NO.108
発行年月日:2006/12/14

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トピックス
◇車に乗ったり、酒飲んだりして、「化学物質」リスクを問うなかれ。
PVC討論会での東大渡辺教授講演に想う。

随想 
泉岳寺と川上音二郎
信越化学工業(株) 木下清隆
お知らせ
日経住まいのリフォーム博 2006 出展&
第4回「住まいと環境・エネルギーセミナー」開催案内
PVC Newsが12/11に発行されました。
環境省の「チーム・マイナス6%」WEBサイトに「樹脂サッシ」の記事が
掲載されました。
【終了報告】四国地方の気象対応住宅セミナー In 松山

編集後記

トピックス
◇車に乗ったり、酒飲んだりして、「化学物質」リスクを問うなかれ。

PVC討論会での東大渡辺教授講演に想う。

 12月1日、大阪で、東京大学生産技術研究所の渡辺正教授の講演を聞きました。これは、近畿化学協会ビニル部会、日本化学会近畿支部、高分子学会関西支部などと私たちVECが共催した、第57回ポリ塩化ビニル(PVC)討論会での招待講演でした。
 この討論会は、近畿化学協会の肝いりで毎年開催されているもので、回数が示すとおり57年の長きに亘り、塩ビの研究や応用など幅広い話題についての産学の意見交換の場として続けられてきているものです。
 この日は冒頭、近畿化学協会ビニル部会の会長である大阪市立大学の圓藤先生の講演の後、2題の研究発表と3題の招待講演があり、招待講演のトップに渡辺先生の話があったのです。

 東京大学生産技術研究所の渡辺正教授といえば、数年前のダイオキシン騒動はなやかなりし時、世間で言われている情報は科学的に見ておかしい、そんなに大騒ぎするほどのリスクはない、塩ビについての話も風評に過ぎない、と発言され、間接的に私たち塩ビ関係者を大いに勇気付けてくれた方でした。

 渡辺教授のこの日の演題は「『化学物質』のリスクをめぐる空騒ぎ」というもの。元来、ある物質が健康に与える悪影響(リスク)は、その物質が基本的に持っている毒性(ハザード)と人間がその物質にさらされる暴露量の掛け算で考えなければならないのに、えてしてハザードそのものが本日ただ今あなたの身に降りかかるが如き情報が世間に流されがちであり、それが「空騒ぎ」を引き起こすばかりか、その情報に踊らされて見当外れの対策が取られたり過大な教育が行われたりすることは、大袈裟にいえば「国力の低下」につながる、と教授は心配されているのです。

 いろいろな問題について、具体的な根拠を挙げて「空騒ぎ」の「空騒ぎ」たる所以を説明される教授の話は大変興味深く、参考になるものでした。数あるコメントの中から、特に印象に残ったものは下記のようなものでした。

 ○殺虫剤のDDTはマラリアを媒介する蚊の駆除剤として発明され、セイロン等で使用されて、それまで年間250万人発症していたマラリアを年間20〜30人までに激減させた。しかし1964年にハザードの有害性からDDTの使用が打ち切られた結果、1969年には再び200万人以上の発症者が出るに至った。現在全世界では年間3〜5億人がマラリアに発症し、アフリカを中心に死者は年間120万人に達している。ハザードを重視するあまりの「対策のミス」であり、「裏目に出た善意」でもある。

 ○ダイオキシンや鉛、水銀、カドミウムなどの有害性が喧伝されているが、人間が一回の呼吸で吸い込むダイオキシン分子の数は500万個、鉛原子は50億個、水銀原子は3000億個だし、またコメ一粒が含むカドミウム原子はなんと5兆個なのである。この状況が実際人間に悪影響を与えているとは考えられない。「暴露量」の概念が如何に大事かを良く示している。

 ○命と健康にとってリスクの大きいものをランキングすると、「酒・タバコ・クルマ」が最大のランクである。ダイオキシンや環境ホルモンなどいわゆる化学物質の悪影響は桁違いに小さい。クルマに乗ったり、酒やタバコを飲み吸いしながら化学物質の悪影響をあげつらうのはその意味で首尾一貫しているとは言い難い。

