NO.037
発行年月日:2005/06/30

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トピックス
◇樹脂サッシ使って、冬暖かく、夏涼しい、高断熱・高気密住宅へ
  NEDOの補助金事業、本年度の申込締切迫る

随想
「塩ビ製の横笛とその後の塩ビ関連ビジネスの展開」
塩ビ工業・環境協会 専務理事 西出徹雄
お知らせ
編集後記

トピックス

◇樹脂サッシ使って、冬暖かく、夏涼しい、高断熱・高気密住宅へ

NEDOの補助金事業、本年度の申込締切迫る

 京都議定書が発効して、2010年頃までに1990年度比6%の温暖化ガス排出削減を義務付けられた日本。既に2003年度には1990年度比8.3%も排出が増えてしまったとあって、現状からでは実に14.3%もの排出削減を実現せねばならなくなり、その対策に大童です。

 温暖化ガスの排出は、産業部門、運輸部門、家庭部門および業務部門と分けて管理する仕組になっており、それぞれの部門ごとに削減策を考えて、政策を実行に移しています。
 家庭部門の削減策の一つが、「住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業」と名づけられ、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が主催する支援事業。その一部に、「住宅をリフォームする際に、複層ガラス・樹脂サッシシステムをつければ、工事費の1/3をNEDOが補助金として支給する」という制度があります。

 この制度は数年前から始まっており、昨年度は全国から応募した763件のうち669件が採用され、合計6億円が支給されました。今年もNEDOの予算は昨年と同額の6億円。今年の申請は6月15日から7月20日までだそうで、既に申し込みが始まっています。

 そこで登場するのが、黒川数之さん(仮名)、34歳。某化学関係団体の総務部課長代理。一男一女の父。埼玉県のH市に住む彼は、5年前に、両親の敷地の一隅に念願のマイホームを新築した、羨ましいご身分なのですが、ただ一つの難点は「冬になると寒くてかなわん」ということ。それに「窓で結露もするし、小さな子供が窓際で遊んで結露した水を舐めたりしないかと心配で」というので、早い機会に改築を、と考えていたそうですが、上記の補助金の話を聞いて決断しました。

 早速、窓の施工業者と相談したところ、黒川邸の窓をこの複層ガラス・樹脂サッシシステムに改造しようとすれば、一階だけなら60万円、二階と合計すると130万円という見積もり。迷った挙句、今年は一階だけと決めました。「結果を見て、調子よければ来年二階も改築する」との構想です。
 すぐに申請手続き開始。改造する家屋の平面図や立面図を揃えるとともに、過去1年分の電気とガスの消費量の証明書を入手。それに既定の申請書を添えて、施工業者経由で先日、申請を完了しました。
今後は8月中旬に合否判定の抽選があり、結果は9月中旬に判明し、OKならば工事にかかって、来年2月末までに工事完了、3月末に補助金が入金される、という段取りのようです。
 抽選に当たれば、本来60万円かかる工事費が、せいぜい40万円で済む、しかも、冬暖かく夏涼しい、高断熱・高気密住宅に変わるのです。当然、電気代やガス代も、20%以上安くなる。羨ましい話ですねえ。

 このシステムも、サッシに使用するプラスチック、すなわち塩ビが存在するゆえに可能な話なのです。加工性と耐久性に優れ、この例のような異型押出加工では、塩ビ以外に適するプラスチックは先ず考えられません。塩ビはこのように、さまざまな分野で社会のお役に立っているのです。

 EKMMでは、この黒川邸のリフォーム計画の進展具合を、タイムリーにお知らせするつもりです。ご期待ください。

■随想

「塩ビ製の横笛とその後の塩ビ関連ビジネスの展開」

塩ビ工業・環境協会 専務理事 西出徹雄

 先週末、鳥取県の用瀬電機の若林一夫社長が当協会を訪ねてきてくださいました。以前このメールマガジンで塩ビ製の尺八を紹介したのをご覧になり、それとは全く別に独自に自ら塩ビ管に穴を空けて、横笛を作って吹いておられたそうで、それを持って来てくださったものです。

 金属や木製の笛とも違い、澄んで響きがよいと同時に独特の粘りのある音が出るということで、その昔、沢山失敗もしながら試作し、お祭りの時のお囃子などを吹いておられたそうです。
この日は、「しばらく吹いていないので口の形が出来ていないからよい音がでないだろうが」とおっしゃいながらも、昔吹いておられたお囃子と「コンドルは飛んでいく」を吹いてくださいました。
 うちの協会内でも塩ビの横笛の生演奏を聴いたことのある人はいないため、一同すっかり若林さんの演奏に聴き惚れてしまいました。20本余り手作りされたそうで、塩ビ以外の他の樹脂では、きれいに位置決めして音程を取れるように穴を空ける加工は難しいだろうとのことです。よくできた笛はみんな人にあげてしまい、これが最後に残った一本ということで、わざわざ鳥取からお持ちいただきました。
 若林さんのように、やはり魅力的な音が出ることを、尺八とは別に感じた人がおられて、それも何本も試作を重ねて音程の狂いのないように調整し、これほどまでの完成度にしておられたとは、実物を拝見して正直ビックリし、また感動を新たにしました。

