NO.044
発行年月日:2005/08/25

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トピックス
◇塩ビ製品でも、エコマークを付けられます。
  エコマーク事務局、方針転換を最終決定

随想
社会現象としての「塩ビ離れ」
神戸市 宮本眞樹
お知らせ
編集後記

トピックス

◇塩ビ製品でも、エコマークを付けられます。

  エコマーク事務局、方針転換を最終決定

 (財)日本環境協会のエコマーク事務局が運営管理している、エコマークについてはご存知のことと思います。身の回りの商品の中で、ライフサイクル全体を通じて環境負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられるマークで、現在40を越える商品類型について認定基準が決められています。

 この商品類型の一つに、「再生材料を使用したプラスチック製品」という類型がありますが、これまでの認定基準には、「廃棄時に主として一般廃棄物となる商品については、ハロゲン系の元素を含むポリマー種を使用(表面コーティングなどを含む)した製品は対象範囲外とする」という、私たちから言えば誠に不合理な条項が入っていました。

 1年程前からこの基準の見直しが始まり、私たちはこの1年間、(財)日本環境協会のエコマーク事務局に対し、塩ビに関する最新かつ正確な情報を提供し、塩ビに対する誤解と偏見を解いてもらうべく働きかけを続けてきました。
 このあたりの経緯は、本誌でも過去数回取り上げたことがありますが、紆余曲折を経て、最終的に決定された新基準が、8月1日に公表されました。新基準は、表題も「プラスチック製品」という新名称になり、上記の塩ビに対する制限条項はなくなり、廃棄時に一般廃棄物となる塩ビ製品であっても、その他の条件を満たせばエコマークの認定を受けることが可能になりました。
 エコマーク事務局も、塩ビに対する方針を転換し、科学的事実に基く判断に近づいたのです。

 このように変更した理由については、新基準と同時に公表された、「解説」の中で詳細に記述されています。
 従来この条件は、「廃棄時に焼却処理や再生燃料として利用する場合、処理工程および環境への負荷増加がないように」との理由で設定されたものです(現行基準の解説より)。
 一方、新基準の解説では、廃棄物焼却炉から排出されるダイオキシン類の量は激減していることおよび、ダイオキシン発生源は塩ビ系に限定されるものではないので、焼却処理される塩ビの量を減らしてもダイオキシン類の排出量削減には結びつかないことがコメントされています。
 さらに、塩ビ製品のマテリアルリサイクル率は他プラスチック製品と比べて高いこと、かつLCA的にもリサイクル製品は環境負荷が少ないことも述べられています。
 こういったことから、「廃プラスチックを再利用しやすくするという観点と、リサイクルへの取り組みが進んでいるというポリ塩化ビニルの特性を考慮し、本商品類型では、一般廃棄物になることの多い製品であっても、使用済み製品の回収やリサイクルを行う一定の取り組みが行われている製品については、認定していく方向とした。」と結論付けています。

 この新基準は、9月1日に正式に制定されます。私たちにとって、内容的にはまだまだ不満足な点がありますが、「一廃塩ビは門前払い」の状態は回避できたこと、その理由としてダイオキシン問題の誤解が解け、またリサイクルの実績が評価されたこと、などは塩ビにとって大きな成果です。

 これを契機に、同じようなケースを抱えている他の商品類型についても、早急に改訂を進めるべく働きかけます。また、この例のようにいわれなき偏見が解消され、塩ビに対する世間の認識が大きく変化してきていることを、広く社会にアピールする活動を続けようと考えています。

■随想

社会現象としての「塩ビ離れ」

神戸市 宮本眞樹
 去る6月18〜19日に神戸大学で、化学史学会の年会(研究発表会)が開催されました。そのプログラムの一つとして、「20世紀の日本の化学技術−21世紀が見えてくる−生活環境と化学技術」と題した小シンポジウムが持たれました。その中で筆者は、「日本の塩ビ樹脂工業の歴史と環境技術」と題して小講演(発題)を行いました。内容は、草創期からの塩ビ樹脂製造技術発展の歴史に、塩ビの環境問題の現状を加えたものです。

 塩ビの環境問題については、ダイオキシン問題、フタール酸エステル問題など、これまでに提起された様々な問題も、現在では、科学的・技術的にはその殆どが解決しているにも拘わらず、依然として「塩ビ離れ」が尾を引いているとの現状認識を示した上で、この「塩ビ離れ」の現象は日本だけの特異な現象であり、科学的・技術的に正しい知識や情報に基づくものではないと言う意味で、一つの「社会現象」として捉えるとの見解を提示しました。時間的制約もあって、この見解に充分の理解が得られたかどうかは疑問ですが、少なくとも一部からは共感が得られたのではないかと思っています。しかし一方で、質疑応答からはこの「社会現象」の根深さも感じられました。

