NEW VEC MAGAZINE Vol.06
発行年月日:2003/6/26



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コラム
「環境徒然草」
倉敷市 牧野 哲哉
生活バンク・FPの部屋
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環境徒然草
地球温暖化防止の経済側面 −ある講演を聞いて−
倉敷市 牧野哲哉
 5/30、小泉首相は、サンクトペテグブルグでプーチン大統領と会談し、シベリアの石油パイプラインのルートについて話し合った。この話の裏には、シベリアの膨大な石油資源を巡る国際的な駆け引きがある事は、知る人ぞ知る話しの様である。嘗て、ロシアが経済崩壊した時、私の様に事情を知らない者には、内乱に近い混乱が起きるものと思っていた。しかし、多少の混乱は有ったにしろ、今やロシアは国際的にも極めて有利な立場にある様に思えてならない。そう思う根拠の一つは、ロシアの莫大な天然資源が、いよいよ西側の自由経済社会に開放される時がやって来たことにある。ロシアの経済立ち直りには十分過ぎる資金を提供してくれるだろう事は想像に難くない。石油だけ考えても、サウジを既に追い抜いたとされてなお、未開発、未発見の油田があると確信されている。遠い将来は別にして、一体、石油資源の枯渇は本当にあるのだろうか、とさえ思う。

 そんな思いを抱きつつ、地球温暖化防止、炭酸ガス排出削減の経済的側面について考える機会を持った。もとより筆者は経済には疎い。だからこそ、この話は面白かった。

 京都議定書のあらましはご承知だろう。正確には国連気候変動枠組条約議定書、実施に必要な細部も略整い、条約批准の手続きが進んでいる。米国に代表される一部先進国は脱退したものの、2003年3月には106カ国が批准・承認した。日本は昨年の6月に批准した。総排出量の55%以上の先進国が批准・承認すれば、この議定書は発効する。これには、ロシアが批准する必要があり、ここでもロシアの優位は紛れも無い。地球環境問題の中心的、最重要命題の帰趨をロシアが握っているのである。

 我が国は、1990年ベースで6%の排出削減の義務がある。にも拘らず、2000年で、逆に10.5%増えている。京都議定書が発効し、削減義務を果たすためには、2000年ベースで16.5%、1.8億トンのCO2排出を削減しなければならない計算になるそうである。これは途方もない数字である。日本の自助努力では達成できないことは明らかで、余裕のある国からCO2排出権を買うしか途はない。一方、ロシアは、ウクライナと合わせると、日本一国の全CO2排出量(12億トン強)に匹敵する莫大な排出権を持っているという。何故そうなったか、元々、CO2排出は多くなかった所へ、経済後退、何よりも軍需産業からの排出が激減したからである。即ち、ロシアは、地球環境問題を経済的に解決する道筋でも膨大な資産を持ち、しかも、「売り手」に有利な状況の中にいる、と言う事である。

 一方、EUの状況は、フランスは、元々70%が原子力発電であるし、イギリスは、財政難で困っていた手厚い炭鉱優遇政策を止め天然ガスへ切り替えれば済むことだし、ドイツは、東独の統一後の再計算とイギリスと同じ炭鉱優遇政策を天然ガスに切り替える事で、お釣りが出るほどで、ややもすれば排出権を売る側に回るかもしれないという。

 と言う事は、アメリカと日本が、結果的にそうなったとはいえ、ペテンに近い形で、極めて不利な商取引を押し付けられているのが地球温暖化防止の経済側面なのだと言う。いや、知らなかった。講演者は言う、アメリカが脱退するのは当然で、こんな不利な条約を蹴っても誰もとがめだてはしない。それを、馬鹿な日本は痩せ我慢しているのだと言う。COP3の時は、大木氏が環境大臣で、彼は大憤慨、何とかできないかと考えたが、もっと以前に、より責任のある立場の閣僚が、内諾を与えていて、どうにも出来なかった、のが真相との事。

 話はこれだけではない。先進各国のCO2排出削減にいくらのコストが掛かるか、既に、計算されて公表されていると言う。これは、経済見地から言えば、売り手市場である上に、更に、買い手が幾らで買うか公言しているのと同じ事。ロシアは、日本が最高値で買うと言うまでニヤニヤ笑ってれば金が転げ込むのである。しかも、日本が手にするものは排出権と言う不慣れな権利だけである。その日本のCO2削減(限界)コスト、幾らだと思います? 全世界平均の8倍強、約400ドル/Cトンである。あきれて二の句が言えぬとはこの事だ。先進国で取り沙汰され、始まろうとしている排出権取引の相場は30〜80ドル/Cトン程度とか。日本は国際相場の5倍の排出権を買わされるのである。その年間費用総額が1兆円、GDPの0.2%である。何だそれだけか、というなかれ、只でさえ財政赤字が拡大、増税は難しく、CO2排出削減対策は、厳しい経済抑制に作用する。相当の犠牲が伴う話に違いない。

