NO.026
発行年月日:2005/04/07

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トピックス
◇「エコマーク」の「エコ」は、「エコロジー」の「エコ」の筈
  −まさか、「えこひいき」の「エコ」じゃあないでしょうね−

随想
「錯覚」
倉敷市 牧野 哲哉
お知らせ
編集後記

トピックス

◇「エコマーク」の「エコ」は、「エコロジー」の「エコ」の筈

−まさか、「えこひいき」の「エコ」じゃあないでしょうね−

 EKMMの読者であれば殆どの方が、「エコマーク」という言葉を聞かれたことがあるでしょう。
 「私たちの身の回りにある商品の中で、生産から消費にわたるライフサイクル全体を通して、環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられるマーク」、と定義されるこの制度は、(財)日本環境協会の中にあるエコマーク事務局が運営管理しており、現在、40種類を超える商品類型について認定基準が定められています。

 さて、この商品類型の一つに、「再生材料を使用したプラスチック製品」というのがあります。つまり、プラスチックのリサイクル品を使った製品について、認定基準をクリアすれば、エコマークをつけて販売することができる、というものです。
 2001年5月に制定されたこの基準は、「廃棄時に主として一般廃棄物となる商品については、ハロゲン系の元素を含むポリマー種を使用した製品は対象範囲外とする」となっており、ダイオキシン問題の懸念から、塩ビ製品に対する差別的な扱いがされていました。
 当時私たちはこういった、偏見とも受け取れる基準に対し、関係者に対し様々な情報を提供し、差別をなくしていただく様働きかけたのですが、受け入れて貰えませんでした。

 これらの認定基準は、ほぼ5年を限度として、情勢に応じて見直し・改定するルールになっており、エコマーク事務局でのこの基準についての見直し作業が、昨年半ばから進められました。
 私たちは、この機会に、今度こそ、是非とも、塩ビに対する正確な情報に基づいた判断をしていただこうと、精力的に情報提供を行いました。
 5年前と比較すると、ダイオキシン問題に関する社会の認識は大きく変わりました。燃焼設備と燃焼条件が適切であれば、ダイオキシンの生成は事実上問題にならない程度であることが、理論的にも事実としても証明され、そのことが社会全体にほぼ完全に認知されたのです。

 情報提供の甲斐あって、というか、5年前とは大きく変化した社会の認識を踏まえてか、最近公表された改定基準案では、廃棄時に一般廃棄物となる塩ビ製品であっても、「使用済み製品の回収やリサイクルを行う一定の取組が行われている製品」については、認定していく方向が打ち出されました。
 塩ビに対する認識についても、「ダイオキシンの元凶」説は否定され、塩ビのマテリアルリサイクル率が高いこと、LCA的にも環境負荷が少ないことなどに言及されており、正確な認識をいただいたと考えられます。

 ただし、この改定基準案に問題がない訳ではありません。上記「回収やリサイクルの取組が行われている」ことの条件として、回収率およびリサイクル率の厳しい条件が、ハロゲン系についてのみ、現行基準に引き続き課せられる案になっています。なぜハロゲン系製品のみに厳しい条件が課せられ、それ以外のプラスチックには今回から課せられなくなるのか、理解に苦しむところです。
 「塩ビなら2回以上リサイクルすべし、その他のプラなら1回リサイクルしたら、後は燃やしても捨ててもよろしいよ」、と言っているようにも受け取れます。まさに「エコマーク」の「エコ」の意味を勘繰りたくもなりますよね。

 この認定基準案については、現在パブリックコメントの募集中であり、5月13日がその締め切りとされています。私たちも私たちの考えをコメントし、更なる改善をお願いする所存です。

随想

「錯覚」

倉敷市 牧野 哲哉


繁縷(はこべ)
春の七草の一つ
 物を買う時、財布の中身と相談し、高ければ欲しくても我慢し、安いと思えば買います。買うか買わないかは、その物の欲しさと財布の中身のバランスの問題です。

 昨年、アテネオリンピックが開催され、これを当て込んでフラット画面の大型テレビが売り出され、液晶とプラズマの熱い戦いがありました。結果は、高すぎて、どちらもあまり売れなかったようです。消費者は「大型フラット画面」に、差し当たり多額の金を払う気がなかったようです。メーカーは「大型フラット画面」に消費者は飛びつくと錯覚していましたが、もし、この商品を普及させようと思うなら、もっと低価格で作らねばならないことを知りました。今や、「大型フラット画面」の低価格化の努力が始まっています。