 鳥取県八頭郡の用瀬町といってもご存じの方はほとんどおられないでしょうが、岡山県の津山から北東に鳥取まで続く因美線で鳥取の手前7つ目のJRの駅が用瀬(もちがせ)です。元々は松下電器の下請けでモーターの巻線を作る事業をされていましたが、いずれそうした事業は中国等に移すことになるだろうから早めに次の事業の柱を作る必要に迫られ新規事業開発に突き進んでいったそうです。
 ダイオキシン問題もささやかれ出した頃で、とりつきやすいボイラーの製作から始められましたが、売れ行きは芳しくなく、むしろダイオキシンを元から絶つダイオキシン抑制剤の開発に向かい、ドロマイトという無機の鉱物を原料に大阪で産学連携により開発に成功して、大阪府知事の表彰も受けられたそうです。
 このダイオキシン抑制剤は「デキシノン」という商品名で、予め塩ビに添加しておくと、ゴミとなって焼却した時にデキシノンが塩素を吸収してしまうのでダイオキシンが発生しないというもので、この分野の権威である同志社大学の平岡教授のところで厳格なテストを行い99%以上発生が抑制されることが証明されました。
 しかし、いかに効果が明らかになっても、デキシノンを添加すれば製品のコストは上がるわけで、コスト競争の厳しいこの時代に商品化、実用化するには大変苦労をされました。いまでも苦労は続いています。

 この技術の面白い点は、このダイオキシンを抑制しようとして開発した物質が、試験をしてみると抗菌性をもつことがわかり、更に日本でも大騒ぎをしたSARSや鳥インフルエンザのウイルスも試みにテストしてみると、それらも無害化する能力を持っていることが分かったことです。
その結果、事業としてはダイオキシン抑制効果をねらった用途開発は続けながらも、開発の重点は目下のところ抗菌性や抗ウイルス性対策のための商品化に移っているようです。
 実は、抗ウイルス性が確認、実証された陰には、地元の鳥取大学にトリのウイルスの専門家が見つかったことがあります。
 鳥取大学で抗ウイルス性について共同研究をしている農学部獣医学専攻の大槻公一教授(63)は、これまで学内でもその存在がほとんど知られていませんでしたが、SARS、鳥インフルエンザ問題で国内にはほとんど専門家が他におられないことから、文部科学省、農水省、問題の起こった各県の対策委員会の委員として引っぱりだこで(今回の茨城の問題でも新聞記事で名前をご覧いただけます)飛び回ることとなり、一躍、鳥取大学で最も有名な教授になられました。
 同時にこれだけの功績に、大槻先生の研究チームは本年4月「文部科学大臣表彰・科学技術賞」を受賞され、同学部に「鳥由来人獣共通感染症疫学研究センター(鳥インフルエンザ研究センター)」が新設され、大槻先生がセンター長に就任されました。
 日本の養鶏場で鳥インフルエンザが問題になる以前から、渡り鳥のハクチョウから病原となったH5型のウイルスを分離して研究を地道に続けてこられたことが、ここに来て一気に評価され見事に花開いたことは、大学での研究のあり方を考える上でも重要な実例ですし、大槻先生には、長年のご努力が定年前に素晴らしい評価を得られたことに、心からお祝いを申し上げたいと思います。
 鳥インフルエンザは日本国内では一瞬落ち着いた感もありますが、茨城県での問題発生を見るとまだまだ油断できません。中国、ベトナムなどでは人への感染を含め、問題はむしろ深刻化しているようにもみえます。現在、人への対応手段として頼りにされているのは専ら抗生物質ですが、若林さんの抗ウイルス剤の「バリエール」は無機化合物ですから、ウイルスの耐性の問題がない点で大いに期待されます。

 若林さんとのお付き合いの発端はダイオキシンと塩ビの議論からでしたが、技術の切り口、視点、評価により今やまったく思いも掛けない方向に展開中でもあることが、技術の面白さかと思います。現状がどこまで進んでいるかは次回にまたご紹介することにいたしますので、是非、お楽しみに。(ちなみに7月6日(水)18:30〜21:40に立教大学社会人大学院(ビジネスデザイン研究科)で講義をしていただきますので、ご興味のある方は「もぐりの聴講生」として田町駅前(芝浦口)東工大キャンパスイノベーションセンター4F(M143教室)へお越し下さい。

お知らせ
PVC Newsが6/14に発行されました。

PVC News 53号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されました。
詳細は下記からご覧頂けます。
購読を希望される方は、送付先などご連絡下さい。
http://www.pvc.or.jp/index/i_saisin.html

「塩ビ製品カタログ」が発行されました。
「塩ビ製品カタログ」(塩化ビニル環境対策協議会/塩ビ工業・環境協会編)が発行されました。
私達の日常生活のあらゆる場面に登場し、その豊かな生活の一端を担う塩ビ製品の主要なものをまとめた小冊子です。
ご希望の方は、下記URLよりご請求下さい。
https://www.vec.gr.jp/shiryo.htm

編集後記

 いやあ、暑いですねえ。ここのところ連日、30度を超える、真夏のような暑さが続きます。こう暑いと、例のクールビズも前半だけにしたいですね。前半、つまり、「ノーネクタイにノー上着、冷房温度の高め設定」てえやつの前半分だけのことですよ。えへへへ。

 ところで、暑さしのぎに、久しぶりにパズルといきましょう。分かるかな?
 東京メトロの駅をそれぞれ3つとって、下記のようにAグループとBグループに分けました。これらの駅をこのように分けた、共通の理由を当ててください。
 Aグループ:新橋、神保町、外苑前
 Bグループ:新宿、人形町、三越前

 なんですって?難しくって、かえって暑くなるじゃないかって?スミマセン

(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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