 この「社会現象」は、単に一般の消費者段階での根拠のない「塩ビ離れ」「塩ビ忌避」だけに止まらず、ユーザー業界や、更には塩ビ業界自身にまで、様々な類似の「社会現象」を派生させ、小さからぬ拡がりを見せているように思います。
 例えば、ユーザー業界の一部には、「塩ビ離れ」を演出することによって、消費者に自らの姿勢をアピールするというような「現象」が見られます。
 塩ビ業界自体について気になることは、業界自身が「塩ビ」を名乗ることに消極的になっているような「現象」が見えることです。「プラスチックサッシ」「樹脂サイジング材」などの名称です。もっと堂々と「塩ビサッシ」「塩ビサイジング材」と名乗れないものだろうか。
筆者には、これも「塩ビ忌避」現象から派生した「社会現象」に他ならないように思えます。
 こんなことを言うと、「塩ビサッシやサイジング材普及への苦労も知らないで・・・・」との批判も受けそうですが、一考してみてもよいことではないでしょうか。
 また「塩ビ離れ」の実態についても、より詳細な検証が必要ではないでしょうか。小シンポジウムでも触れましたが、いわゆる「塩ビ離れ」は容器・包装分野と日用雑貨などの分野で顕著であり、耐久消費材や生産材の分野では軽微です。このことは、この「塩ビ離れ」現象は素材間競争の側面を無視することは出来ないことを意味していると思われます。もちろん「塩ビ離れ」現象が素材間競争に大きな影響を与えていることは間違いないでしょうが、長い目でみれば、必然的帰結である部分もかなりあるのではないでしょうか。

 何れにしても、いわゆる「塩ビ離れ」が、どのような分野でどの程度起こっているのか、諸外国の状況との比較も含めて、キチンと分析しておくことが、業界の「塩ビ離れ」対策にも重要であるし、産業史、技術史のテーマとしても興味あるテーマであると思われます。

お知らせ
【NEW】 クリーンエネルギーフェスタin松江 出展報告
展示コーナー風景
新エネルギークイズDJ風景
 明治の文豪・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)がこよなく愛した松江。
その松江のくにびきメッセ大展示場において、8月6日(土)〜7日(日)、中国経済産業局・島根県・松江市・(財)新エネルギー財団主催の「新エネ・フロンティア21クリーンエネルギーフェスタin松江」が開催されました。
 樹脂サッシ普及促進委員会は、樹脂サッシを体で体験するサウンドシュミレーションBOXや、高い断熱性が手で確認できる試験BOX、各種の窓のカットサンプルなどの紹介・展示を行いました。
 このフェスタの開催趣旨は、新エネルギー全般及びクリーンエネルギー自動車への理解を深め、導入促進を図るためとされており、市民が楽しんで学べる「新エネルギーミュージカル」や「新エネルギークイズDJ」、「世界名作劇場・新エネ立体絵本ランド」、「クリーンエネ自動車の試乗会」など興味をひくイベントが多数用意されました。
 樹脂サッシ普及促進委員会の展示コーナーにも夏休みのせいか、多数の親子連れ(厳密には小学生が多かった)が立ち寄られ、樹脂サッシの高性能を、五感ならぬ耳(音)と手(熱)で体験しました。説明に当たったメンバーも汗だくでした。
 この好奇心旺盛な小学生達も、やがて20数年後に立派なパパとママになり、樹脂サッシの未来客になるであろうと、大いに期待したいところです。
なお主催者の公式発表では、7,500人の方々のご来場があり、地方のイベントとしてはまずまずの盛況でした。

(樹脂サッシ普及促進委員会 広報担当 齋藤彰彦)


8月1日(月)より、樹脂サイディング普及促進委員会、樹脂サッシ普及促進委員会のホームページがリニューアルされました。
樹脂サイディング普及促進委員会
http://www.psiding.jp/
「日本の自然環境に最適な外装材」をテーマに、施工業者さんだけでなく、一般の方にも分かり易い内容に致しました。お気軽に、ご覧下さい。

樹脂サッシ普及促進委員会
http://www.jmado.jp/
イントロ部分に地球環境問題を取上げて、リニューアル致しました。
環境にやさしい「樹脂サッシ」をできるだけ多くの方に知って頂きたいと思っています。


日経住まいのリフォーム博2005(第1回)出展案内
開催日時 2005年9月15日(木)〜18日(日)

10:00〜17:00(最終日のみ16:00まで)

開催場所 東京ビッグサイト(西1・2ホール)
入場無料

主  催  日本経済新聞社

樹脂サッシ普及促進委員会、樹脂サイディング普及促進委員会にて出展致します。
9月15日(木)14:00〜14:20 会場ステージにて樹脂サッシ普及促進委員会で、内窓樹脂サッシの取付実演を致します(無料)。是非、ご来場下さい。

編集後記

 お盆休み、如何でしたか?東北地方へ帰省して宮城の地震に遭った方、四国へ帰省して水不足で困った方も居られたことでしょうね。
 H2はお墓参りを春のお彼岸に済ませたので、今年のお盆は東京で、寝正月ならぬ、寝盆。テニスと昼風呂とビールと昼寝。こういうお盆もこれでまた、いいものでした。
 お墓参りといえば、H2の両親のお墓は四国にありますが、四男のH2はその両親のお墓に入るわけにも行かず、無信仰ゆえお寺や教会に縁がある訳でもなし、今の地元の墓地の募集に応募するのも気が進まず、困っておりまする。未だなかなかそのタイミングには非ずと言えども、何時かは必ずその日が来る、どうする?どうする?と、家人と禅問答。人並みに墓地探しをするか、と思ってみたり、樹木葬とか、散骨葬とかが最近話題になっているようで、ちょっぴり検討してみるか、と思ったりもする、今年のお盆でありました。

(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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◆編集責任者 事務局長  原田 浩

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