NO.076
発行年月日:2006/04/20

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トピックス
◇塩ビのマテリアルリサイクルに、また一つ咲く大輪の花。
ベルギー生まれ、イタリア育ちの「ビニループ」プロセス、千葉県で4月に稼動

随想 
ヒヨドリ騒動顛末記(前編)
宝生流横浜連合会 副会長 吉田澄夫
お知らせ
編集後記

トピックス
◇塩ビのマテリアルリサイクルに、また一つ咲く大輪の花。

ベルギー生まれ、イタリア育ちの「ビニループ」プロセス、千葉県で4月に稼動

 塩ビは他のプラスチックに比べて加工性に優れているため、使用済み品をリサイクルする時に多少の異物が混入していても製品化が可能であり、また再生品の用途が多岐に渡っていることもあって、使用済み品を再度塩ビ製品として利用する、いわゆるマテリアルリサイクル(MR)が簡単にできるという特長があります。
 現に、日本の使用済み塩ビの総量約112万トンのうち、約28万トンがMRされており、MR率は25%と、塩ビ以外の汎用プラスチックのMR率18%を大きく引き離しています(2004年データ)。

 塩ビのMRはいろいろな分野で行われていますが、なかでも農業用ビニル、塩ビ管・継手、電線被覆材の3分野でのMRが量的に大きく、私たちはこの3分野を、「MRご三家」と呼んだりしています。農業用ビニルや塩ビ管・継手のMR率はそれぞれほぼ60%に達していますし、電線被覆塩ビも排出量の約1/3がMRされています。

 私たちは、このような状況に満足せず、さらにリサイクルの場を増やして、循環型社会に一層適した素材を目指そうと、いろいろ検討を続けてきました。「ご三家」に限らず多岐分野に渡るMRの推進、高炉原料化やガス化などによるケミカルリサイクル(CR)の技術開発、有用組成分を回収しながら熱回収するエネルギーリカバリー(ER)など、さまざまな試みを続け、それぞれ実現に結びつきつつあります。

コベルコ・ビニループ・イースト千葉工場
 そこへ最近、MRのニューフェイスが誕生しました。使用済み塩ビを特殊な溶剤に溶解し、塩ビ以外の溶けない素材と固液分離した後、塩ビだけを回収して、コンパウンドとして多種用途向けに再利用するというものです。「ビニループ」プロセスと名づけられたこの技術、ベルギーのソルベー社が開発したいわばベルギー生まれ、工場第1号は2002年にイタリアに作られた、いわばイタリア育ちなのです。

 その技術を日本の神戸製鋼(株)が導入し、ソルベー社と共同で(株)コベルコ・ビニループ・イースト(略称KVE)を設立して事業化を進めてきました。その労が実ってこの4月に、千葉県富津市に工場が完成し、稼動の運びとなったものです。
 この富津プラントは公称能力年間26千トン、再生塩ビコンパウンドを年間18千トン供給できるとされており、電線被覆材や農ビに加えてパイプや壁紙やターポリン(テント材)など広い分野の使用済み塩ビを再生できるとされています。
 再生コンパウンドも試作段階では上々の評判で、「バージン材料と比べて遜色ない」との評価を得ているとか。

 私たちはこの技術に従来から大きな関心を持ち、いろいろな面でこの技術の日本での企業化に協力と支援を続けてきました。今回、日本で花開き、稼動実現に至ったことを私たちも大変嬉しく思います。今後ともこの事業を応援し続けるとともに、塩ビのリサイクルの更なる発展を期待するところです。
 リサイクル手法のラインアップを一層広げてきた塩ビ。どうか、安心して塩ビ製品をご使用ください。

随想

ヒヨドリ騒動顛末記(前編)

