NO.124
発行年月日:2007/04/12

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トピックス
◇経済産業省委託 全国都市再生モデル調査事業
「事業系プラスチック廃棄物リサイクルの為の
  小口回収システムモデル事業」を終えて
(社)プラスチック処理促進協会 総合企画室 山脇隆

随想
明日地球が滅びようとも、今日、僕はリンゴの木を植える
日本化学工業協会広報委員会顧問 瀬田重敏
お知らせ
三菱地所、塩ビリサイクル景観材を採用。
NEDOの補助金事業が公募開始されました。
PVC Newsが3/19に発行されました。

編集後記

トピックス
◇経済産業省委託 全国都市再生モデル調査事業
「事業系プラスチック廃棄物リサイクルの為の
  小口回収システムモデル事業」を終えて
(社)プラスチック処理促進協会 総合企画室 山脇隆

小口回収システムの分別品目
(クリックすると拡大します)
 全国で排出される事業系廃プラスチックは平成16年度で495万トンと推計され、東京都からは1割に相当する51万トンが排出されています。この約8割が何ら有効利用されること無く埋立処分されています。廃プラスチックの有効利用方法として再生材料化、燃料化、焼却発電の三つのオプションを選択可能とする為、合理的な分別排出・収集方法について検討を行いました。本事業では、東京都内に多数存在するオフィスビルから排出される事業系廃プラスチックを対象にモデル事業を展開しました。ご承知の様に事業系廃プラスチックは排出事業者の責任において処理を実施しなければなりません。容器包装リサイクル法の様に法に基づいて処理費が捻出されるのとは根本的に異なります。従って、分別によるコスト負担を少なくする方法を関係者が協力して作り上げる事が重要となります。

 この問題を解決する為、対象の廃プラスチックに関係する当事者(排出事業者、ビルメンテナンス業者、収集運搬業者、中間処理業者、再生品利用事業者)の関係団体、3R活動推進フォーラム及び東京都と連携・協力して検討を進め実証実験を行いました。結果の概要は以下の様になりました。

 実証モデルは燃料化を想定した分別と材料化を想定した分別の二つのモデルを検証しました。
モデル1(燃料化) 対象: 飲食用容器、金属付き以外の廃プラを分別
モデル2(材料化) 対象: PE又はPPで金属や紙等他の素材が使用されておらず、汚れが付着していない廃プラを分別
 
 対象プラの割合はモデル1で約3割、モデル2で約7%でした。両モデル共、パッカー車による混載方法を採用する事により、平ボデー車を用いる従来方式に比べ経済性に優れる事、現状に比較して環境負荷を大幅に軽減出来る事が実証されました。分別排出に協力した排出者へのアンケートでは排出への協力姿勢や分別への理解が高いとの結果が出ました。一旦システムが動き始めると排出者の協力が得易いのは収穫でした。
 委託事業は今年度で終了しますが、検討会のメンバーは連携して本事業の成果を周知する活動を継続していきます。埋立から資源の有効利用への流れが出来るよう政策誘導が図られ、この実現に向けてダイナミックな動きが出ることを期待します。

随想
明日地球が滅びようとも、今日、僕はリンゴの木を植える
日本化学工業協会広報委員会顧問 瀬田重敏

 この度私は何人かの方と共同で、ある本の一部を執筆することになった。
 中部大学に設置されている中部高等学術研究所で「はかる」というテーマの研究会が運営されている。ここで議論されるテーマは、「外界をはかる」「社会をはかる」「心的な価値や意味をはかる」などで、例えば「人間をはかる」「空間をはかる」「意味をはかる」「罪をはかる」「美をはかる」「医療をはかる」「こころをはかる」等々のテーマが設定されて講師が招かれて講演しそれを元にいろいろな視点から議論される。私は昨年この会に招かれて「環境をはかる」というテーマで話をした。
 この度、その研究会で講演した何人かの講演内容をまとめて中公新書から出版するということとなり、私は「環境をはかる」の部分を執筆することになった。そこで私はその原稿を何とか書き上げ、環境問題に関っている2人の友人に読んで批評して貰った。その2人からいずれも真に丁寧な感想や意見が返ってきて、安堵するとともに本当に目を洗われる思いがした。安堵とは私が書いた中身がそれほど的外れではないことが確認できたからであり、目を洗われる思いがしたとは、私の書いた中身に関連してその人々が持つ思いが書き送られてきて、この問題の奥行きをあらためて感ずる機会となったからである。
 その中で1人の友人は書いた。「環境問題ではさまざまな要因や国益その他個の利益が絡んで、虚しい思いをすることがある。そういう中で私は『明日地球が滅びようとも、今日、僕はリンゴの木を植える』という思いで仕事をしている」というのである。この言葉は私の心を打った。全くその通りだ。私もこの言葉をいただいて生きていきたいと思った。余談になるが、実はこの文章を読んで、私は60年も昔のことを思い出したからである。

