NO.007
発行年月日:2004/11/11

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トピックス
お風呂で読む本、塩ビの本
今注目の、塩ビ製文庫出版社訪問記
論壇
中西準子著「環境リスク学−不安の海の羅針盤」を読んで
VEC専務理事 西出徹雄
お知らせ
小池環境大臣を迎えてセミナーを開催!!
住まいと環境・エネルギーセミナー
編集後記

トピックス

お風呂で読む本、塩ビの本

今注目の、塩ビ製文庫出版社訪問記


 10月27日のフジサンケイビジネスアイに、「新風吹くか読書入浴」と題して、お風呂に入りながら読める文庫本を出版した東京の出版社の記事が載りました。普通の本だとお風呂では濡れてしまって駄目だけど、この文庫本は濡れても大丈夫。なぜなら、紙の代わりに塩ビのフィルムを使用した、塩ビ製文庫本だというのです。
 興味を惹かれて出版社に電話してみたら、なんと住所は私たちVECのオフィスの目と鼻の先、歩いて5分ほどのところでした。早速出かけていって、くだんの出版社、(有)フロンティアニセンの真下社長にお目にかかり、塩ビ本開発のお話を聞かせてもらいました。

 もともと同社は国際電話のプリペイドカードの製作会社ですが、新製品開発のネタを探していたところ、「お風呂で半身浴をしながら本を読みたい」という某女優さんの新聞記事にヒントを得て、塩ビの加工メーカーと半年に渡る苦労の末、開発に成功するに至ったということです。
 フロンティア文庫と名づけたこの本、現在は「風呂で読む文庫100選」を20巻刊行したばかりだそうですが、引き続き、「風呂で読む漫画100選」、「風呂で読む時代小説100選」と矢継ぎ早に世に問うとか。
 「開発のポイントはページのとじこみ部まですべて塩ビ製にしたこと。これまた総塩ビ製の専用本箱も用意してあります。国内外に特許も申請しています。コスト的になかなか難しい面もあるが、塩ビの特長を生かして国内のみならず、海外にも販促したいと思っています。」と、社長は意気軒昂でした。

 そこで実物を見せていただき、手に取ってみました。紙製と違って、清潔感にあふれ、なかなかの貫禄、ただし、ややずしりと重い。と思った瞬間、社長が、「重い、というご意見がありますので、フィルム厚みを薄くすべく、改良中です。」とコメント。ついでに、お風呂の中で手にとらなくてもいいように、間伐材利用の書見台を開発中だそうで、さらについでに、その書見台は本の横に徳利と盃をセットする場所も確保するとか。まさに「我が意を得たり」ではありませんか。

 本の奥付けには、「この本はプラスチック製なので、不要になった時、送り返して下されば安全に処理します。」ということと、「塩ビなど塩素含有量の多い廃棄物でも、適切な条件での燃焼処理により、ダイオキシンの生成は規制値の範囲内に充分管理できます(塩ビ工業・環境協会)。」という趣旨の文章が載っていました。いや、まさにその通り、充分のご配慮です。

 嬉しくなって、VECのオフィスの塩ビ製品展示ケースに展示しようと、3冊ほど入手しました。ちなみに販売価格は一冊735円(税込み)です。店頭での販売は今のところ、大手書店の丸善の丸の内本店のみだそうです。

 しかし、手にとって眺めていると、この類の本を手にして(書見台に乗せて?)読書にふけっている、半身浴中の「某女優」の姿が目に浮かんできて、不謹慎ながら思わず鼻の下が長くなるのでありました。