宝生流横浜連合会 副会長 吉田澄夫

 我が家の庭に面した雨戸の戸袋の傍に梅の木があります。梅雨の頃、雨戸の開けしなに何気無しに眼をやると、丁度私の頭の高さで手の届く枝と枝の間に、ビニール紐や小枝で絡み上げた、すり鉢状の巣があるのに気がつきました。何の鳥の巣だろうかと楽しみにしていたところ、七月のある朝ふと見ると、嘴が細長く尾羽がスッと延びた眼のまん丸い小鳥が、じっとこちらを見つめてうずくまっていました。卵を温めているせいか、ヒトが間近でガラガラと音高く雨戸を開けても物怖じしません。親鳥が巣を空けた留守に手鏡を使って中を覗き見たところ、うずらの卵大の卵が四個ありました。
 つぶらな愛くるしい眼や、梅雨明けのうだるような暑い日中でもひたすら卵を抱き続ける健気な姿に妻も娘もすっかりとりこになり、それからと言うものは一家を挙げて巣立ちを楽しみにそっと見守っていました。
 インターネットで、ヒヨドリであること、人懐こくカラスなどに襲われぬよう人目に付くところに巣作りすること、猫が雛を狙うので気をつけること、など一通りの予備知識も仕入れました。

 二週間ほど経った頃、雛が四羽ともかえりました。昼間は給餌やらで忙しく出入りしていた親鳥も夜になると巣に戻り、つばさを広げて暖かく雛鳥たちを抱え込み眠りにつきます。
 この年は関東地方に接近する台風がいつになく多く、台風が来る前の巣立を願っていましたが間に合わず、七月末の週末に台風がやってきました。幸い本体は房総沖を通過したため心配したほどの雨風ではなく、巣も雛たちも無事でほっと一息ついた夕暮れ時です。

 ただならぬ親鳥の鳴き声と「蛇よ!」と叫ぶ妻の金切り声に、吃驚して二階から駆け下りたところ、妻がハタキの棒を振り回し、巣に近づいた蛇を必死に追い払おうとしていたのです。私も傍らにあった雨傘で蛇の胴体部分を叩こうとしましたが、木の枝が密集しているのと気が動転していたため、効果的な打撃を与える事ができません。しかし私達の勢いに恐れをなしてか、蛇は一旦は逃げ去りましたが直ぐに別の枝を伝わって再び雛を襲いに来ました。傘は先ほどの攻防で折れ曲がってしまい得物にならなかったので、合成樹脂製の直径1cm程の植木の支柱を使ってなんとか蛇の頭部を叩くことができ、蛇は再び逃げ去りました。

 「あんなに頭を強打したから暫くは出てこないだろう」とたかをくくって二階に引き上げて三十分も経った頃、再び妻の悲鳴で慌てて駆けつけたところ、何と蛇は執念深くまた襲ってきたのです!しかも今度は私達の隙をついて巣の上にトグロを巻き、雛を一羽また一羽と飲み込んでいたのです!
 さあ、本格的な蛇退治の始まりです。室内から妻が棒で追い出し、雨中の外で待ち構えた私が門柱を伝わって這い出てきた蛇を、怒りと恐怖に駆られながらメッタ打ちしたのでさすがの蛇も動かなくなりました。蛇は体長1.5m以上の多分青大将だったかと思います。でも蛇体は青色より銀色で、しかも腹部は二箇所飲み込まれた雛によりぷっくりと膨らんでいました。
 巣には一羽の雛が残っていましたが、翌日親鳥は必死になって巣立ちを促し、早々と飛び去ったのはせめてもの慰めでした。

 ところで蛇の死骸はゴミ袋に忍ばせて生ゴミとして処分しようと思っていたのですが、そう簡単にはコトは済みませんでした。妻や娘が蛇騒動を知人や友達に電話しまくったのですが、ある人からは「蛇は家の守り神様の使いだから、雛などは召し上がっていただいて丁重に退散願うべきところ、殴り殺した上に生ゴミとして処理するとは何事か」とお叱りを受け、また多くの方から「祟りがあるから供養したほうがいい」と脅され、女人どもはすっかり怯えてしまいました(かく云う私も正直なところ心穏やかではなかったのです)。
 そこで役所の方に動物の死骸の処理業者を紹介してもらい、月曜日の朝、引取りにきた業者に5千円のところ大枚一万円を渡し、丁重に葬ってもらうよう頼みました。そして次の週末、炎天下を一家揃って蛇に縁の深い鎌倉の銭洗弁天に詣で、好物の卵を手向けお賽銭を奮発して何とか救われた気分になったのでした。

