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可塑剤の働き -可塑剤によって広がる用途-

 本来硬い塩ビ樹脂を軟らかくしなやかにするため、可塑剤が添加剤として使われます。塩ビ樹脂が常温で硬いのは、塩ビポリマーの分子にはプラスマイナスといった電気的に偏りがあり、分子同士が強く引き合って分子間の距離が短くなっているためです。加熱するとこの引き合う力より分子の運動の力のほうが大きくなり分子間の距離が広がり、樹脂は軟らかくなってきます。

 この状態で図に示すように、極性部分とそうでない非極性部分を持つ可塑剤を加えると可塑剤分子が塩ビポリマー分子の間に割り込み、ポリマー分子の接近が妨げられます。その結果、常温になっても分子間の距離は広がったままとなり、軟らかい状態を保持することができるようになります。このように塩ビ樹脂を軟らかくするのが可塑剤の働きで、可塑剤が多く添加されるほど柔らかくなります。この現象を専門的には可塑化と呼んでいます。そして、可塑剤により柔軟性を付与した塩ビ製品を軟質塩ビ製品と呼んでおり、壁紙、ガーデンホース、農ビフィルムなどとして使われています。

図 DEHPの構造式と塩ビポリマー分子と可塑剤分子の結合イメージ

DEHPの構造式と塩ビポリマー分子と可塑剤分子の結合イメージ
出典:可塑剤工業会ホームページより作成