 それは原爆が広島に落とされた日のことだ。そのころ私たちは広島市の、爆心地から2km強にある三滝町というところにいた。今2kmというと徒歩25−30分程度でえらく近く感ずるが、当時は随分遠いと思っていた。そういうことで今、私も含めて当時広島にいた私の家族はみな原爆手帳を持っている。
 私は小学校2年生でその日その時刻にはもう学校に着いて屋内にいた。まだ路上の通学途中だったら灼熱の熱線で一瞬にして焼け焦げた肉塊か、その日遭遇したたくさんの全身焼け爛れた生きた屍骸の1つになっていただろう。
 私の家では、ご飯を入れたお櫃が食卓の上から飛んで台所の窓から外に出てゆくという猛烈な爆風のもと、畳は転び天井は落ち、廊下の板は跳ね上がり廊下の硝子戸は木っ端微塵、障子までがばらばらな紙切れ付きの木切れとなった。家具や食事の机の上のものがめちゃくちゃに飛び交い散乱した中で、私の母は爆風で一度は吹き倒されたが、幸いかすり傷程度で大きな怪我もなく、漸く身を起こして縁側に出、私の行っている学校の方向をみたところ、いつもはそこから見える学校が街中の家々に混ってぼんぼん燃えている、それを見て母は瞬時に「あの子(私のこと)は死んだ」と覚悟したという。そのときに、同じ私の家の離れに寄宿していた将校の奥さんがいて、その奥さん自身も怪我をしていたが、学校の方向を見ている私の母にそばに来て寄り添ってくれたという。
 私の学校が燃えるのを見て母は落涙し、私が前日に母が大事にしていた糸巻き(たくさんの中古の糸を繋いで保存していたもの)を持ち出して凧挙げに使ったといって私を折檻したことを悔やみ「戦争中でなければあんなことで折檻することはなかったのです」と呟いたところ、その奥さんは「子供が明日死ぬことがわかっていても、今日はしっかりとしつけをするのが親の務めなのです。この時代に『ものを大切にする』ことを教えることで、あなたがお子さんになさったことは正しかったのですよ。嘆くことはありません。」と言ってくれたのだという。昔のひとは凛としていて偉かった。以上は私の母が亡くなる前、病床で私に言ってきかせてくれたことである。
 私は奇跡的にその業火の中から脱出し、学校の周りの人々と一緒に逃げた山の中で、弟を背負った母とも巡り会うことができた。その時の母の表情は今も私の記憶から消えることがない。いつもは見えないのにはるか遠くまで見通せる程に周囲が丸焼けになってしまった市街の中で私の家は焼けずに残った。翌日になっても煙は消えなかった。家の次は人を焼く煙だと言われた。それよりも死臭がきつかったことをうっすらと覚えている。それから後、実にいろいろなことがあったが、それらについてはまた書く機会があるだろう。
 その奥さんのご主人の将校さんは被爆後の広島市内の整理指揮に行って放射能を含んだ塵を吸って1年後に原爆症で亡くなり、奥さんは郷里に帰って行かれたのだが、今となってはその後の消息はわからない。もうなくなっていることだろう。

 友人の言葉には実に胸に響くものがあった。と同時に、私の胸の中で埋もれていたことを思い出した。母のいない今、私にとって真に貴重な思い出である。
「明日地球が滅びようとも、今日、僕はリンゴの木を植える」、いい言葉だ。友人によればこの言葉は元々どこかの民族の古くからの言い伝えの言葉で、作家の故開高健が世界中を旅していて遭遇し、本で紹介して有名になったという。確かに聞いたことがある言葉だ。「もったいない」という言葉に似ている。こういう思いで環境を考えていきたいものだと考える。