論壇

中西準子著「環境リスク学—不安の海の羅針盤」を読んで

VEC専務理事 西出徹雄

 環境や安全についての関心が高まる一方で、世の中一般の関心はそれらを脅かす不安についての段階でとどまり、リスクを評価して合理的判断をしようというところまで達していないように思える昨今ですが、この本の著者中西準子さんは、これらの問題に関する、合理的判断の物差し作りに全力をあげてこられた方です。
 ダイオキシン問題やいわゆる環境ホルモン問題についても、騒ぎが起こった当初から、やたらと深刻な問題が発生するわけではないことを、リスク評価の方法を使いながら説きつづけられました。
 残念ながらマスコミの多くは、「大変!大変!」と報道することこそ自らの社会的役割と考えてか、リスクについての正確な報道はないがしろにしつづけ、問題が沈静化すればするで何事もなかったかのように黙ってしまっています。しかし、事態が落ち着いた今こそ、冷静に当時問題にしたことを見直し、なぜあのような騒ぎになったのか、再びあのような空騒ぎを起こさないようにするにはどうすべきなのかを考え直すことが必要ではないのでしょうか。

 この本は、2部5章構成で、第1章は著者の横浜国大での最終講義を収録したもので、著者が横浜国大で工業化学を、東京大学大学院で触媒化学をそれぞれ専攻した後、東京大都市工学科で下水処理講座の助手になり、下水処理場が工業用水を処理できていないことを発見したところから、現在の環境リスク研究にたどり着くまでがまとめられています。
 第2章ではリスク評価の考え方をQ&Aの形でわかりやすく解説されており、第3章ではダイオキシン騒ぎを例に引きつつ、環境ホルモン問題騒ぎを冷静に分析整理し、環境省の67物質のリストに対し問題提起をされています。第4章ではリスクの議論を避けて全頭検査を続けているBSE問題を取り上げ、第5章では著者のホームページにある「雑感」の中からリスクに関する話題を収録してあります。

 ファクトにこだわりつづける著者ご自身の姿勢については、ずいぶん以前に「新潮45」に書かれた下記の文章が印象に残っています。
 「30年間、環境問題に取り組んできたが、私の意見は、常に最初は誰からも理解されなかった。ひどい孤立と誹謗中傷の中で数年じっとしていると、いつのまにか私の意見の方が多数意見になってくるという経験を何回もした。世論は変わるのである。」

 事実、最近のダイオキシンの問題や環境ホルモンの問題についての議論も、ファクトをとばして不安を煽るだけの議論は収束しつつありますが、なぜそう変わってきたのかを冷静に再評価しなければ、日本においては同じようなことが何度も繰り返されることでしょう。現在進行形のBSE問題への対応を見る限り、状況は少しも改善されていないかのごとくです。

 この本には、日本における化学物質のリスクランキング(損失余命でみたランキング。喫煙のリスクが圧倒的に大きく、ラドンのリスクでさえダイオキシンのリスクより7倍も大きい)や、発生源別ダイオキシンの環境中への排出量経年変化の表など、議論の出発点になる基本的な考え方やデータがいくつも収録されていますので、環境や安全に関心がある方にはぜひご一読をお薦めします。

 中西準子著 「環境リスク学—不安の海の羅針盤」 日本評論社 2004年9月発行

 中西先生の話を直に聞きたいという方のためには、急ですが本日の夕方にお茶の水女子大学のライフワールド・ウォッチセンター(LWWC)のセミナーが予定されていますので、参加されては如何でしょうか。

(第8回お茶の水学術サロン)
・講演者:中西準子 (独)産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター長
・演 題:形ができてきた環境リスク学
・日 時:11月11日(木)18:30〜20:00
・場 所:お茶の水女子大学 理学部3号館 7階講義室
・参加料:無料
・申 込: 氏名、連絡先(所属、メールのアドレスまたは電話番号)を
LWWC事務局まで

lwwc-jim@cc.ocha.ac.jp

お知らせ
セミナー

・小池環境大臣を迎えてセミナーを開催!!