 さてこれで一件落着であればこの顛末記を皆様にお読みいただくことにはならなかったのですが、実はまだ続きがあったのです。続きはまたの機会に・・・。

(この記事は宝生流横浜連合会の会報に掲載されたものですが、著者ご本人および連合会会報のご了解をいただいて転載したものです)

お知らせ
「アースデイ丸の内2006」の展示ご案内

 「アースデイ」とは、国内最大の市民ボランティアによる環境フェアです。塩ビ工業環境協会では、このイベント用にデザインした“リサイクル塩ビ製ベンチ”を展示致します。
 イベント終了後は同ベンチを、新大手町ビル中庭に1ヵ月間設置し、周辺の会社員の方等にお使い頂きます。  

・日 時 2006年4月17日(月)〜4月23日(日)
・場 所 東京サンケイビル公開空地(サンケイ会館前広場)
・企 画 アースデイ丸の内2006実行委員会

アースデイ公式サイトはこちらからご覧頂けます。
http://www.earthday-tokyo.org/

サンケイ会館前広場に展示中の“リサイクル塩ビ製ベンチ”

「快適窓学(データ編)」第4編が、3/20に発刊されました。

 樹脂サッシ普及促進委員会より、「快適窓学(データ編)」第4編(窓の高性能化と快適な暮らしの条件)が発刊されました。

 窓の側に近づくと背筋がヒヤッ・・・そんな経験ありませんか?高い断熱性能により、原因となる冷輻射を抑えることが出来る、樹脂サッシ+高性能複層ガラスを、実例と豊富なデータで分かりやすくご紹介しています。

ご希望の方は、樹脂サッシ普及促進委員会のホームページの資料請求ページよりお申し込み下さい。(お1人様1部とさせて頂きます。)
ご意見・ご感想欄に『「快適窓学(データ編)」第4編希望』と明記下さい。

ホームページはこちらからご覧頂けます。
http://www.jmado.jp/
編集後記
 春たけなわになりましたね。H2も今年は四国と東京で2週連続、お花見を兼ねて高校のクラスメイトと盃を交わして歓談しました。そのせいか、高校時代の楽しかったことや悔しかったことなどが折に触れて想い出されて、懐かしんでいます。高知の山に昆虫採集に行って生まれて始めてウスバシロチョウを採った時の感激、運動会でスクェアダンスを踊って興奮したこと・・・、いやあ、昔は良かった!

 なんて浸ってたら、最近の新聞でちょっと気になる記事がありました。脳梗塞になる予兆の一つとして、「やたらに昔のことを思い出す」という現象があるのだそうです。脳の血管が軽度に閉塞する結果、普段は使わない神経ルートが反応するようになって、忘れていた過去の記憶が蘇えるのだ、とか。

 ちょっと待って?ひょっとしてH2のこの状態は脳梗塞の予兆か?ぶるぶる、おお、怖い怖い。
今夜は少しアルコールを控えましょう!(H2記)

先週の編集後記についての読者からのお便り・・・[編集後記後]

クラス会…良いですね。十数年前に、級友同士が結婚した時の、結婚式の二次会が俄かに「クラス会」となってしまった事がありました。お祝いムードはどこへやら、知っている顔を見つけては懐かしい話に夢中になっていました。もう、ひと昔前になります。皆どうしているでしょう。…(匿名希望様)

先週の編集後記をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。
https://www.vec.gr.jp/mag/075/index.html#kouki

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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