゴミを出すときは自治体の定める区分にしたがってください」等の表示があり、廃棄される際の注意書きは十分になされているのです。
 ダイオキシン問題が盛んなころならいざ知らず今でも、「塩ビとダイオキシン」を連想させるような表現を看過することは出来ず、早速、お菓子のメーカーに、表示に偽りはないものの、塩素系のプラスチック不使用の表示の意味がないことを説明し、表示の是正を要望してきました。メーカーの反応は様々でしたが、直接お会いしてお話を聞いていただけたところは、ゴミ焼却に関する技術の進歩と時代が変わってきていることを理解し、前向きに検討していただけるとの返事でした。

 それから、半年たった先ごろ、ある製菓メーカーから電話があり、「新しいデザインの商品から順次、例の表示を削除することにしました」との連絡を受けました。早速、そのメーカーのお菓子を買い求めてみたところ、新しいデザインの商品では、含有アレルギー物質の情報を見やすく伝えており、お菓子本来に求められる情報が的確に伝わっているものとなっていました。
 私たちも要望を文書で申し入れたという経緯はありますが、表示を変更したことをわざわざ担当者から連絡いただいたことに感激しました。焼却の際の環境影響を誤解して、「塩素系プラスチックの不使用をわざわざ強調することは意味がない」との私たちの主張が受け入れられたことはもちろんうれしいのですが、それより何よりわざわざ連絡をしてもらえたことにメーカーの誠意を感ぜずにはいられませんでした。これまでのコミュニケーション活動が無駄でなかったことに満足するとともに、とてもさわやかな思いがしました。
 まだ、不適切な表示が残っている包材も見られますが、環境問題にかこつけた不相応な表示が是正されていくことを期待しています。(了)

随想
盛岡での出来事(2006年1月19日号)、続編
東京農工大学、日本化学工業協会広報委員会顧問、元旭化成 瀬田重敏

 昨年1月19日号の本メールマガジン随想に「盛岡での出来事」と題した一文を書いた。
 今日の話はその後のことである。当時の校長先生は既に退職され、岩手大学の客員教授として岩手県全体の中等教育に関わっておられる。環境教育を直接指導された教員の先生は県内の違う中学校に転任された。そして当時の中学2年生以上はもう大学生である。
 最近筆者はいくつかの地域で行なわれている企業ぐるみの理科教育の試みについて論文を書いた(後述)。その中で盛岡の話に触れた。学力低下の元凶と指弾されているゆとり教育だが、現場では立派な成果を上げている例もあるのだ。勿論成功例ばかりではないだろうし、立派な現場教育者ばかりではないだろう。しかし先の盛岡の話は、一部の荒れた学校や愚かな保護者によるいびつな話と一緒くたにして流してしまうにはあまりに惜しい。

 昨年1月19日のメールマガジン「随想」に対しても、その中学校が特殊だろう、先生がよかったからだろう、という意見があった。確かに私がお会いした方々は情熱、人格、人望いずれにも優れた格別な教育者だった。その上、学校の歴史が素晴らしい。公立中学だが120年にもなろうという歴史を持ち、石川啄木、米内光政、金田一京助、山口誓子等々の著名人文化人の出身母校であり、学内に記念室が設けられて中学生たちはこれら学校の偉大な先輩の遺品や作品、書画足跡にいつでも接することができる。
 今年の正月、その当時の校長先生から丁寧なお手紙が届いた。当時の中学生達はそれぞれ多くのボランティアに参加して一味違う心豊かな若人になっている、その中には将来教育者になり「下橋中学で学んだことを本物にすること」を夢としている若者がいる、そう伝える校長先生のお手紙には、それらの若い人達から近況を書き込んだ年賀状が来ているとも書かれていた。この温かさは一体何なのだろう。筆者自身のことを言えば、小中高の校長先生に賀状や手紙を書いたことは一度もない。第一、話をする機会すらなかった。

 そんな学校であればこそか、と思ったら、実は更にもう1つ大きな背景があった。上記の校長先生は同中学在任の3年間「学校だより」を作成して生徒の家庭に送っておられたのである。当時生徒だった卒業生によれば、生徒達の父兄は新任校長が送る「学校だより」に対し、次第にその内容の暖かさ、強さ、熱心さに惹かれ、次号の到着を心待ちにするようになったという。3年に及ぶそれら「学校だより」は最終号迄に200号にも達した。この「学校だより」を同校長先生は定年記念としてご自分で製本され、そのことが地元紙で報じられた。私はその1冊を当時の教員の先生からお借りでき通読したが、これが真にすぐれもので、各号手書きB4一枚の構成だが、3年200号ともなると堂々たる大冊であり、通読するだけでも大変である。内容は、始業式から年度末までの毎日の学校の様子、子ども達の成長の様子、学校内外の各種催し物で結果を出す子ども達の姿、子ども達の日常の声、ときには注意・注文、そして激励、今日の言葉などが書き込まれ、新入生から卒業してゆく迄の子ども達の姿が、温かい目で実に生き生きと描かれている。子どもたち1人1人に語りかける一方、保護者への切実な呼びかけもある。