 さらに教授は講演の最後で地球温暖化問題にも触れ、「石油・石炭・天然ガスを掘る以上、その殆んどはいずれCOとなって大気に出る。COが原因で地球が温暖化して危機が来ると言うなら、意味のある行為はただひとつ、油田や炭鉱ガス田のせめて一部を永久に封印することだけではないか。採掘量に影響しないような発言も行動もことごとく無意味である。」とコメントされました。これも傾聴に値する議論でした。

 ダイオキシンや環境ホルモンなどに事寄せて「空騒ぎ」に巻き込まれた苦い「思い出(?)」もある塩ビですが、この日の渡辺教授のような良識ある考え方が、もっともっと社会に広がり定着して欲しいものだ、と改めて感じた一日でした。

随想
泉岳寺と川上音二郎
信越化学工業(株) 木下清隆

 私の祖母は嫁入り前の名前を川上ハナと云い、川上音二郎とは従兄妹同士の関係にあった。そんなことから、我家には音二郎に関する遺品が幾つか残っている。
 音二郎は明治一五年(一八才)から明治二一年(二十四才)まで京都に在住し、その間、自由党童子と称して壮士となり、反政府演説を続けていた。投獄されること百数十回に及んだと云う。この音二郎が四十七士で名高い泉岳寺と、深い関わりを持っていることを知る人は少ない。

 明治時代、泉岳寺の四十七士の墓所は、相当に荒れていたらしい。今日、我々が四十七士に抱いている親近感は、映画、テレビ等によるところが大きく、武士の鏡があそこにあるとして全国から多くの人々が訪れている。参詣者が多ければ自然に墓所もきれいになろうと云うものである。
 ところが明治の三十年代後半に、その荒れはてていた墓所が大改修された。当時の第四十世の住持と音二郎とが大変親しかったことが寺側には伝えられており、この大改修は音二郎の支援によるものと寺には伝えられている。何か改修記念碑でも建っていれば、その辺の事情が明確になるところであるが、残念ながらそのようなものは残されていない。唯、四十七士の墓のすぐ近くにある、首洗井戸の玉垣に「川上音二郎建之」と刻まれた石柱が残されており、墓所の改修といっしょに玉垣の改修も行なわれたことが窺われる。この首洗井戸は、義士たちが上野介の首を主君内匠頭の墓前に供える前に、この井戸で洗ったことからこの名がある。現在は、円形の井戸らしきものが残されているが、これを間口約六米、奥行約四米の玉垣が囲んでいる。

泉岳寺
四十七士墓所
川上音二郎墓碑
 何故、音二郎と泉岳寺なのか。この疑問については、音二郎が福沢諭吉の慶応義塾の塾僕になっていたことと深い関係がある。
 博多を脱出した音二郎少年が最初に向かったのは、京都ではなく東京であった。無一文になり、やっとの思いでたどり着いた東京で、福沢諭吉に廻りあう。増上寺の小僧をしていたときのことである。毎朝散歩に来る中老の紳士は有名な福沢諭吉であると教えられた。この諭吉に学問がしたいと頼み込んだらしい。十四歳の頃のことである。熱心さに打たれた諭吉は、慶応義塾の塾僕にしてくれた。塾僕とは、塾と塾生を相手の小使のことである。その代わり学費は只で勉強をさせてもらった。当然、寄宿舎の門番もしていた。夜遊びが過ぎて門限に遅れた塾生のために、こっそり門を開けてやったりしていた。その代わり、ちゃっかり小遣いを貰うのである。ところが、これが塾長にバレてしまい、塾を追放されてしまう。