お知らせ
三菱地所、塩ビリサイクル景観材を採用。

 去る、3月20日(火)東京大手町の新日本製鐵と朝日ビルの間の公開広場(東京都千代田区大手町2丁目6番)に、リサイクル塩ビ製ベンチ(企画・販売(有)三宝)が、4台設置されました。

このベンチは、パイプなどの廃棄物を原料にした環境配慮型製品です。内1台は太陽電池を利用した夜間用フットライトも備えています。

東京大手町のオフィス地区広場に設置した“リサイクル塩ビ製ベンチ”

塩ビリサイクルベンチ関連の記事は以下からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/press_release/20070316.htm


NEDOの補助金事業が公募開始されました。

 住宅・建築物高効率エネルギーシステムの公募により、NEDO技術開発機構が指定する当該システムを住宅に導入する場合に、その費用の1/3が補助されます。

 様々な補助要件がありますが、樹脂サッシ普及促進委員会がお勧めする要件は『断熱リフォーム』です。
 既設住宅のリフォームで『塩ビサッシ+複層ガラス』の内窓を採用する事により、上記の費用補助の対象となるものです。

  公募期間:2007年3月13日〜4月26日
        (二次公募 : 7月上旬〜下旬を予定)

 詳細は、NEDO:独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構のホームページをご覧ください。
http://www.nedo.go.jp/informations/koubo/190313_1/190313_1.html

PVC Newsが3/19に発行されました。

 PVC News 60号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されました。
創刊15年、発刊60号の記念号です。目次をご紹介致します。

■ごあいさつ

創刊15年、60号発刊を迎えて
     JPEC事務局長/VEC専務理事 西出徹雄

■特別寄稿

PVCニュース発刊60号を記念して
     内閣府原子力委員会委員(前富士常葉大学教授)
     NPO法人「持続可能な元気ネット」顧問  松田美夜子

■トップニュース1
塩ビ被覆電線を官庁施設向けの建設資材として再評価
■トップニュース2
塩ビを含む建設系混合廃プラの有効利用へ新たな道
■視点・有識者に聞く

ソフトパワー強化で産廃業界の新時代を拓く
     (株)ハチオウ代表取締役社長/環境カウンセラー  森裕子氏

■リサイクルの現場から

加速する、セメント産業の廃プラリサイクル

■インフォメーション1
環境ホルモン問題とは何だったのか?
■インフォメーション2
米科学誌が可塑剤工業会の研究結果を掲載
■海外事例紹介
連携進む、VECと海外塩ビ業界
■広報だより

・塩ビ業界のありのままを伝える『データで見る塩ビ』発刊
・第4回「住まいと環境・エネルギーセミナー」開催
・「ENEX2007」に共同出展(JMADO&プラスチックサッシ工業会)

以上、新たな視点に立った塩ビに関する情報を、ご紹介致します。

記事内容は、こちらからご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/index/i_saisin.html

PVC Newsバックナンバーは、塩化ビニル環境対策協議会のHPよりご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/

購読を希望される方は、送付先などをご連絡下さい。

編集後記
 花冷えも終わり、ようやく平年並みの気温になってきました。
 先日、会津方面へ行ってきましたが、磐梯山の中腹がまだら模様となっており、例年よりかなり少ない降雪だったようです。麓の残雪も例年なら2月までの雪だそうですが、今年は3月に降ったものとのことでした。
 同じように世界中の気温や降水が異常であったことから、地球温暖化がひときわ注目を集め、アル・ゴア元副大統領の「不都合な真実」が時宜を得て流行語ともなり、いろいろなところで使われています。つい最近明るみに出た原子力発電所の事故隠しや、プロ球団からのアマ選手への裏金問題などもこの言葉にはまるでしょうか。このようなことは早くなくなってほしいものですね。
 今週号は塩ビの記載が少ないメルマガとなりましたが、次週からは塩ビの記事が再登場します。ご期待下さい。(可)

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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◆編集責任者 事務局長  東 幸次

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