NO.121
発行年月日:2007/03/22

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トピックス
◇加速する地球温暖化 −「山本良一先生」JPEC講演会開催される

随想
カベガミ今昔物語(1) − 装飾品から建築材料への脱皮 −
トキワ工業株式会社 顧問 石坂昌之
お知らせ
【NEW】三菱地所、塩ビリサイクル景観材を採用。
NEDOの補助金事業が公募開始されました。
PVC Newsが3/19に発行されました。
【終了報告】建築・建材展2007

編集後記

トピックス
◇加速する地球温暖化 −「山本良一先生」JPEC講演会開催される

東京大学  山本良一教授
 去る3月15日虎ノ門パストラルでJPEC(塩化ビニル環境対策協議会)主催による山本良一先生の「地球温暖化」に関する講演会が開催されました。山本先生は、東京大学生産技術研究所教授で、ご専門は環境材料科学です。日本LCA学会会長のほか数多くの役職を兼任され多方面でご活躍されている環境科学の第一人者です。

 さて、今回の講演は、「温暖化が地球規模で急速に進行し極めて深刻な事態に陥っている」ことと「この人類最大の課題を如何に解決するか」がテーマでありました。地球温暖化につきましては、皆さんも報道その他で良くご存じのことと思いますが、特に今年の冬は肌で実感されたのではないかと思います。また、北極の海氷やグリーンランドの氷床が溶け出しているニュース映像や満潮になると海水が地表に湧き出る南洋の島の報道をご覧になった方も多いのではないかと思います。

 温暖化の原因は、温暖化ガスとりわけ二酸化炭素COの影響が大きく、京都議定書では先進国が毎年10億トンのCOを減らすことになっています。しかし、温暖化はそれを遥かに超える速度で進んでおり、このまま放置すると2050年には、地球の平均気温は約3℃上昇し数十億人の生命が危険にさらされるとの試算も出ています。シベリヤ凍土の溶解によるメタンガスの放出も温暖化を加速させるそうです。地球温暖化はまだ初期状態にあるとのことですが、抜本的な対策を取るために残された時間は後10年との説もあります。英国では、2050年までにCOを含む温暖化ガス排出量の60%削減(1990年対比)を法制化するとの報道がつい最近ありましたが、米国でも今年1月ブッシュ大統領の一般教書で温暖化対策が打ち出されました。「地球温暖化防止は戦であり、新たな世界大戦が始まったと考えなければならない。日本も早急に政府が方針を打ち出さないと敗戦国になる」と山本先生は訴えておられます。

 山本先生は、今後の指針として、(1)国としての明確な目標設定、(2)環境情報の可視化、(3)環境の付加価値に正当な市場価値をつけることを提案しておられます。そこで登場するのは、「エコマテリアル」や「エコプロダクツ」の勧めです。これに対してJPECを代表してVECの我妻理事は、「塩ビ管や塩ビサッシを代表とする塩ビ製品も、省資源、耐久性、CO削減といった観点からLCA評価も高く、それ自体が”エコプロダクツ”と考えています」とコメントしました。ここで改めて塩ビの価値を見直してみては如何でしょうか。

 なお、山本先生が委員長をされている「エコプロダクツ展」の入場者数は昨年3日間で15万人に達したそうですが更なる規模の拡大を考えておられます。先生の今後のご活躍を期待いたします。

随想
カベガミ今昔物語(1) − 装飾品から建築材料への脱皮 −
トキワ工業株式会社 顧問 石坂昌之

 ここ数年の壁紙市場は8億平米の出荷量でその内80%から90%は塩ビ主体のプラスチック系壁紙が住宅を中心に使われて居り、特に塩ビ壁紙は、意匠性と共に施工性においても優れているため多く使われています。又模様替え等の張替えが5年から10年、新築物件・増改築の場合になると20年以上使用される場合も多く耐久性建築材料と云えます。
 住宅に壁紙が使われ出したのは1970年頃からで、本格的には1977年頃から公営・公団のコンクリート系アパートやプレハブ系戸建住宅に使われ出し、毎年10%〜20%の出荷伸びとなって来て、現在の住宅の内装仕上材の主力製品に育って来ています。それまでのホテルや商業施設主力の市場から比べて需要拡大と併せて、壁紙に対する認知度も一般消費者に定着したと云えます。

