NO.080
発行年月日:2006/05/25

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トピックス
◇塩ビサッシは温暖化対策の救世主(?)
日本全国すべてに行き渡れば、なんと35百万トンのCO排出削減

随想 
今年のECVM総会
VEC専務理事 西出徹雄
お知らせ
編集後記

トピックス
◇塩ビサッシは温暖化対策の救世主(?)

日本全国すべてに行き渡れば、なんと35百万トンのCO排出削減


 わが国の地球温暖化対策が、進捗はかばかしくないのはご存知でしょう。昨年発効した京都議定書での日本の約束は、「2010年頃までに温暖化効果ガスの排出量を1990年比6%削減する」というものでした。定量的には、1990年の排出量1237百万トンを、2010年頃には1163百万トンにまで下げる、という公約です。

 ところが現実には、2004年時点(速報値)で排出量は1329百万トンにまで膨らみ、6%削減どころか、7.4%増大となっていて、目標達成の為にはなんと13.4%も減らさねばならなくなっているのです。
 これら温暖化効果ガスの大部分を占めるエネルギー起源COについて政府は、産業部門、運輸部門、家庭部門、業務その他部門に分けて排出を管理していますが、2004年現在、産業部門は1990年比△0.8%とまずまずであるものの、運輸部門は+20.6%、家庭部門は+30.0%、業務その他部門は+35.5%と散々なありさまです。

 このうち、私たち国民一人一人の努力が直接成果に結びつくのは家庭部門です。この部門は1990年で129百万トンでしたが、2004年には168百万トンにまで増加しています。政府のこの部門の削減目標値137百万トンまで、あと31百万トン削減しなければなりません。

 家庭部門のCO削減といえば、先ず頭に浮かぶのは各家庭の省エネルギー性能の向上です。住宅をより断熱性の高い構造に変えて冷暖房費を節約し、冬暖かく夏涼しい住環境を満喫して、その上地球温暖化防止にも寄与する、一石二鳥も三鳥もの対策です。

 実はそのための耳寄りな話があります。住宅の窓を複層ガラス・塩ビサッシシステムに変えることです。
 住宅からの熱損失は、窓などの開口部からのものが冬場でも全体の6割弱、夏場はなんと7割以上に達しています。窓を単板ガラス・アルミサッシから複層ガラス・塩ビサッシに変えることによって、窓からの熱損失を約1/3にまで減らすことができます。

 標準的な戸建住宅ではこの対策により一戸あたり年間約1.04トンのCO排出削減が見込まれ、集合住宅でも一戸あたり約0.30トンの削減が見込まれます。そこで、もしも日本全国2750万戸の戸建住宅と、2120万戸の集合住宅のすべてにこの複層ガラス・樹脂サッシシステムが採用されればどうなるか? ちょっと計算してみて下さい。削減されるCO排出量はなんと約35百万トンにもなるのです。
 数字の上ではこの対策だけで、日本の家庭部門で現在必要とされている削減量のすべてを賄っておつりがくるのです。びっくりしませんか?

 もっとも、この計算は全国の住宅が100%対策したとしての話で、この数字自体に現実性はありませんが、住宅の高断熱化、とりわけ窓部分の対策が意外に大きな効果をもたらすことはお分かりいただけたかと思います。

 環境省や経済産業省も、こういった効果に着目され、例えば住宅のリフォーム時にこの複層ガラス・塩ビサッシシステムを採用する場合にはいろいろな政府の補助金を利用できる制度が作られています。さらに、より大規模な促進支援システムを検討する動きもあるようです。
 窓を複層ガラス・塩ビサッシに変えて、涼しい夏と暖かい冬を愉しみ、冷暖房費は安くなる上、温暖化防止にも大きく貢献する生活。これこそ21世紀の住環境ではないでしょうか。

複層ガラス・塩ビサッシについて詳しくは、樹脂サッシ普及促進委員会のホームページをご覧下さい。
http://www.jmado.jp/

随想

今年のECVM総会                   

VEC専務理事 西出徹雄

 私たちと同じ塩ビ業界の団体として、米国にはVinyl Institute、欧州にはEuropean Council of Vinyl Manufacturers(ECVM)という団体があり、相互に連携しながらそれぞれ活動をしています。5月9日、10日にスコットランドのエジンバラでこのECVMの総会が開催され、私も招待されて参加しました。総会はECVMの会員と招待者限りの会議ですが、講演の内容は参考になるものが多いので、概要のみ簡単にご紹介してみましょう。

会議風景
 ヨーロッパ全体での塩ビの需要は東欧を中心にまだ増加が続いているものの、世界的には中国の設備能力急増の影響が懸念されている。安全問題については比較的落ち着いた議論になってきており、塩ビ樹脂そのものについて安全性を問題にする議論はなくなってきているが、可塑剤や安定剤については、使用される可塑剤の種類の変化や、Pb系からCa/Zn系への安定剤の転換などの動きが続いている。ただし、可塑剤についてはリスク・アセスメントの結果、今年の4月13日付けで欧州委員会から、DINPとDIDPの両方について、健康影響や環境影響に関して現状以上の試験やリスク削減措置は必要ないとの評価結果が公表され、欧州でも塩ビユーザーに広く広報されている。今後の課題としては、塩ビだけではなく広範な化学物質を対象としたREACHのような登録評価制度との関わりが重要になってくる。

