NO.129
発行年月日:2007/05/24

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トピックス
◇ブダペストでの欧州塩ビ協会総会
塩ビ工業・環境協会 専務理事 西出徹雄

随想1

映画「ルワンダの涙」所感(1)

信越化学工業(株) 木下清隆
随想2

その後の亀のお話

日本ソーダ工業会 坂本明雄

編集後記

トピックス
◇ブダペストでの欧州塩ビ協会総会
塩ビ工業・環境協会 専務理事 西出徹雄

王宮の丘から見たドナウ川の鎖橋と
ペスト地区
ECVM総会風景
 日本では連休明けに当たる5月8日、9日の両日、ハンガリーの首都ブダペストで欧州塩ビ協会(ECVM)の総会が開かれ、参加してきました。ブダペストはオーストリア・ハンガリー帝国の時代の面影を残した美しい街ですが、気温は東京と余り変わらず、初夏を思わせる爽やかな気候でした。参加者はEU各国の塩ビ協会関係者が中心ですが、日本のほか米国、オーストラリアなどからの域外を含め全体で100人ほどの規模となり、講演のテーマも各地域の現況だけでなく、その時々のトピックスをカバーしたセミナーのような形式で、年々オープンな会合になってきています。

 発表された内容のポイントをご紹介しますと、欧州における塩ビ需要は着実に増加を続け、2006年は欧州全体では4%、うち西欧で2.7%増、中・東欧では二桁の増加となっています。需要の中身も塩ビの窓枠の伸びが大きく、パイプを上回る勢いです。欧州における塩ビのリサイクルもようやくピッチが上がってきたようで、2006年には83,000トンと前年から倍増のペースになってきました。また今年6月にスタートするREACH制度については、新たに設立される欧州化学品庁が来年6月から業務を始めるのに合わせて第1段階としての予備登録が始まりますが、塩ビの可塑剤や安定剤に関して今後の登録や評価、認可に向けた欧州業界としての対応状況について紹介がありました。更に将来を考えた塩ビをサステイナビリティーの観点から客観的に評価してみようという動きが欧州でも内部検討としてスタートしており、VECで現在取りまとめを進めているリサイクルビジョン(5月25日の総会で決定して公表の予定)の考え方とも期せずして符合するものでした。日本からは、現在VECが力を入れている塩ビサッシのプロモーションについて、普及状況や普及のための広報活動、政府の支援などを紹介しました。欧州の方々には政府と業界が協力して省エネ・地球温暖化対策を進める姿は新鮮に映ったようでした。

 今回の会議の標語はInspiring the futureというもので、未来社会を支えるサステイナブルな材料としての塩ビを前面に出したものでした。環境に優しく、成形性、発色性の良さなど塩ビの特色を生かした優れたデザインの製品が、総会の会場にたくさん展示されていました。欧州ではデザイン性の優れた製品の開発が意欲的に取り組まれており、有名デザイナーによるラウンドテーブルやデザイナーズ・ウィークエンドのような展示イベント、デザイナーや建築家とのコラボレーションによる製品開発などが行われています。次のホームページには塩ビを使った家具、照明器具、アート作品、スポーツ用品、ファッションなどの製品の実例が豊富に掲載されていますので、是非ご覧ください。
http://www.pvcdesign.org/

総会会場風景
塩ビを使ったデザイン性の高い製品(総会会場展示より)


随想1
映画「ルワンダの涙」所感(1)
信越化学工業(株) 木下清隆

 先頃「ルワンダの涙」という映画を、UNHCR(国連難民高等弁務官)駐日事務所主催のチャリティ映画上映会で観る機会があった。今から10数年前、アフリカのどこかの国で、ツチ族・フツ族とかいう部族が争い大量の虐殺が行なわれた、といったニュースが流れたことがあった。多くの日本人にとっては、遥か遠い国の事件として、すぐに忘れ去られたようである。この映画は、その時、現地で何が起きたのかを克明に再現したドキュメンタリー映画である。

