NO.041
発行年月日:2005/07/28

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トピックス
◇鉛は危険な物質か?
  水道管とRoHS規制、並べてみると、どうもおかしい?

随想
罪作りな炭造り
日本ビニル工業会 専務理事 山本 達雄
お知らせ
編集後記

トピックス

◇鉛は危険な物質か?

  水道管とRoHS規制、並べてみると、どうもおかしい?

 7月初めの新聞報道によると、日本全国4,500万世帯のうち10%以上の500万世帯で、未だに鉛製の水道管が使用されており、総延長で約14,000km分も鉛製水道管が残っている、のだそうです。驚きました。

 ご存知のとおり、昔使われていた鉛製水道管は、人体に有害な鉛が水道水に溶け出すとして問題になり、ステンレス管や塩ビ管に変わってしまったと思っていたのですが・・・。
 そういえば数年前、東京は世田谷に住む知人が、「俺んちはまだ水道管の一部が鉛管で、区役所から、毎朝水をバケツ1杯分ぐらい捨ててから使って下さいって言われてんだ」と話しているのを聞いて、びっくりしたことを思い出しました。もっともそのお宅はその後改築され、全ラインを塩ビ管に替えたそうです。
 この新聞記事によると、残された14,000kmの鉛管は、水道事業者である市区町村が非鉛管に交換することになっているものの、鉛管の所有者が市区町村でないケースが多い上に、交換に必要な財源も不足しており、現状では交換完了まで20〜30年かかるのだそうで、これを厚生労働省は「5年で半減、早期にゼロに」を目標に対策を進める、とのこと。

 この話題を巡っては、厚労省や市区町村の対応についてなど、言いたいことはいろいろありますが、今日はそれはさておき。鉛って、日本人の1割以上が毎日微量なりとも飲んでいて、それでもダイジョブなんだな、というのが庶民的感想の一つ。最も、鉛管は内表面がすぐ酸化されるから鉛が簡単に水中に溶け出すことはないし、水道水中の鉛については厳しい水質基準があり、基準を超えると「水道事業者が個別に対策を取る」ことになっているらしいから、心配ない。(と安心できるか?)

 また、鉛といえば思い出すのは子供の頃、魚釣りのときに重りとして使ったやつ。別名、「カミツブシ」とも言い、鉛にテグスを通してから歯でかみつぶして使った。あれって、ひょっとして鉛の一部は唾といっしょに飲み込んだかもしれないけれど、身体に悪かったんでしょうか。

 一方、今EUで法制化が進んでいる、いわゆるRoHS規制では、電子・電気機器に含まれる6種類の化学物質を、原則禁止するということで、その6種類の化学物質のなかに、水銀や6価クロムやカドミウムと並んで鉛及びその化合物がリストアップされています。EUのことだから、最先進の研究結果に基づく充分なリスクアセスメントの結果、たとえ電子・電気機器といえども鉛が入っていれば「人体に危険」と分かったので禁止するのでしょうけど(!)、どうも上述の庶民感覚ではピンとこないところがありますね。

 このRoHS規制の影響を受ける素材の一つがご存知塩ビ。電子・電気機器のいわば動脈である配電線は、そのすぐれた電気絶縁性を買われて通常は塩ビで被覆されていますが、電線被覆用塩ビの安定剤としては鉛系のものが最適であり、常用されていました。それが、このRoHS規制などの影響で配合変更を余儀なくされ、非鉛配合に変わりつつあるものの、現状の総合評価としてはやはり鉛系安定剤のほうが優れているようです。

 少しでも人体に有害なものは使うまい、禁止しよう、というのはある意味では正解ですが、この考えを突き詰めると、10ヶ月ほど前の本誌で紹介した、「ゼロリスクが目標の安全ボケ社会」の図になりかねません(EKMM3−3号、2004年10月14日発信)。国内外や規模の大きさを問わず、どの程度のリスクがあり、他方でどの程度のメリットがあるのかを充分吟味し、かつ関係者間の十分な議論を経てから政策を決定し、推進する。これが大事なことだと考えるのですが。

 最後に、全く論理一貫しませんが、蛇足を一つ。14,000kmの鉛管を、全部塩ビ管に交換したら、どのくらいの塩ビ量になるか。関係者に聞いて、驚きました(今日はよく驚く日です)。20mm管として計算すると、4,340トンだそうです。多いとみるか、少ないとみるか。

■随想

罪作りな炭造り

日本ビニル工業会 専務理事 山本 達雄

 小生が入っている「自然と共に生きる会」での話です。
 「自然と共に生きる会」は、今から24年ほど前に自然との共生をテーマに設立されました。海抜0mの田子の浦海岸から歩き始めてテントに2泊して海抜3776mの富士山頂を目指すウォーキングや、地質観察、植物観察、野鳥観察、キノコ観察、山歩きなどのサークル活動と共に、極めてユニークな活動をしているのが自然生活グループです。

小瀬戸庵(右端が炭窯設置場所)
 自然生活グループは、寒中水泳や雪山体験などの行事もしますが、その主なる活動拠点は、JR武蔵五日市駅からバスで30分程奥に入った、停留所から少しばかり登った山の中腹にある山小屋(小瀬戸庵)です。
 その小瀬戸庵は周辺の間伐材を利用し組上げ、屋根は茅葺きで、その中央には囲炉裏がどっしり座っています。屋根を葺く時には村の古老に茅葺きの方法を伝授してもらいましたが、自然生活サークルの行事活動の一環として、全て会員が手作りで仕上げたものです。また、その小瀬戸庵でわら細工、竹細工、草木染、燻製作り、山菜料理教室などを開催しています。

