NEW VEC MAGAZINE Vol.07
発行年月日:2003/7/31



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コラム
「休日雑感」
塩ビ工業・環境協会 阪内 孚史
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コラム
休日雑感
塩ビ工業・環境協会 阪内 孚史
 六月後半の休日、久しぶりに上野公園を散歩した。梅雨の中休みとも言える日照りで、住まいの新宿区から歩いて上野公園の入り口に着いた頃には大汗をかいていた。木陰を求めて少し樹木の群に足を向けると、五條天神の鳥居がみえ、その中に入っていった。腰掛ける所もなかったが、本殿脇の石に腰を下ろして休みんでいると、そっちは森である方向から人がやって来た。何かありそうで、腰をあげてその小道へ行くと、いきなり石段があらわれ、その向こうには小さな赤鳥居が続いていた。地図にも出ていない小さな花園稲荷だった。石段の上がり口近くの鳥居群はかなり古い鳥居の様で、表の塗装が荒れて下地の木が見えていた。ほんの十段も上ると、今度は最近作った様子の鮮やかな朱色の鳥居群が出現した。見ると、平成五年の文字が黒々と記してある。へぇー、もう作ってから十年近く経つのに…と思ってその鳥居の表面を触るとすべすべと滑らかで、さっきの木の鳥居とは大違いである。ティッシュ・ペーパーで表面の埃を拭き取ると、まさに新品同様の朱色の地肌が見えた。如何に木陰に有るとは言え、十年も経ってこの様子である。叩いてみて確信出来た。聞き慣れたプラスチックの音がする。ああ、これが話に聞いていた塩ビ製の鳥居なんだ。普段から「塩ビは耐久性があります」などと喋っているけど、まさに体感したわけで、百聞は一見・一触にしかずと思った次第。上野の森に行かれた時にはどうぞお訪ねになって、その耐久性を誉めてやって頂きたいと思った次第です。

 その翌週の休日は読書と決め込んだ。何かの対談記事で気にかかっていたロンボルグ氏著の「環境危機をあおってはいけない—地球環境のホントの実態—」を買い込み、700ページ近い大作を読み始めた。著者のロンボルグ氏は統計学の専門家で、かってグリーンピースの支持者であった当時、環境団体が主張する環境保護論を誤りであると反論する連中の論拠をうち破ろうとして検証したところ、反論する彼らが正しくて自分たちの主張が誤っていることに気づき、本書を著すに至ったという。

 大部の本であったので、到底一日では読み切れなかったが、豊富なデータを納得性のある因子を組み合わせて統計的に解析し、環境論者達が主張してきたことが如何に誤りだったか、彼らが常用する論には定性的な予断とレトリックとが満ち満ちていて、真の姿が歪められていることが述べられている。そして、それらが悪い情報を好んで報道するメディアの姿勢もあって、人々の間で何時しか定番話として無批判に信じ込まれている姿を指摘している。思わず、昨今の塩ビ報道、環境ホルモン報道、ダイオキシン報道を想起してしまった。まさに危機をあおる集中豪雨的な報道があり、その後に科学的事実が明らかになっても、あれは間違いだったなどとは殆ど報じて貰っていない。

 「化学物質がこわい」と題する第22章には、農薬を取り上げ、化学物質によって大幅に増加したとされたガンの発生が実は単なる高齢化や診断技術の進歩によるものであるうえに決して増加したと言い切ることなど出来ないと看破している。更に、合成卵胞ホルモンとの名前で、いわゆる環境ホルモンをとり上げて環境論者達が再び誤った命題を叫んでいることを示している。

 本書も既に5年前の著作である。最近の新しい情報も加味すると、同氏の主張が必ずしも完璧に正しいとは思わないが、根拠薄弱で断片的な情報を一般化して危機をあおる論調と比べると、遙かに信頼するに足りるものだと思う。
 いわゆる定番話に対する検証の取り組みがなまじっかのものでは無いことは、引用文献リストが155ページにも及び、1ページに12文献と見て1,800文献にもなる。ため息を吐きたくなる様な努力に尊敬の念を禁じ得ない。

 全体としてこの著作は事実とは違う環境神話が作り上げられている現状を批判し、誤った認識を検証して正しい判断をするにはどうアプローチすれば良いかを示唆している。しかも、食料不足・飢餓題、水、死亡率の変化、環境汚染、化学物質問題、資源の枯渇、温暖化……広範な環境側面について。本書に直接的に塩ビが取り上げられている訳では無いが、今後の我々業界の関係者には大いに参考になる。メルマガの読者の皆様にも是非お読みになるようお奨めしたい。この本は欧米では正反双方の大反響を呼んだそうで、環境論者・環境保護団体の説を鵜呑みに近い形で扱ってこられた報道関係者の方々にも是非実際に読まれるようお奨めしたい。

生活バンク・FPの部屋

ファイナンシャルプランナ−(略FP)、長谷部和子
なんとなく不安・その2
今回は「リバ−スモ−ゲ−ジ」についてです。

言葉は何となく聞いたことが有るという方も、中身はどうでしょうか。

通常の住宅融資は、契約時に一括して融資を受け、契約期間中に元利合計を分割返済する仕組みなのに対して、「リバ−スモ−ゲ−ジ」は住宅に住みながらその住宅などの資産を担保に、老後の生活資金の融資を受け死後その資産を売却して、その返済に充てる仕組みです。