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 【1994年の虐殺】
 事件は1994年に遡る。場所はルワンダ国の首都キガリである。ルワンダは日本の四国の1.5倍ほどしかないアフリカ諸国にあっては、小さな小さな国である。大きなビクトリア湖の西に位置するが、その湖の半分程度の広さしかない。北をウガンダ、西をタンザニア、南をブルンジ、西をコンゴ民主共和国(旧ザイール)が取り囲んでいるアフリカの内陸国である。1962年にこの国は独立するが、このとき主導権を握ったのがフツ族である。このため、数十万人のツチ族が近隣諸国へ難民として流失した。北のウガンダへ逃れたツチ族はそこで「ルワンダ愛国戦線」を組織し、捲土重来を期して、じわじわとその勢力を伸ばしルワンダへ迫る。このような中、1993年8月にルワンダ現政権とルワンダ愛国戦線との間に和平協定が結ばれた。このため国連は和平監視の目的で「国連ルワンダ支援部隊」2500人を現地に送り込む。この中に、映画の中で準主役を演じるベルギー軍も派遣されていた。

 事件は1994年4月6日、その幕を上げる。この日、ルワンダ大統領の乗っていた飛行機がキガリ空港の近くで何者かによって撃墜される。翌7日から、フツ族の過激派民兵による虐殺が始まる。相手はツチ族と穏健派フツ族である。
 映画では、教会が運営する公立技術専門学校に、ツチ族の住民が学校になだれ込んでくるところからその核心部分が始まる。この学校は周囲が鉄条網で囲まれており、更にベルギー・コマンド部隊が駐屯していることから、学校の中へは民兵も入れないが、網の外ではツチ族と見れば虐殺がいとも簡単に行なわれる。道路にはいたるところに死骸がころがる。その行為をベルギー兵はじっと見守り、銃を構えてはいるが一切介入しようとはしない。「我々は、攻撃を受けない限り、発砲は許されていない」が言い分である。民兵の武器はナタだけである。刃渡り50センチほどもある大型のナタである。これで住民を滅多打ちにするのである。何らの武器も持ち合わせていない住民にはナタで十分なのである。このような残虐行為に国連軍は息をひそめ続ける。誰も救いの手を差し伸べるものはいない。8日になって、ベルギー兵の隊長が「網の外の死人を野良犬が食い、衛生上問題があるから射殺したいが」と神父に尋ねる。神父は「犬がお前たちに発砲したのか。相手が発砲しない限り、相手に発砲しないのがお前たちの決まりじゃなかったのか」と語気も荒く、はき捨てるように云う。実は、この映画のオリジナルタイトルは「Shooting dogs」という。何もしなかった、何もしようとしなかったベルギー軍に対する、精一杯の皮肉がこのタイトルには込められている。

 翌日9日、ベルギー政府は自軍に対し撤退命令をだす。学校の中に数台の幌付きトラックが砂煙を巻き上げながら入ってくる。車にいっせいに飛び乗ろうとする民衆、それを一人一人排除するベルギー兵。一人の男が隊長の前に進み出る。「我々を一思いに銃殺してくれ。我々は民兵のナタで打ち殺されるのは耐えられない。」しかし、首を横に振った隊長は、そのまま隊員と共に学校から走り去る。画面は替わって学校内に留まっていた約2500人のツチ族住民の累々たる惨殺死体が映し出される。ベルギー兵撤退後の数時間でこれだけの人々が虐殺された。(続く)

随想2
その後の亀のお話
日本ソーダ工業会 坂本明雄

 昨年の12月に亀の冬眠について書かせて頂きましたが、春になり暖かくなりまして、「亀は無事冬眠から覚めましたか」と尋ねられるなど、何人もの方から亀のご心配を頂きましたので、2匹の近況をご報告させて頂きます。