 その小瀬戸庵の脇に炭窯を作り炭焼きを初めて5年になります。今年の5月には、この窯では2度目の竹炭作りをすることになりました。
 ところで、炭焼きは準備が大変なのです。竹材は、2月に八王子の竹やぶで直径15cmから20cmほどの孟宗竹を切出し、枝を落とし2m長さに切りそろえ、100本ほどを小瀬戸庵のある山裾まで運搬。
 4月には、そこから、各自2本ずつ小脇に抱えて300mほど先の小瀬戸庵まで持ち上げるのだが、水気を含んで結構重い。一人がバランスを崩して崖から落ちかけたが、幸いなことにたまたま茂っていた笹薮に引っかかってセーフ。
 持ち上げた竹は、さらに1m長さに切りそろえ、それを縦に8つ切りする。できた竹材の半量を今回の炭焼き用として釜に詰め、準備完了。

 そして5月3日が炭焼き行事開始日だが、実際には炭焼きの中心メンバーは、2〜3日前から小瀬戸庵に入り、窯の焚口で火を燃やして、窯に詰め込んでいた竹材の乾燥作業を開始し、3日早朝に本格的に火を入れた。3日午前5時上木への点火作業開始、4日午後5時給気口閉鎖、同5時30分排煙口も閉じて炭焼終了。ホッとして、解散。

炭出し風景(以前の成功時)
 ところが、この焼いた竹炭の窯出しを連休明けに行ったが、結果は、これまでの炭焼きの時とは異なり、全くの失敗とのことでした。数日が経過した後でも、十分に消火しておらず、窯は熱を帯び、窯口を開けると再び燃え出す状態だったとのことで、収量は殆んど無かったそうです。残念!!
 どうやら、炭窯が古くなり窯の壁面にひび割れが出来たためと思われます。
 それにしても、それまでの労力が無駄になり、また成果物への期待が高かっただけに罪作りな結果となってしまいました。

 以上は極端な例ではあるが、素人集団や、家庭でのコスト意識・省エネ意識はかなり乏しいといわざるを得ない。

 地球温暖化対策で、日本は京都議定書により1990年から2012年までにCO2削減量を6%削減することを公約しているが、2003年度現在むしろ12%強増加しており、目標年までに18%もの削減が必要な状況になっている。
 そのため一部では、環境税の導入が話題になっていますが、その課税対象物の石油類を見ると、今回の原油値上げによるガソリン価格の高騰にもかかわらず、その消費量はほとんど変わっていない。石油連盟の統計で見ると、ガソリン価格が105円/l当時の平成14年、15年のガソリン消費量は年間5,790万kl、5,846万klであるのに対し、110円台から120円台までにも高騰した16年の消費量も5,829万klと消費傾向に変化が見られなかった。その例から考えても、環境税の付加により、消費者の意識が変わるとは思われない。

 それではどうすべきか。日本人の意識を大きく揺り動かす対策として考えられるのは、以前だいぶ議論され、いつの間にか立ち消えになった「サマータイム制(名称は過去の実施例を引用)」の再導入ではないだろうか。サマータイム制により意識をはっきりさせると同時に、「こまめに消灯対策」とか「無駄なエネルギー削減対策」などを併用させることにより、民生部門の努力も顕著になり、その住民パワーが、企業部門への省エネ圧力にもつながっていくのではないだろうか。

 ところで、冒頭に挙げた「0mからの富士山」行事は、今年は9月17日から19日までの会期で実施します。その他、「自然と共に生きる会」の行事にご興味のある方は
FAX03−3485−0277
にお問い合わせください。

お知らせ
勝ち組み工務店育成セミナー(山口セミナー)のご案内
 樹脂サイディング普及促進委員会で下記のセミナーに参加しています。
山口セミナー
日 時 8月23日(火)13:00〜17:30

場 所

ピピ510 M−2 ホール

主 催

住まいづくり研究会

参加費

無料

参加申込み締め切り

8月20日(土)
  (定員70名になり次第、締切らせて頂きます。)

※参加希望の方は下記までお問合わせ下さい
   住まいづくり研究会
   電 話:092(871)2409


しまねエネルギーフェスタ出展案内
開催日時 2005年8月6日(土)、7日(日)

午前10時〜午後5時、入場無料

開催場所 くにびきメッセ

主  催  しまねエネルギーフェスタ実行委員会

目  的 「新エネ・省エネ等の総合的なエネルギーの理解促進のため、親子並びに青少年を対象に、展示物、体験学習を通してエネルギー全般に対する理解を深めるとともに意識高揚を図る。」

・樹脂サッシ普及促進委員会にて、協力・出展致します。


塩ビ工業・環境協会ホームページのトピックスを更新いたしました。
詳細は以下よりご覧ください
https://www.vec.gr.jp/topics/index.html
編集後記

 梅雨も明け、台風も来る、夏が来る。暑いですねえ。暑さしのぎに川柳三昧と行きますか。今日の話題は「クールビズ」。

「涼しいと、思い思わせ、クールビズ」:ノーネクタイ、ノー上着は涼しいけれど、冷房温度の高い室内では正直「ノークール」でもあります。しかし、そこは男の子、辛抱して自他ともに、涼しい、涼しいと思いましょうや。

「札入れの、入れ場に困る、クールビズ」:ノー上着では、財布をどこにしまうかが一苦労。ズボンのポケットでは上にはみ出すし、わざわざウエストポーチを買うのもどうかと思うし・・・。世間ではクールビズ用と称して、左右両側にポケットのついたシャツも売り出されたようですがネエ。

「ノーネクタイ、秋になっても、続けたい」:しかしなんといっても、ノーネクタイはラクチンでよろしい。涼しい秋になっても、この部分だけでも続けたいね。ほんのちょっぴりでも、温暖化防止に役立たないかしら?

(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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