塩ビ工業・環境協会
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塩ビ製品の改質方法と物性

 塩ビ樹脂は極性が大きく、他の多種多様な機能性樹脂との相溶性が良いことからこれらを混合することで容易にポリマーアロイを形成させることが可能です。このポリマーアロイの手法で硬質塩ビ製品の短所を改質することができます。ポリマーアロイによる改質についての概要は図1のようになります。

 また、軟質塩ビ製品では、ポリマーアロイの手法のほかに、高分子量の可塑剤を選択することで、耐熱性などの改質が可能となります。

 

 耐衝撃性改良熱変形性改良可塑剤の滲み出しなどの改良

 

図1.ポリマーアロイによる塩ビ樹脂の改質

ポリマーアロイによる塩ビ樹脂の改質

出典:工業調査会「ポリマーアロイ活用ノート」井上隆編著(1992)

 

1.耐衝撃性

 塩ビ製品の耐衝撃性向上のためには通常塩ビ樹脂にABS、MBS、アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、EVA等のゴム特性を有する耐衝撃性改良樹脂(強化剤)を混合することが行われています。塩ビ樹脂100重量部に対し5~20重量部の強化剤を混合することで塩ビ製品に実用上十分な衝撃強度を付与することができます(図2)。強化剤は塩ビ樹脂中に微粒子として分散されており、製品に衝撃が加わるとこの微粒子があることで衝撃エネルギーを吸収し、製品の破損を防止します。

 耐衝撃性が改良された塩ビ樹脂は窓枠、サイディング材(外壁材)等の外装建材、工業用板材、耐衝撃性上水管、ブリスターパック・カップ・ケースなどの硬質塩ビ包装材、表面保護フィルム、コネクターなどの電気部品など、幅広い分野に使用されています。

 

図2.耐衝撃性改良樹脂のブレンド効果

耐衝撃性改良樹脂のブレンド効果

出典:三井ポリケミカル、塩ビとポリマー,19[12],26(1979)

 

2.熱変形温度(軟化温度)

 塩ビ製品の耐熱性を上げ、熱変形温度や軟化温度を向上させるには通常耐熱ABS樹脂、後塩素化塩ビ樹脂等の耐熱樹脂を塩ビ樹脂に混合することが行われています。図3、4には一例としてABS系樹脂のブレンド量と軟化温度の改良効果、後塩素化塩ビ樹脂のブレンド量と熱変形温度の改良効果を示します。

 耐熱性が向上した塩ビ樹脂は給湯管、電力ケーブル保護管などの耐熱硬質塩ビ管や車輌用のインストルメントパネルに使用されています。

 一方、高分子量の可塑剤を使用し、耐熱性を改良させた軟質塩ビ製品は、耐熱電線などに使用されています。

 

後塩素化塩ビ:

塩ビ(PVC)に、塩素をさらに反応させて製造される熱可塑性プラスチックで、塩素化塩ビまたはCPVCとも言われています。通常の塩ビ(PVC)の塩素含有率が56.8%であるのに対し、後塩素化塩ビの塩素含有率は60~70%と高くなるため、耐熱変形性、難燃性、電気絶縁性、耐薬品性などがさらに向上します。

 

図3.耐熱ABS系樹脂のブレンド効果

耐熱ABS系樹脂のブレンド効果

出典:(株)カネカ 技術資料より抜粋

 

図4.後塩素化塩ビ樹脂のブレンド効果

後塩素化塩ビ樹脂のブレンド効果

出典:積水化学工業(株)カタログより抜粋

 

3.可塑剤の滲み出しおよび揮発防止

 軟質塩ビ製品からの可塑剤の滲み出し、揮発、他物質への移行などを防止するには、より分子量の高い可塑剤を使用したり、塩ビ樹脂と相溶性のより高い可塑剤を使用することが行われています。一例として図5に塩ビ製品に混合する汎用可塑剤のDOP(分子量390)をポリエステル系可塑剤(分子量1500)に置換えた場合の効果を示します。試験片は160℃のオーブン中に置かれ、時間の経過とともに可塑剤が揮発する様子を製品重量の減量割合で測定しています。

 一方、可塑剤を使用せずEVA(エチレン~酢酸ビニル共重合体)のようなエラストマーに塩ビモノマーをグラフト重合した樹脂やエチレン~酢酸ビニル~一酸化炭素三元共重合体系樹脂を塩ビ樹脂に混合した可塑剤フリーの軟質塩ビ製品もつくられています。

 非移行性可塑剤や高温でも滲み出し難い可塑剤を使用した塩ビ樹脂は、電気・電子機器の機内部品や耐熱電線などに使用されています。医療用バッグやチューブ、工業用ホースにも非移行性可塑剤が使用されているものがあります。また揮発防止性可塑剤を使用したレザー、ガスケットは車輌用などに使用されています。

 

図5.ポリエステル系可塑剤の揮発減量防止効果

ポリエステル系可塑剤の揮発減量防止効果

出典:化学工業社「増補プラスチックおよびゴム用添加剤実用便覧」

 

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