冬眠から覚めました。
大きさはこのくらいです。
 2匹とも、無事冬眠から覚めました。と言っても熊と違って寝床の穴から出で来た訳ではありませんので、いつ冬眠から覚めたのかは、正直分かりません。
 今年の3月は本当に暖かい日が続いたので、例年よりも早く桜の枯れ葉の上に小さな三角の顔を出し始めました。これが目覚めた証拠となります。早速、枯れ葉を取り除いてバケツを掃除して、甲羅干しができるように大き目の石を入れて、その石が隠れる程度に水を入れます。例年ですとその中を動き回るのですが、今年はご存じの通り4月に入って逆に寒くなりました。このため折角動き出した亀も、また、冬眠したかのように水に潜ったきりほとんど動かなくなりました。
 もっとも冬眠させている間でも、枯れ葉のエキスが浸み出したり埃が入ったりして、水が汚れますので、風のない暖かくなった日を待って水の取り替えをします。亀をバケツから出しますので無理に起こすことになりますが、動き出すのを見て無事に生きていると安心する訳です。これを春までに数回行うことになります。
 ようやく、4月の下旬頃からまた動き出しました。水の中でじっとしていることが多いのですが、日中、陽が差してくると石の上に上がって甲羅干しをしています。この頃から、餌も少しずつですが食べ始めます。

 この餌なのですが、なかなか難しいのです。亀は、ご存じの通り雑食性で何でも食べますが、水の汚れを少なくする必要もあり専用食しか与えません。専用食と言っても、ペット売り場で売っているものです。
 昨今は、熱帯魚や金魚、メダカに限らず、亀やザリガニなど、いろいろな生き物の餌があります。亀用だけでも、メーカーや材料の違いにより何種類もあります。しかし、当家の亀は、何でも食べる訳ではないのです。水温の上がらないこの時期は特に大変で、気に入らないのかほとんど食べないこともあります。このため、いろいろな種類のものを試してみることになります。また、同じ種類のものを続けていると途端に食べなくなります。
 本当に、人様と同じです。例外は、当家のビーグル犬だけかもしれません。名前は、ランと言いますが、毎日同じものを何年も食べ続けています。毎回とても喜んで美味しそうに食べています。よく、飽きないものと感心するのですが。
 この連休中は初夏の陽気が続きましたので、亀も元気に動き回っていました。元気になりますと、イトミミズを乾燥させて小さな賽子(さいころ)状にしたものを与えます。平日は毎朝1回だけですが、決まった時刻に餌を与えていると、バケツに近づいた途端餌をねだるかのように動き回ります。亀の鼻先に餌を差し出すと口を開けて食べ出します。次々と催促してきます。噛みつくように食べるのですが、痛くありません。
 梅雨を過ぎて夏日が続く頃には、水温のあまり上がらない日陰の地面に移動します。以前写真でお見せしました大きなプラスチックの盥で、2匹一緒に生活するようになります。

 生き物を飼う楽しみは、餌を与えることにもあります。当家は、亀だけでなく、金魚、フナ、たなご、メダカ等を、いくつもの水槽で飼っています。出勤前に次々に餌を与えるのを日課としていますが、実に楽しいのです。本当に小規模ですが、自宅の大きい池に飼う錦鯉に餌を撒いている昔の宰相を思い描いて、同じ心境を味わっているつもりでおります。もっとも、そんな家に住みたいと言うより、いろいろな生き物と暮らせる自然のある都会に住みたいと願っているのです。これも贅沢ですが。

前回の亀のお話は、下記からご覧頂けます。
☆亀の冬眠
https://www.vec.gr.jp/mag/110/index.html#zuisou

編集後記
 ここ数年また映画をよく見るようになりました。週末に家族と出かけたり、勤め帰りに映画館に立ち寄ることもあります。学生時代に通った映画館とは違い、最近はやりのシネコンは清潔で座り心地も良く、ゆったりと映画を鑑賞することが出来ます。
 また、上映される作品も超娯楽大作から社会派の作品に至るまで多岐に亘っており映画ファンにとってはうれしい限りです。マスメディアやインターネットを通して情報が氾濫する時代にあって、映像を通してメッセージや主張をはっきりと伝えることの出来る映画は、シネコンという利便性の高いインフラが整ってきたことにより、さらに身近な存在として私達に感動や情報を与え続けてくれるように思います。(樹)

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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