  第2回 住まいと環境・エネルギーセミナー
   小池百合子環境大臣・北野大教授が語る
日時 11月26日(金)
開場 午後6時 開演 午後6時30分
場所

会場 東京FMホール/千代田区麹町1丁目
半蔵門線 半蔵門駅 1.2番出口より徒歩3分

プログラム

   <第1部 主賓挨拶・基調講演>
「きれいな地球・・・私たちにできること」
 小池環境大臣   北野 大教授

   <第2部 パネルディスカッション>
「地球にやさしい住まい方・暮らし方とは」
パネリスト  北野大(淑徳大学教授)
小林光(環境省・環境管理局長)
坂本雄三(東京大学教授)
中原茂明(塩ビ工業・環境協会会長)
小島 浩司(三菱総合研究所)
村田佳寿子(フリーアナウンサー)
応募方法
このメールに下記事項を記載頂きご返信下さい。
尚、先着順とさせて頂き、定員に達したときはお断りする場合もございますので、ご了承下さい。
(氏名・会社名・部署お役職・住所・電話番号・FAX番号・参加人数)
締切り 11月16日(火)


・慶應義塾大学 開放環境科学専攻

  16年度・後期 一般・環境公開セミナ−
  テ−マ:『21世紀は人類最後の世紀になるか?』
期間 平成16年10月23日(土)〜平成16年12月18日(土)全6回
時間

13:30〜15:00(90分)(休憩10分)15:10〜16:40(90分)
場所 慶應義塾大学・日吉キャンパス・来往舎2階 中会議室
募集人数 学生30名・一般30名
参加申込

下記必要事項を記入の上、FAX又はメールにて申込下さい
(1)住所 (2)氏名 (3)メールアドレス (4)FAX番号 (5)参加希望日

株式会社テムス・環境コミュニケ−ションセンタ−事務局
FAX 03−3547−3656
mail: http://www.adad.jp/i/p/29469
詳細は下記URLをご覧下さい。
http://www.env-center.com/report/index.html


・同志社大学 環境公開セミナ−

  テ−マ『プラスチックと環境問題』

容器包装リサイクル法が、公布されてから9年が経過しました。

各種問題も発生し、企業や自治体の試行錯誤が続いています。
そこで、化学業界の方々と共に今後の環境問題を考察します。
期間 平成16年11月9日(火)〜12月14日(火)全4回
場所

同志社大学経済学部・今出川キャンパス 至誠館4番教室
時間 13:15〜14:45
募集人数 150名(先着順・満員の場合は通知します)
参加申込

下記必要事項を記入の上、FAX又はメールにて申込下さい
(1)住所 (2)氏名 (3)メールアドレス (4)FAX番号 (5)参加希望日

株式会社テムス・環境コミュニケ−ションセンタ−事務局
FAX 03−3547−3656
mail: http://www.adad.jp/i/p/29469


展示会 出展紹介

・「ジャパンホームショー&ビルディングショー2004」

開催日時 2004年11月16日(火)〜19日(金)
10時〜17時(最終日は16時30分まで)
開催場所

東京ビッグサイト

東1・2・3ホール

主  催 (社)日本住宅設備システム協会
(社)日本能率協会

樹脂サイディング普及促進委員会及び
樹脂サッシ普及促進委員会にて出展しています。


編集後記

 私たちVECが、千代田区内幸町の飯野ビルからここ中央区新川の六甲ビルへ移転してから、昨日でちょうど1年になりました。ほぼ同時期に、同じ化学関連業界である、日本化学工業協会、石油化学工業協会、日本ソーダ工業会など合計8団体が六甲ビルに集結したのです。化学業界の更なる発展を願って、場合によっては業界同士の大同団結も視野に入れながら、その第一歩として同じビルにオフィスを持ち、相互の連携を強化しようとの目論見でした。
 その結果、大同団結の機運も少しずつ兆しつつありますが、何より変わったのは、業界相互の意思疎通が以前にもまして良くなったことです。何か問題があると同じビルの隣の部屋に、または一階上か下かのフロアまで歩いていって用が足せる、こんな便利なことはありません。
 この同一ビル体制から、近い将来必ずや、化学業界強化の動きが出てくることと思います。またそれを願っています。

 珍しく、真面目な編集後記でした。(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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◆編集責任者 事務局長  原田 浩

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