 この慶応義塾から泉岳寺までは歩いても二十分程度である。恐らく、音二郎は四十七士の墓が近くにあると聞いて、そこを訪ねたに違いない。心を躍らせて山門をくぐった少年音二郎は、その目に飛び込んできた光景に立ちすくんだのではなかろうか。これが四十七士の墓か!草ぼうぼうの荒れ果てた墓所をうつろな眼で眺めながら、「よし!いつの日にか、俺がここをきれいにしてやる。」音二郎少年は心にそう誓ったに違いない。

 音二郎は四十七士の墓所の大改修を行なってほどなく他界した。明治四十四年のことである。享年四十八歳であった。大阪公演中での死であったことから、葬儀は大阪と博多とで行なわれた。双方とも記録破りの盛葬となったようである。博多での葬儀は万行寺で行なわれたが、遺骸は承天寺に埋葬された。東京でも音二郎の世話になった多くの新派俳優や、劇団関係者達で葬儀が執り行なわれた。更に墓碑が泉岳寺内に建てられた。「川上音二郎之碑」は始めは首洗井戸の脇に置かれていたが、昭和三十年頃、この井戸のある玉垣の中に移され、現在に到っている。この他、泉岳寺には音二郎一座がボストン公演中に死亡した座員の為の招魂碑、更に新劇場設立記念之碑等もキチンと残されており、寺側の音二郎に対する丁寧な心遣いが忍ばれる。(了)

お知らせ
日経住まいのリフォーム博 2006 出展&第4回「住まいと環境・エネルギーセミナー」開催案内

 快適、健康、そして安全・安心なリフォームを考えている方におすすめのイベント、「日経住まいのリフォーム博2006」が下記の要領にて、開催されます。
 樹脂サッシ普及促進委員会、樹脂サイディング普及促進委員会にて出展致します。

 ・日 時:2006年12月14日(木)〜17日(日)
      10:00〜17:00(最終日は〜16:00)
 ・場 所:東京ビッグサイト(西1・2ホール)
      東京都江東区有明3−21−1
 ・主 催:日本経済新聞社
 ・入場料:無料
 ・日経住まいのリフォーム博2006のホームページをご覧下さい。
http://sumai.nikkei.co.jp/reform/reformhaku/event/index.html

 ・東京電力のブースにて、塩ビサッシの取付施工実演を行います。
  (各15分間)
  12月14日(木)〜16日(土)11:50〜/15:05〜
  12月17日(日)        11:50〜/14:15〜

★この会場内にて、第4回「住まいと環境・エネルギーセミナー」を以下の要領で開催致します。

 ・日 時:2006年12月17日(日)
      第1部 11:30〜12:20
      第2部 14:00〜14:50
 ・会 場:「日経住まいとリフォーム博」
      会場内特設ステージ
 ・参加費:無料
 ・セミナー内容:
   第1部:「窓とリフォーム&エコロジー」
       講演者:明治大学 北野大 教授
   第2部:「リフォームでロハスな生活」
       出演者:辰巳琢郎(俳優)
       ナビゲーター:酒井ゆきえ(フリーアナウンサー)

   詳細はこちらをご覧下さい。
   第4回「住まいと環境・エネルギーセミナー」案内

PVC Newsが12/11に発行されました。

 PVC News 59号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されました。
 目次をご紹介致します。

 ■トップニュース1
  環境省が「樹脂サッシ」による断熱リフォームを率先して実施
 ■トップニュース2
  中越地震の塩ビ管・継手廃材1,120トンをリサイクル
 ■視点・有識者に聞く
  サステナブル・ビルディングの最新動向
  慶應義塾大学理工学部教授(工学博士) 伊香賀 俊治 氏
 ■リサイクルの現場から
  進化する、光和精鉱の廃棄物リサイクル事業
 ■インフォメーション
  積水ハウスが挑む、サステナブル時代の住まいづくり
 ■広報だより
  ・『ヨーロッパ塩ビ安定剤事情』発刊(VEC)
  ・出展レポート/Japan Home & Building Show 2006

 以上、塩ビに関する最新情報をお届けしています。

 記事内容は、こちらから。
 今号よりカラーでの発行となりました。是非、ご覧下さい。
http://www.pvc.or.jp/index/i_saisin.html