 この学校独特の行事の1つに、昔の元服の伝統を継ぐ「立志式」という催し物がある。卒業してゆく先輩を見送った新3年生が、最上級生となって新たな責任を担うに当っての決意を述べる、真に荘重な式だそうだが、子どもたちが伝統に則って随分と前から準備するのだという。そういった学校生活がしっかり書き込まれている。そして全号が校長先生の熱意と信念で貫かれ、1号たりとも読むに飽きない。しかも後になる程発行の頻度が上がる。心待ちにする生徒の親御さん達の気持まで伝わってくるような心の文集なのである。つぶさに読んでいくと、とても誰にでもできることではないことがわかる。「子ども達の自主性を育む」とはどこの学校に行っても遭遇する台詞だが、この中学校は本物であると知る。任期の間にはいろいろなことがあったことがわかる。「命を大切に」という言葉が何回も出てくる。当時も世間では年端もいかぬ子ども達の自殺、大阪の小学校での殺人事件など悲しむべき事件が次々と起きていた。その度に心を痛め、必死に子ども達を守ろうとする校長・教員の姿がそこにある。世の親御さん達は、こういう学校なら自分の子を預けたい、と思うだろう。筆者は、今はもう大学生になっている当時の中学生と会う機会があるが、「今も当時の校長先生を慕い、誇りに思っている」と言う。因みにその元校長先生は八重樫勝先生と言われる。

 化学工業日報社の「化学工業年鑑」2007年度版がこの7月に発刊された。その巻頭に「環境コミュニケーション、環境教育、そして理科教育」と題した筆者の論文が掲載されているが、上記の校長先生の文集の話は間に合わなかった。間に合っていれば、上記論文はもっと内容の濃いものになっていただろうと思う。(了)

2006年1月19日号「盛岡での出来事」は下記からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/063/index.html#zuizou

お知らせ

【NEW】エコキュートフェア 出展案内

 オール電化は魅力だけれど、省エネも気になるし・・・。塩ビサッシで窓を断熱すると、無駄な電気を節約できます。
エコキュート&塩ビサッシでより快適にオール電化生活を!

 樹脂サッシ普及促進委員会では、下記4ヵ所で行なわれる東北電力(株)主催の「エコキュートフェア」に出展致します。(入場無料)

【山形】
・開催日: 2007年8月22日(水)、23日(木)
・場 所: 山形テルサ アプローズ
【青森】
・開催日: 2007年8月28日(火)、29日(水)
・場 所: 青森市文化会館 4F中会議室
【秋田】
・開催日: 2007年9月13日(木)、14日(金)
・場 所: 秋田市文化会館 地下第1・2展示ホール
【新潟】
  ・開催日: 2007年9月19日(水)、20日(木)
・場 所: 新潟市産業振興センター 2F大・中会議室
※各会場とも開催時間は、10:00〜19:00(2日目17:00終了)

【NEW】時代にあった高性能・高耐久住宅は?
     =ハイクオリティな家づくりセミナーのご案内

 樹脂サイディング普及促進委員会、樹脂サッシ普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し講演を行ないます。
 セミナー後には、実際に塩ビサイディングでリフォームを行なった住宅の見学会も行う予定です。
(こちらのセミナーは、建築士会継続能力開発(CPD)制度認定プログラム(3単位)です。)

・日 時: 2007年9月10日(月)
13:00〜18:00(受付12:15)
・場 所: 青森市文化会館 小会議室4
・主 催: 株式会社日本住宅新聞社
・入場料: 無料
・参加申込み締切り:9月3日(月)先着70名
※参加希望の方は下記までお問合わせ下さい。
   株式会社日本住宅新聞社
   電話:03(3823)2511

世界ビニルフォーラムの詳細プログラム決定

 9月米国ボストンで開催される世界ビニルフォーラム(World Vinyl ForumIII)の第二次開催案内がウェブ上に公開されました。
http://guest.cvent.com/EVENTS/Info/Agenda.aspx?e=e54b1463-74fc-4c18-867a-dd4856c8bebb
 会議は、9月26日のwelcome receptionに始まり、世界のビジネス環境と塩ビ産業の過去・未来について意見交換が行われるほか、塩ビ製品の製品開発やプロモーション活動状況、電子・電気業界の塩ビに関する話題やグリーンビルディングに関する講演が予定されています。27日と28日は展示会も同時開催されることから、デザイン性を活かした塩ビ製品の展示や情報交換が行われるものと期待されます。
参加の申し込みはウェブからどうぞ。

編集後記
 先週はメルマガもお休み、皆さんの夏はいかがでしたか?
 それにしても先週1週間の暑さは尋常ではなく、猛暑、酷暑を通り越し新聞紙上には極暑、激暑の字が踊っていました。16日は岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市では何と40.9℃、昭和8年山形市で記録されたこれまでの日本の最高気温の記録が74年ぶりに塗り替えられたとか。まさに戦前、戦後を通じて“日本の一番暑い日”となりました。
 「盛岡での出来事、続編」の随想、教育の真の目的とは何か?ということを考えさせられます。安倍内閣の課題のひとつは教育再生。“学んだことを本物にすることが夢と語る若者”を生み出すこの校長先生の教育こそ、まさに今の日本に真に求められている教育という気がしました。(丸茶)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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◆編集責任者 事務局長  東 幸次

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