2003年3月7日・厚生労働省の要綱がまとまりました。
土地評価額の70%限度、月額30万円以内を長期生活資金として現行の
「生活福祉資金貸付制度」の一部門として創設されます。
利用できる条件
(1)65歳以上
(2)市町村民税が非課税の低所得層
(3)土地建物を単独で所有
(4)賃借件、抵当権が設定されていない事(マンションは対象外)
都道府県の社会福祉協議会を通して実施。

この制度の利点
親側から・・
子供や親族はいるが同居したくない、或いは同居したくても出来ないなどの場合。
自分の財産で、親族に世話にならず現在の住環境のまま生活できる。
子供側から・・
親が自分の財産の範囲で長年暮らした地域社会を離れず、子供に金銭的にも迷惑を掛けない生活を続けるのであれば、双方共に楽しく暮らせるので死後の財産は無くて良いと考える。

いままでも、都内各区や他の自治体が独自に実施してきたものを、正式に法案化した事は、今後の少子高齢化社会をふまえた時宜を得たものといえます。

★ 現在マンションは不可となっていますが、大都会ではマンション住まいが当たり前の時代となっているので、この制度が定着しだせば、自治体によっては順次運用を柔軟にすることも考えられます。

読者便り
Q: Aさん(半導体装置メーカー)
半導体装置メーカーのものですが、半導体洗浄装置のハウジングに、UPVCからできた硬質塩ビ板が適していると聞きましたが。
A: 遅くなりましたが塩ビプレートメーカーから以下の回答が寄せられましたのでご連絡します。

UPVCとは一般には無可塑塩ビを指しています。可塑剤が入っていない塩ビ製品、即ち硬質塩ビが多いのですが、軟質塩ビと類似させたタイプもあります。

硬質塩ビ板を使用するメリットとしては,
(1)加工性(溶接・接着・曲げ)が簡単に 出来る事
(2)コストがフッ素系樹脂に比べると、1/7〜1/10に抑える事が出来る。
(3)透明性グレードは視認性が良好である
などが挙げられます。
これ等の点から、透明な硬質塩ビ板は 視界の確保が必要な制電クリーンルームなどには最適の用途です。

デメリットとして、直接純水に触れる場合ですが、一般のUPVC製品は製造時に微量の金属安定剤(Sn or Pb)を使用しており、微量な金属溶出の影響があります。

そこで、ご質問の半導体分野には、「無金属プレート」が各社で開発されています。
これは金属系安定剤を一切使用せず、加工性・透明性・耐薬品性を一般PVCとほぼ同等にし 、石英やフッ素系の板の代替として採用されております。
 耐熱温度60℃まで の用途において、各大学、研究機関の検査ウェハ治具や処理槽の実績が10年以上あります。

Q: Tさん(高校2年生、O市)
夏休み中を使って体育祭の大道具、小道具に塩ビパイプと塩ビ板を使用したいのですが、環境に悪いという理由で使用を禁止されてしまいました・・・。
でも、私達が作りたい物は塩ビパイプと塩ビ板がどうしても必要なんです!!
そこで高校生にもできる塩ビのリサイクル方法はないのでしょうか?ホントに切実です。是非教えて下さい!
A: 体育祭の仮装材料に塩ビパイプや硬質塩ビ板を検討いただいて有難うございます。
ご家庭や学校での再使用による節約、省資源が第一ですが、再使用できないほど汚れたり使い道がなければ、確かにそのあとにリサイクルですね。塩ビもパイプや電線被覆、ビニールハウスなどの分野ではリサイクルされています。

●塩ビパイプの場合
 O市の近くにT産業(株)というリサイクラーさんがあります。ここへ持ち込みますと買い取ってくれます。これは「塩化ビニル管・継手協会」が行っている全国的なリサイクルシステムで、もう一度塩ビ管に戻しています。もし運送の算段が問題でしたらVECへご相談ください。

●板の場合
まだシステムがありませんが、学校や家庭で使用する量であれば、自治体が行っている回収によるリサイクルで十分です。
 例えばOさんの学校はK市のようですが、集めたごみを焼却炉へまわし、ボイラーから熱を取り出し、これを発電のエネルギーとしていますね。
ですから、体育祭のごみとして出しても、最後はK市の電力として生まれ変わるわけですので、立派なリサイクルです。
これを私たちはサーマルリサイクル(Thermal Recycle)と言っています。ヨーロッパでも最近このリサイクルが見なおされはじめ、エネルギーを回収できるという意味でエネルギーリカバリー(Energy Recovery)と表現しています。
調べたところ、O市では全国の自治体と同様、高温燃焼型の焼却炉が設置されており、ダイオキシンの心配はありません。

●では皆さんが納得いただけるよう、また体育祭が成功しますようお祈りいたします。
難しい問題がおきましたら、塩ビとリサイクルの説明にも参れますので、またご相談ください。

お知らせ
展示会
「環境広場さっぽろ2003」
日時: 8月1日(金)〜3日(日)10:00-17:00
場所: アクセスサッポロ(札幌市白石区流通センター4丁目)
(地下鉄「大谷地駅」バスターミナル1番のりばから無料シャトルバス運行)
VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●プラスチック・サイディング http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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塩ビ工業・環境協会

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