 バックナンバーは、
 塩化ビニル環境対策協議会のHPよりご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/

購読を希望される方は、送付先などをご連絡下さい。

環境省の「チーム・マイナス6%」WEBサイトに「樹脂サッシ」の記事が掲載されました。

 地球温暖化防止に役立つ樹脂サッシ。
 環境省が地球温暖化防止をアピールする「チーム・マイナス6%」のWEBサイトに樹脂サッシ関連の下記2件の記事が掲載されました。

 (1)「樹脂サッシ+低放射複層ガラス」環境省が官舎窓に導入
http://www.team-6.jp/report/movement/2006/11/061130a.html

 (2)窓を一枚厚着する!窓の快適「樹脂サッシ」
http://www.team-6.jp/try/uchieco/061130a.html

【終了報告】 四国地方の気象対応住宅セミナー In 松山

 既報の通り、樹脂サイディング普及促進委員会、樹脂サッシ普及促進委員会では、標記のセミナーに参加致しました。
 愛媛県下の工務店等から約60名の皆様のご参加を頂きました。実際に塩ビサイディングを使用した新築住宅の見学会も行い、盛況のうちに終了致しました。

 ・日  時:2006年12月7日(木)
 ・場  所:松山市総合コミュニティーセンター
 ・主  催:住まいづくり研究会

編集後記
 最近チマタで目に付く話題。官製談合、イジメに、みうち殺し・・・。ここでもちょっと触れたことがありますし、新聞などでもその言葉が囁かれだしていますが、「日本のモラルは崩壊したのか?」ということをまじめに考えなきゃいかんみたいですね。
 なんていっても私なぞには到底考えられない、大きな、深刻な、奥深い、テーマですが、分からないなりに(話をそらすべく)述べるならば、「このような問題について、答を出すのは宗教の役割なんじゃないのかな?」ということ。平たくいえば、「この問題、世の宗教家はどう受け取ってんだろうか。」その答だけを信じるのがいいかどうかは別として、ちょっと誰かに聞いてみたいですね。それともちゃんと考えてくれていて、知らないのはH2だけなのかもね。(H2記)

先週の編集後記についての読者からのお便り・・・[編集後記後]

「二段なぞなぞ」に、マドギワタイガー様と多摩勝馬様他数名の方々よりご回答頂きました。
ありがとうございました。解き方は、以下の通りです。…(事務局)

 問:艶やかな、花美しくふたつ居る・・・・・・答:塩化ビニール
 解:艶やかな(エン)、花(カ)美しく(ビ)ふたつ(ニ)居る(イル)
 問:色づいた、海の彼方にコアがあり・・・・・答:ダイオキシン
 解:色づいた(dye:ダイ)、海の彼方に(沖:オキ)コアがあり(芯:シン)
 問:不善為し、打ち棄てられたセンテンス・・・答:環境ホルモン
 解:不善為し(小人閑居(カンキョ(ウ))して不善を為す)、
   打ち棄てられた(放る:ホル)センテンス(文:モン)

毎回楽しく且つ有益なメルマガを有難うございます。中でも編集後記はウイットが利いた名文でこのメルマガの価値を一段高くしていますね。ところで前回の三番目はなかなか難しくて、考えているうちに回答が出てしまったので今度は遅れないように出します。しかし、「天に届かぬ…」は傑作ですね。
さて新機軸のクイズですがこんなところでいかがでしょうか?
 答:お年玉……問:(72/100+40/100+89/100)X頭の部分
 答:初日の出…問:(元明天皇、桓武天皇)+聖徳太子
 答:年賀状……問:C13の1+G10の2+(T34の3+“゛”(濁点))+Y23の4
             +M27の1+H9の1(ヒント:東京地区限定)
そんなに難しいとは思いませんが、必要ならヒントを出しますのでご連絡ください。…(多摩勝馬様)


先週の編集後記をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。
https://www.vec.gr.jp/mag/107/index.html#kouki

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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