 では、「環境」についてはどうでしょうか。環境経営を標榜する企業では、環境配慮型の新商品開発のために莫大な投資をしています。
それでは、消費者は、環境配慮型と称する新商品に、どんな魅力を感じ、幾らのお金を払うでしょうか。物の価値には自ずとある妥当な範囲があります。その物の性能や得られるサービスの程度によって高価にすぎるものは売れません。私は、「環境」に良いからと無制限にコストをかけて商品を開発しても、消費者はその価値を認めないと思います。その商品が「環境」に良いものだ、といわれても、実感として魅力を感じないからです。

 このような場合に、法律で基準を設けて強制すれば良いと考え勝ちですが、これは成功するでしょうか。仮に規制を強行した場合、規制がある地域とない地域では著しい格差が発生しますから、実効あるようにするには、国際協調が不可欠です。では、国際協調が可能でしょうか。私は、まだまだ機は熟していないと思っています。京都議定書ですらあの体たらくですから。

 少し解りにくいかもしれませんが、私は、「環境」が国際社会で普遍的な「社会信義」として定着するまでは無理だと思っています。とても残念ですが、今の国際社会の状況を鑑みるに、「環境」が普遍的な「社会信義」になっているとは思えません。私たちの社会は、既に、「自由」と「人権」に取り組み、まだ不完全です。これに「環境」が加わります。「環境」が普遍的な「社会信義」として定着するには、まだまだ時間がかかり、様々な議論が必要なように思います。OECD加盟国でも、果たして何カ国が一致できるでしょうか。

 EUの最近の環境規制、WEEE、RoHS、REACHなどは、動機は理解しますが、例外規定が山ほど出てきて、何が何だかわからないものに変容しつつあると聞いています。
 環境問題への取り組みは、自然科学的な側面が先行し過ぎていて、人文科学的なアプローチが不十分なため、とてもいびつな、不自然なものになっているように思います。「環境」の名の下に、突然、強力な規制が出来たり、それを機に物の作り方を大転換しなければならないと思うのは、どうも少し違う気がしてなりません。日本の企業の環境経営は少し早とちりしているように思えてならないのです。

お知らせ
シンポジウム・展示会 出展紹介

・環境技術シンポジウム

「みんなで取り組む温暖化対策−技術と工夫で減らせるCO2!」

開催日時 2005年4月26日(火)
展  示 10時〜18時
シンポジウム:13時30分〜16時30分

開催場所:経団連会館11階 国際会議場

日本経団連・経済広報センター共催
入場無料

(社)日本化学工業協会のパネルスペースに樹脂サッシ普及促進委員会が展示いたします。


「塩ビ製品カタログ」が発行されました。
「塩ビ製品カタログ」(塩化ビニル環境対策協議会/塩ビ工業・環境協会編)が 発行されました。私達の日常生活のあらゆる場面に登場し、その豊かな生活の一端を担う塩ビ製品の主要なものをまとめた小冊子です。
ご希望の方は、送付先などご連絡下さい。

編集後記

 つい先日の某紙のコラムに曰く、「地下鉄に乗ったら、向かいの座席に、自分とそっくりの人物が座っていた。偶然とはいえ、奇妙な気持ちだった・・・」と。
 興味深く、かつなんとなく空恐ろしい経験ですよね。 H2に言わせれば、「そっくりさんに出会わなくても良いが、何とか一生に一度は、3億円の宝くじに当たりたい」なんですが、こればっかりはどうも・・・。

 さて、先週のクイズの答え。我ながら少し難しかったかな?
1)「最終苦臨」・・・ヒント:大したことではないのです。
  ——答:「エンドクリン」
2)「美子兵乗影」・・・ヒント:一見いかがわしいが・・・。
  ——答:「ビスフェノールA」
3)「不足産敢廃棄」・・・ヒント:足りないからって捨てるのか?
  ——答:「フタール酸エステル」
 そのうち第2弾を出します。乞うご期待。

(H2記)

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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