 リサイクルについては、欧州塩ビ業界として2010年に20万トンのリサイクルを行う目標が立てられており、昨年のレビューでこの目標が再確認されたところであるが、技術開発の面ではビニループ以外のプロジェクトが中断となってきている一方、リサイクル・システムとしてのレコビニル・プロジェクトが徐々にではあるが、協力事業者を増やしつつある。
 また今回の総会のサブテーマが「塩ビ−持続的建築に選択される材料」となっていたこともあって、壁装材や床材などのトップ企業の経営者から現状とサステイナビリティーへの期待が表明され、またサステイナブルな材料としての評価手法が紹介された。
 総会を通じて欧州の現状を見る限り、日本と比べて著しく進んでいる点が見られるわけではなかった。日本も制度の整備や実態面での推進状況では実態として欧州に劣るわけではなく、むしろリサイクルなどではより着実に進展しつつあるように感じられた。

エジンバラ市街
 エジンバラはスコットランドの首都、古い石造りの街並みが美しい「世界遺産」の街です。古くはエリザベス1世と対立したスコットランド女王メアリーがいたのもエジンバラ城ですし、映画「ブレーブハート」のウィリアム・ウォーレスが13世紀末にイングランド軍に大勝したのもエジンバラの北のスターリング、ゴルフ好きには聖地と崇められるセント・アンドリュースは列車で1時間ほど北に行ったところにあります。北緯56度、緯度からいえばモスクワやカムチャッカ半島に相当しますから、5月とはいえ気温は最低気温がまだ1,2度と厚手のコートが手放せず、桜が満開の気候でした。会議の合間にエジンバラの街を歩きましたが、どこを見ても絵になる風景であり、また、ここのナショナル・ギャラリーにはラファエロからモネやゴッホまでの佳作に加えてフェルメールの絵が一点ありましたが、これはまた別にご紹介することにします。

(注)DINPとDIDPの安全性に関する欧州委員会の公式発表内容についてはこちらをご覧ください。
http://www.dinp-facts.com/pressrelease/details/index.asp?id=3
[PDF] http://www.dinp-facts.com/upload/documents/document6.pdf

お知らせ
住宅リフォームフェア 出展案内

 樹脂サッシ普及促進委員会では、リフォームに関心のある方々と、リフォーム会社や工務店、建材・設備メーカーとの出会いの場となる、「住宅リフォームフェア」に出展致します。どちらの会場も入場無料です。

[埼玉会場] 
 ・日 時:2006年6月3日(土)〜4日(日)
       10:00〜17:00
 ・場 所:埼玉スーパーアリーナ
       さいたま市中央区新都心8
 ・主 催:(株)リフォーム産業新聞社

[長野会場]
 ・日 時:2006年6月10日(土)〜11日(日)
       10:00〜17:00
 ・場 所:エムウエーブ
       長野県北長池195
 ・主 催:(株)リフォーム産業新聞社
 ・共 催:信濃毎日新聞社

 ・住宅リフォームフェアのホームページをご覧下さい。
http://www.the-reform.co.jp/fair.html
編集後記
 五月も後半、五月晴れシーズンたけなわ・・・とはいかない今年の天候ですが、こいのぼりが減ってくるこの頃になると現れるのが、ドリームジャンボ宝くじ。H2も名うての宝くじファンなので、早速吉日の吉時間を選んで、いきつけの宝くじ売り場に出向きました。

 以前にもご紹介しましたが、H2は前回購入した宝くじは、次回購入時まで当選番号調べをしない主義なのです。何故ってその方が愉しみが長持ちするからです。未調査の宝くじを常時かばんに入れて持ち歩いています。仕事がうまく行かない時、気持ちが落ち込んだ時、このかばんの中にある宝くじを思い出して、「仕事がなんだ!生活がなんだ!僕は3億円の金持ちなんだぞ!」と唱えると、誠に精神状態が良くなります。一度試してみませんか?

 それはさておき、宝くじ売り場で、前回買ってあった宝くじを差し出して番号調べをしてもらう。当たってたら売り場の女性の顔色が変わるだろうな、変わるかな?と思って観察しているのですが、いつものように彼女、泰然として「はい、300円ですね」と、10枚に1枚必ず当たる分しかお金を返してくれません。やれやれ、がっかり。
しかし、新しく10枚買ってかばんに入れると元気回復、今度こそ当たってるんだから・・・、と自らを慰めるH2なのでした。

 そこで今週の駄洒落。「たからくじ」って「宝くじ」じゃなくて、「多空クジ」、なんですよね。(H2記)

先週の編集後記についての読者からのお便り・・・[編集後記後]

私もH2さんと同じに、通勤時間は睡眠時間の一部にしていて、立ったまま眠れるという技を習得しています。混んでいる時は、どこにもつかまっていないのに途中の記憶が無い時もあります。家族は半信半疑だったのですが、先日「本当に、立ったまま眠っている人を見た」と驚いていました。やっと技を認めてもらえました。…(百聞は一見に如かず様 )

先週の編集後記をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。
https://www.vec.gr.jp/mag/079/index.html#kouki

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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