 日本は、CO2排出削減対策では明らかに、出来ない約束、してはいけない約束をしてしまった。アメリカと同じ様に脱退すれば良かったのである。CO2排出削減対策を止めろと言うのではない、もっと公平な形の話にやり直せと言うことである。

 何故、日本のCO2排出削減コストがずば抜けて高いのか。私は、単純に、既にやれる省エネ対策をやり尽くしているからと考えていた。確かにそれもあるが、一般消費者の消費傾向にも重い責任があると知り、成る程と思った。ここで言う削減コストは限界コストである。判り易くするため電気料に置き換えて説明する。もし、そんなに電気料が高いのならクーラーは止めようと、消費者が思えば、電力の総需要が減ることになる。CO2排出削減対策は当然、コストの安いものから順次実施されて積み上がり、消費者が、そんなに高い電気料は払えないと思うバランス点が、国際相場の5倍、約400ドル/Cトンなのである。要するに、日本のエネルギー総需要の伸びに対するエネルギーコストの弾性値が高いのである。言い換えれば、少々電気代が高くついても夏のクーラーは止めない贅沢者と言うことなのである。だから、高いコストを払ってでもCO2削減対策をしなければならないことになる。これが、EUや東欧のどこかの国で節約を美徳とした所であれば、電気料が上がれば、直ぐに総需要が減り、CO2削減が低コストの内に完了してしまう事になる。なんと、日本のCO2削減コストが高いと言うことは、世界一の贅沢者と同義であったとは、いや恥ずかしいと思わず感じたが、個人レベルの話ではなくマクロ経済の話だから恥じることはない。

 今更、言ってもどうにもならないが、CO2削減目標値がもう少し小さければ、コストは急激に減少するはずである。3%程度が身の丈に合ったレベルとの事であった。

 良く、原子力発電に切り替えればCO2削減対策が出来そうだとの話があるが、これも絶望的だそうである。原子力発電も、地域住民との保証問題や安全対策、核廃棄物処理等でコストが嵩み、今以上の増設は無理だというのである。

 この話に抜け道は無いのだろうか。日本の省エネ技術は、現状ではずば抜けている。これを武器に有利な取引条件を引き出すことが肝要と言う。日本はどうも、自らの技術を安く評価しすぎる嫌いがある。僅かなプラント輸出の商談欲しさに、折角の省エネ技術を安売りするのは止めるべきだと思う。所が、省エネ技術は、「物の生産技術」の中に含まれてしまっていて、表に出ては居ない。省エネ技術のみを別売りする形にはなっていない。私は、別売りにすることが一つの解決策ではないかと考える。日本の物作りの技術は素晴らしいと思う。是非、オールインワンにせず、旨く、切り売りする事を考えてはと思う。世界は、まだ、日本で言えば大正か昭和初期のレベルと言う。例えば、アメリカの高炉でさえ高炉ガス利用設備が付いているものは少ないと言うし、どこかの国のパイプラインの漏れは相当なものと言う。そんな、日本で言えば当たり前の技術が、温暖化防止で「金になる」時代になりつつあるのである。元気を出そうではないか。

生活バンク・FPの部屋

ファイナンシャルプランナ−(略FP)、長谷部和子
何となく「不安」この空気を変えよう!

貴方はそろそろ、リタイヤメントプランが必要な年齢ですか?
夫婦二人で現在何となく不安〜
○ 家はあるが貯えがあまり無い
○ 子供は居るが一緒に生活していない 等々

貴方は、将来売れるかもしれない空中権をお持ちですヨ
『空中権・売買』(建築基準法・連担契約設計制度)
● 余っている容積が、売買出来ます
○ 全国何処ででも、この制度は利用できます。
○ ビルやマンション建設の場合にエンピツビル乱立防止のための制度。
○ 自治体等は公園の周囲でビル建設される場合、公園上の容積をビル建設者に売って環境保全や緑地維持の資金として活用できる。