 戦後の復興期、建築には高級織物に裏打紙を加工した壁紙がホテルや公共施設、商業施設の一部には高級仕上材として使われていましたが、RCの集合住宅ではペンキ塗装、一般住宅の場合は洋式高級住宅の一部に高級仕上材として使用される程度でした。
 この頃普及していたある種の塩ビレザーが商業施設の一部に壁装として使用されましたが、当時の裏打はクラフト紙や平織りのレーヨン布で、施工も袋貼り主体の織物の施工技能を要求され、高価な仕上材とされていました。日本ビニル工業会のレザー部会の中に建装と云う言葉が出て来たのもこの頃だと思います。私が20代の頃、出張時に宿泊した駅前の旅館等でも壁は漆喰か繊維壁で、襖の向こうは他人ですから財布はいつも枕の下でと記憶しています。

 昭和41年の死者30名重軽傷29人を出した水上温泉ホテル火災、昭和44年の磐梯熱海のホテル火災等で、新建材による煙が避難障害を引き起こし惨事拡大と云う報道も有り、壁紙の袋貼り(点・線接着工法)も原因とされました。
 これを機に建築研究所(現在は独立行政法人 以下建研)が石綿スレート協会の協力を得て、当時新宿百人町の敷地内で実物大のモデルで火災実験をする話が有りました。火災での人身事故原因のひとつに壁紙も、と云われた事も有ったので、設立間もない壁装材料協会も参加協力をアピールし、試料提供に協力する事で建研実験に参加したとの事です。試料は石綿スレートに難燃処理したレーヨン布を貼った物や、難燃処理した塩ビレザーなどと云う事でした。この結果「現場施工する壁紙も防火材の試験の対象とする」と云う建研の考え方を示され、実験に加わったと云う事です。

「量産品」壁紙サンプル
様々な壁紙サンプル
 昭和44年8月21日付告示「準不燃材料及び難燃材の指定(併せて不燃材料の認定基準)」が公表され、基材試験法、煙の発生量も含めた表面試験法等が明確になった事で、各社この基準をクリアーする製品の開発や難燃材の選定に大変だったと記憶してます。
 壁装材料協会としては品種の多い材料と云う事で各社の提示試料の整理やら、施工後の認定と云う事情から、基材として何を使って試験するかの条件を決める為の建研との調整が多忙でした。
 これ等の結果、材料としては紙壁紙、麻布壁紙、レーヨン壁紙、ガラス壁紙(布)、ビニル壁紙の5素材の性能検定、併せて施工法も指定して管理を協会がする事で、壁装材料協会は通則認定団体となり、前記5素材は昭和44年11月24日付法定防火壁装材料第一次認定品として公表された訳です。これが壁紙が建築材料として公に認知を得た第一歩で、その後壁紙が内装材料として発展出来た要因になったと云えます。

 昭和40年頃、パルプ会社においてメラミンとかポリエステル含浸用原紙(建材用紙)製造の片隅で、新商品開発と云う事で外国の壁紙(一般住宅用が多かった)サンプルを大量に持込み分析や試作をしました。それがほぼ完成した時期に防火材料情報を得る機会があり、併せて壁紙(特に塩ビの裏紙)として難燃剤も決めていたので、他の製紙メーカーより先に難燃壁紙原紙とし上市でき、原紙試作で協力してもらった塩ビレザーメーカーに持込んで感謝されたものです。塩ビ壁紙用原紙は現在、製紙メーカー3社で殆どを占め、年間45千t位の市場と考えられます。

