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塩ビ製品による火災のリスク削減

難燃性

 塩ビ樹脂は、塩素原子を持つためそれ自体が難燃性に優れ、特に難燃剤を加える必要がありません。たとえば着火温度は455℃と高く、簡単には着火しないため、火災の危険性が少ない素材です。

 難燃性の指標として酸素指数(図表1)がありますが、これは燃やすのに必要な酸素濃度を示し、空気中の酸素濃度21%よりも大きいと自己消火性(火元を取ると空気中で燃えない)で、塩ビ樹脂は他の汎用プラスチックに比べて、燃えにくいことが分かります。

図表1.各種プラスチックの酸素指数

各種プラスチックの酸素指数

 また、燃焼による放熱量がポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレン等と比較して極めて小さいため、燃焼しても近隣の他材料に延焼しにくい性質があります(図表2)。そのため住宅用の建材など難燃性の必要な製品に最適のプラスチックなのです。

図表2.各種材料の最大放熱量

各種材料の最大放熱量
出典:塩ビとポリマー, Vol29(1989)

 塩ビ製品は一般にそのものが発火や着火することはありません。このため、電線ケーブルとして使われれば、発火を抑え、火災のリスクを減らします。

 但し、可塑剤を多く含む軟質塩ビ製品は、可塑剤自体が可燃性のため燃えやすいので、取扱いに注意が必要です。尚、塩ビ製品は、燃やされたときに塩化水素ガスを発生し、このガスは微量でも刺激臭があることから、火災時に有害ではないかと思いこまれることがあります。実際には、火災時の死亡の原因は、大多数(9割弱)が一酸化炭素中毒、或いは、火傷によるものです。

 火災時には、熱、煙、酸素不足、毒性ガス、催涙性ガス等が原因となり、避難できなくなることが死亡につながることがあります。火災時に発生するガスの影響について、実際の住居をモデルとした実験によると、毒性ガスである一酸化炭素やアクロレインが主要な原因であり、塩化水素ガスが問題とは考えられないことが分かっています。

 塩化水素は微量でも臭いがするので、むしろ、早期に火災に気づくことに役立っている可能性があると指摘されています。