要件
(1) 地役権の設定が必要(登記簿謄本に載る)
(2) 子供や相続人の了解が必要
(3) 自分の敷地と隣に敷地を合わせて500m2以上ある


隣(前・後・右・左)がビルやマンションを建築する時、余っている容積分を売買できる。
現在の住居が2階建てや3階建て(本当は5階まで建てられる場合)
3階建ての場合は2階分が余っている。

価格
(1) 一般的には路線価格を目安にその50〜60%位
(2) あくまでも買い手との交渉次第 (専門家に頼むとよい)

夜天井を見上げ、この空中は将来幾らで売れるか??などと思いながら寝てみてください。

読者便り
1. Q:S氏 (大阪 工事関係A社)
当社で塩ビのケースを販売しているのですが、プラマークのように塩ビケースを識別するようなマークがあるのでしょうか?
それと識別表示しなければいけないのでしょうか?

A:VEC
塩ビはPPやポリエチレンなどとともに容器包装リサイクル法で「その他のプラスチック」に分類されています。
貴社製品が以下の基準に入る容器包装であればその他プラのマークをつけることが義務付けられています。
しかし材料表示に義務はありません。
貴社製品の「塩ビケース」ですが、商品としてのケースであれば容器リサイクルの対象ではありません。

● 「容器包装」の4つの判断基準
(1)容器または包装であるもの
(2)商品を入れているものや商品を包んでいるもの
(3)中身の商品と分離した場合に不要となるもの
(4)社会通念上、容器包装であると概ね判断可能なもの
表示方法は、一定の方式に従うことが求められています。
下記アドレスに塩ビなどのプラスチックの各種マークが紹介されています。
http://www.jpif.gr.jp/2hello/conts/mark_c.htm

2. Q:K氏 (自治体関係者)
塩ビ管で使用される”ccvp管” ”pv管” ”HIVP管”は何の略語かを教えてください。

A 1.CCVP
(1)VPはinyl Pipe 、つまりビニルパイプの略です。
(2)CCは頭のCが「Community」「Communication」「Compact」を指し後のCがcable、つまり電線を指すようです。一般にCCBOX(電線共同溝)というように呼称されますように、通信線をグレーのPVC管に、電力線をオレンジのPVC管に収め、一定距離ごとにコンクリート製のBOXや溝に通します。
CCVPはそれぞれのPVC管を指しています。
これは国土交通省が中心の電線類地中化計画や地方自治体の独自の景観対策などに答えることから始まったシステムです。
架空設備輻輳化問題(架上条数の増加に伴い電柱の設計荷重をこえてしまう)が初期の課題のようですが、現在では平成7年3月制定の「電線共同溝の整備等に関する特別措置法」により、CCBOXの時代を迎えたようです。
(3)従ってCCVPは電線共同溝に使うPVC管という意味になるようです。
2.PV管
Pipe Vinyl の略です。一般的にはVP管(厚肉管)と表現します。
ちなみにVU管とは薄肉管を表します。
3.HIVP
耐衝撃性パイプの略です。(High Impact Vinyl Pipe)
水道用で使用されますが、外からの衝撃にさらされるような場所で使用されます。

お知らせ
展示会
・「新潟国際環境ビジネス交流展2003」開催中
 日時:6月26日(木)〜28日(土)
 場所:新潟コンベンションセンター「朱鷺メッセ」(新潟市)
セミナー
(1)セミナー及びプラスチック・サイディング施工家屋見学会(秋田)
日時: 7月10日(木) 13:00-17:00
場所: イヤタカ4階 しおんの間
〒010-0001 秋田県秋田市中通6-1-13 TEL 018-835-1188
講演: 「健康・快適幸せ空間の創造」−シックハウス対策を中心になど−
主催: プラスチック・サイディング懇話会
費用: 無料
申込み: プラスチック・サイディング懇話会事務局までお申込み下さい。
TEL 03-3506-7405
(2)シックハウス法対策緊急セミナー(鹿児島)
日時: 7月29日(火)13:00-17:00
場所: 鹿児島商工会議所ビル4F 「アイムホール」
鹿児島市東千石町1-38 TEL 099-227-1980
講演: 「シックハウス法で住宅のどこがどのように変わるのか」など
主催: 住まいづくり研究会(福岡大学 建築学科 須貝研究室)
テキスト代: 3000円
申込方法: 7/22日までに下記までFAXにてお申込み下さい
問合せ先: 福岡大学 建築学科 須貝研究室
TEL 092-871-2409 FAX 092-865-3109

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●プラスチック・サイディング http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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