 これ等の条件と相まって住宅の需要が国策的に右肩上りとなり工期短縮、企画型住宅、プレハブ化等乾式工法の開発も進み、この機に基材とセットで防火性能が認められると云う事から特に住宅分野での内装仕上材に石膏ボードと塩ビ壁紙のコラボレーションが出来て来たと思います。又塩ビ壁紙は加工性、印刷性、着色性等と意匠性で織物も含めた分野にまで市場を拡げたと云えます。塩ビ壁紙は織物のイミテーションと云われたりしたが施工性も各社の努力で塩ビレザーでなく紙と塩ビのトータル性能から貼り易く剥がし易いと云う新しい壁装材の新分野を確立したと思います。

 第一次石油ショックの後、壁紙の施工業者価格は販売表示価格の6掛け位で定着しました。当時の販売表示価格は塩ビ壁紙が1,300円/m以上で1,500円/mが標準的、織物の場合には3,000円/m位が多く、ホテル等では5,000円/m以上の高額品もあった時代ですから、原材料の値上りを表示価格にどう反映するかで業界上げて苦慮していました。
 この原材料高騰期に材料上代価格を表示しないで、仕上り(材工)価格をペンキ塗装と同等とした現在の「量産品」が生まれました。全品目準不燃を打出した事により、意匠性、施工性、均一性の点が評価され公団住宅(やや遅れて公営住宅)で従来の塗装仕様から壁紙仕様へと変わったと云えます。併せて昭和55年頃から全国の民間マンションへの採用も拡大して来た事により、住宅の内装は壁紙が主力となってきました。(続く)

編集部注:

石坂様は、(株)興人で合成皮革や含浸紙、壁紙用原紙等の商品開発に従事された後、トキワ工業(株)に移られ、壁紙の創成期から塩ビ壁紙の認知、普及に尽力してこられました。
今回より4回シリーズの予定で壁紙のたどった歴史についてご紹介いただきます。


お知らせ
【NEW】三菱地所、塩ビリサイクル景観材を採用。

 東京大手町のオフィス地区広場に、リサイクル塩ビ製ベンチ(企画・販売(有)三宝)が、4台設置されました。
このベンチは、パイプなどの廃棄物を原料にした環境配慮型製品です。
内1台は太陽電池を利用した夜間用フットライトも備えています。

・日 時: 2007年3月20日(火)〜
・場 所: 東京都千代田区大手町2丁目6番
新日本製鐵、朝日ビルの間の公開広場


東京大手町のオフィス地区広場に設置した“リサイクル塩ビ製ベンチ”

塩ビリサイクルベンチ関連の記事は以下からご覧頂けます。

☆愛知万博(愛・地球博)提供
https://www.vec.gr.jp/press_release/20050316.htm
☆アースデイ丸の内2006出展
https://www.vec.gr.jp/mag/076/index.html#osirase
☆新大手町ビル中庭への設置(こちらは常設になっています)
https://www.vec.gr.jp/mag/077/index.html#osirase

NEDOの補助金事業が公募開始されました。

 住宅・建築物高効率エネルギーシステムの公募により、NEDO技術開発機構が指定する当該システムを住宅に導入する場合に、その費用の1/3が補助されます。

 様々な補助要件がありますが、樹脂サッシ普及促進委員会がお勧めする要件は『断熱リフォーム』です。
 既設住宅のリフォームで『塩ビサッシ+複層ガラス』の内窓を採用する事により、上記の費用補助の対象となるものです。

  公募期間:2007年3月13日〜4月26日
        (二次公募 : 7月上旬〜下旬を予定)

 詳細は、NEDO:独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構のホームページをご覧ください。
http://www.nedo.go.jp/informations/koubo/190313_1/190313_1.html

PVC Newsが3/19に発行されました。

 PVC News 60号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されました。
創刊15年、発刊60号の記念号です。目次をご紹介致します。

■ごあいさつ

創刊15年、60号発刊を迎えて
     JPEC事務局長/VEC専務理事 西出徹雄

■特別寄稿

PVCニュース発刊60号を記念して
     内閣府原子力委員会委員(前富士常葉大学教授)
     NPO法人「持続可能な元気ネット」顧問  松田美夜子氏

■トップニュース1
塩ビ被覆電線を官庁施設向けの建設資材として再評価
■トップニュース2
塩ビを含む建設系混合廃プラの有効利用へ新たな道
■視点・有識者に聞く

ソフトパワー強化で産廃業界の新時代を拓く
     (株)ハチオウ代表取締役社長/環境カウンセラー  森裕子氏

■リサイクルの現場から

加速する、セメント産業の廃プラリサイクル

■インフォメーション1
環境ホルモン問題とは何だったのか?
■インフォメーション2
米科学誌が可塑剤工業会の研究結果を掲載
■海外事例紹介
連携進む、VECと海外塩ビ業界
■広報だより

・塩ビ業界のありのままを伝える『データで見る塩ビ』発刊
・第4回「住まいと環境・エネルギーセミナー」開催
・「ENEX2007」に共同出展(JMADO&プラスチックサッシ工業会)

以上、新たな視点に立った塩ビに関する情報を、ご紹介致します。

記事内容は、こちらからご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/index/i_saisin.html

PVC Newsバックナンバーは、塩化ビニル環境対策協議会のHPよりご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/

購読を希望される方は、送付先などをご連絡下さい。

【終了報告】建築・建材展2007

展示ブースの様子
『塩ビサッシ内窓』説明の様子
 3/6(火)〜9(金)の4日間、日本経済新聞主催の『建築・建材展2007』が東京ビッグサイト(東ホール5・6)にて開催されました。樹脂サッシ普及促進委員会は(社)日本建材・住宅設備産業協会のブース内に出展参加し、塩ビサッシ窓の性能が体験できる結露BOXや遮音BOX、実際に塩ビサッシの内窓を取付けたサンプル等を展示しました。さらに、セミナーステージで、各メーカーにより内窓取り付け実演を1回/日行いました。
 ブースには4日間で約1200人と大勢の方がご来場され大盛況でした。ご来場者のほとんどは施工業者・設計事務所・製造業の方々で一般消費者は少ない状況でした。やはりプロの皆さんですので、「ガラスの種類と樹脂サッシの組合せによる熱貫流率の違いは?」、「RC・戸建による樹脂サッシの取付方法は?」、「コストは?」等、内容の鋭い質問が多くあり、説明者も忙しく対応に追われていました。また、内窓の取付け実演にも多くの人が集まられ、短時間に取付けられる内窓を見て感心され、特にNEDOの補助金の紹介には興味を示されメモを取っている人がおられました。このように、内窓(リフォ−ム)について、皆さん関心を示されている印象を強く感じました。

NEDOの補助金に関して、今週号の「お知らせ」にてご案内しています。

編集後記
 3月中旬になって寒くなり、桜前線も行ったり来たりですね。東京の桜は、開花宣言が出され一輪二輪と咲き始めました。東京駅の八重洲北口方面に「さくら通り」と呼ばれる通りがあり、それは素敵な桜並木です。ビルを建替えて新装開店した「丸善」や「高島屋」に続きますので、時期を見てお散歩にどうぞ。
 桜といえば「桜餅」ですが(強引ですね)、みなさんは桜餅を包んでいる塩漬けの桜葉をどうしていますか?私は、もちろん美味しくいただいています。桜葉の塩気と餡の甘みが引き立てあいますよね。桜餅を包む桜葉は、桜餅の為に栽培された桜の木から取れる葉を、半年間も塩漬けにしたものだそうです。今まで、桜葉を捨ててしまっていた方がいらしたら、一緒に召し上がってみてはいかがでしょう。(漠)

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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